火龍の代紋(エンブレム)

椰子草 奈那史

死闘!本牧埠頭ステゴロ勝負(脚本)

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〇黒
  神奈川県東部に勢力を誇る広域暴走連合「不敗矢弩蘭魂(ファイヤードラゴン)」
  三代目総長、不破雷太の引退により、四代目総長の座を巡り
  傘下のチームは激しい跡目争いを繰り広げていた!
  少年達の激しい生き様は、後にこう呼ばれることになる
  ヨコハマ デンジャラス ホット デイズ

〇黒

〇商店街
テッペイ「亜須真! 狼凱(ウルフガイ)の奴らが俺達のシマを荒らしてるらしいぜっ」
テッペイ「このままでいいのかよ!? 俺達も兵隊を増やして──」
火野 亜須真(ひの あずま)「落ち着けよ、テッペイ」
火野 亜須真(ひの あずま)「数に頼ってドンパチするなんてダセェだろ」
火野 亜須真(ひの あずま)「蛇塚とはキッチリ話をつける」
カオリ「でも、このままじゃ四代目総長の座は蛇塚に取られちまうヨ」
テッペイ「そうだ、他のチームにも亜須真なら総長に推してもいいって奴らはいる!」
テッペイ「そいつらと手を組めば──」
火野 亜須真(ひの あずま)「やめろ」
火野 亜須真(ひの あずま)「俺は禍根を残したくねぇ」
火野 亜須真(ひの あずま)「俺は男気だけでハマのチームをまとめ上げた、あの人みたいにやりてぇんだ」
カオリ「それって──」
火野 亜須真(ひの あずま)「ああ、特攻旗掲げて手放しで西湘バイパスを走りきったという──」

〇黒
  伝説の男、初代総長!!

〇商店街
火野 亜須真(ひの あずま)「そんなふうに、俺はなりたいんだ」
テッペイ「チェッ、わかったよ、それなら俺はどこまでも亜須真についてくゼ!」
カオリ「アタイも!」
火野 亜須真(ひの あずま)「ハハ、ありがとよ 武玲衆(ブレス)のお前達は、俺のもう一つの家族だ」
カオリ(家族! 亜須真と──!?)
テッペイ「それにしても、ヨシオの奴何やってんだ? 遅っせぇな!」
「う、うう・・・」
「亜須真、さん」
「ヨシオ!?」
カオリ「どうしたんだい!? ボロボロじゃないのさ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「いったい何があった!?」
ヨシオ「狼凱の連中に襲われて──」
テッペイ「クソッ 奴らついに直接攻めてきやがったか!!」
ヨシオ「そして、これを亜須真さんに渡せって・・・」
火野 亜須真(ひの あずま)「これは!?」

〇黒
  火野亜須真
  お前の妹は預かった
  無事に返して欲しければ
  今夜8時に本牧埠頭●●倉庫まで来い
  ただし来るのは一人だ
  そいつを破ったら、妹の無事は保証しねぇ

〇商店街
火野 亜須真(ひの あずま)「遥!?」
テッペイ「蛇塚!! なんて汚ねぇ奴だ!? 亜須真、これは罠だぜ!」
カオリ「そうだヨ! アタイ、他のチームに声かけるから、遥ちゃんを奪い返そう!」
火野 亜須真(ひの あずま)「いや──」
火野 亜須真(ひの あずま)「ここは俺一人で行く」
「亜須真!?」
火野 亜須真(ひの あずま)「いい機会だ、 蛇塚ときっちり話をつける、 もし応じないようなら──」
火野 亜須真(ひの あずま)「その時は拳でケリをつける」
火野 亜須真(ひの あずま)「テッペイ、カオリ、 ヨシオの事、頼んだぜ」
カオリ「そんな・・・」
カオリ「亜須真・・・」

〇繁華街の大通り
  遥、すまねぇ

〇高速道路
  お前をこんな事に巻き込んじまって

〇港の倉庫
火野 亜須真(ひの あずま)(ここか)
火野 亜須真(ひの あずま)「おい!蛇塚ァ 言われた通り俺は一人だ、 姿を見せろ!!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「ホントに一人で来るとは見上げた奴だゼ」
火野 亜須真(ひの あずま)「蛇塚ァ、 妹はどこだ!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「イキり立つんじゃねーよ、 ほらよ」
火野 遥(ひの はるか)「お兄ちゃん!」
火野 亜須真(ひの あずま)「遥! 大丈夫か!! 何かされてないか!?」
火野 遥(ひの はるか)「う、うん 大丈夫だよ」
火野 亜須真(ひの あずま)「蛇塚っ、 俺は筋通したぜ 早く妹を放せ!!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「クックック 放してやるさ」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「ただし──」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「テメェをここでぶっ潰した後によぉ!!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「いいか、 少しでも手ェ出したら、 妹のかわいい顔に傷がつくぜェ」

〇港の倉庫
火野 亜須真(ひの あずま)「蛇塚、テメェ!!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「オラッ よそ見してんじゃねぇぞ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「くっ!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「こっちもだ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「ぐあっ!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「コイツはいいサンドバッグだぜぇっ」

〇港の倉庫
火野 遥(ひの はるか)「お兄ちゃぁん!」

〇黒

〇港の倉庫
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「な、なんだ 黒塗りが3台も!?」
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「おい、 降りてくるぞ」

〇港の倉庫
「お、おい アレって本職じゃねえのか・・・」

〇港の倉庫
火野 亜須真(ひの あずま)「!!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「そんな、もしかして」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「あの圧、 あの眼光!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー③「間違いねぇ! あの方は・・・ あの方はぁ──」
「不敗矢弩蘭魂(ファイヤードラゴン)の伝説の初代総長── 鮫島さん!!」

〇港の倉庫

〇港の倉庫
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「鮫島さん!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「鮫島さん!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー③「鮫島さん!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「しかし、あの鮫島さんがどうしてここへ」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「ああ、 鮫島さんといえば初代総長を引退した後、 武闘派で知られた「龍刃会」で盃もらって」
狼凱(ウルフガイ)メンバー③「26歳の若さで若頭まで登りつめた侠(おとこ)の中の侠と呼ばれる俺達の憧れだ!」

〇港の倉庫
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「今日はガキどもが騒がしいな」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「引退した三代目の不破から話を聞いて来てみりゃあ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「ダセェ真似してんじゃねえぞコラ!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「蛇塚ァ!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「は、はい!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「テメェ! 寒い画を描いてんじゃねぇ!!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「はっ、すんません!!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「火野!」
火野 亜須真(ひの あずま)「・・・はい!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「心意気は買うが、 上に立つモンがあと先考えねぇで突っ走るんじゃねぇ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「・・・す、すんません」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「ふっ、 本職(おとな)が素人(こども)の喧嘩に口出すようなダセェ真似はしたくねえが」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「俺が作った不敗矢弩蘭魂は、我が子も同然──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「子の不始末は大人(おや)がケツ拭いてやらねぇとな」
「・・・」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「テメェらよく聞け! この出入り、 龍刃会若頭の鮫島将吾が見届ける!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「勝負はステゴロのタイマンだ! 蛇塚、火野、いいな!?」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「手出しすることは一切許さねェ!」

〇港の倉庫
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「何てことだ!あの鮫島さんが」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「タイマン勝負を仕切るなんて──」
狼凱(ウルフガイ)メンバー③「このタイマンは伝説になるぜ!」

〇港の倉庫
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「くっ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「なんだ蛇塚 イモ引いてんのか?」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「まさか! やるっスよ! 要はコイツを潰せばいいんすよね!?」
火野 亜須真(ひの あずま)「俺だって望むところです!!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「よし、 それじや腹ァくくれよ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「始め!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「へっ 四代目の座は俺がもらうぜ」
火野 亜須真(ひの あずま)「蛇塚! お前に火龍の代紋は渡さねェ!」
「うおおおっ」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「クソがっ」
火野 亜須真(ひの あずま)「ハァ、ハァ、 お前・・・やるじゃねぇか」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「ゴフッ ・・・テメェもな」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「どうした!? お前らの四代目への熱はそんなもんか!!」
火野 亜須真(ひの あずま)「まさか!!」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「まだまだぁ!」

〇黒
「うおおおっ」

〇港の倉庫
火野 亜須真(ひの あずま)「・・・」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「・・・」
蛇塚 剛毅(へびづか ごうき)「──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「そこまでだ!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「このタイマン勝負の勝者は火野」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「お前等、文句ねえな!?」

〇港の倉庫
狼凱(ウルフガイ)メンバー①「あの蛇塚さんが、 負けた!?」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「こんな漢勝負見せられたら──」
狼凱(ウルフガイ)メンバー③「認めるしかねぇ!!」

〇港の倉庫
「勝ったのは火野だァァっ!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「狼凱(ウルフガイ)のガキども! 蛇塚を連れてとっとと引け!」
狼凱(ウルフガイ)メンバー②「ひ、ヒィッ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「・・・よし、お前等もう出て来てもいいぜ」
ヨシオ「亜須真さん!」
カオリ「亜須真ァ!」
テッペイ「亜須真!」
火野 亜須真(ひの あずま)「お前ら!?」
カオリ「亜須真ァ、無事でよかった アタイ、アタイ──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「引退した不破を説き伏せて、俺に頭下げさせたのはそいつらだ」
火野 亜須真(ひの あずま)「そう、なのか?」
カオリ「うん!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「いいツレを持ったな、火野 大事にしろよ」
火野 亜須真(ひの あずま)「は、はい 俺の大事な家族です!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「・・・じゃあな」
火野 亜須真(ひの あずま)「あ・・・鮫、島さん」
火野 遥(ひの はるか)「お兄ちゃぁん!」
火野 亜須真(ひの あずま)「遥!」
火野 亜須真(ひの あずま)「すまなかった 俺のために怖い思いをさせて」
火野 遥(ひの はるか)「ううん、 必ずお兄ちゃんが助けてくれるって信じてた!」
火野 亜須真(ひの あずま)「遥・・・」
カオリ「さ、帰ろ 立てる?亜須真」
火野 亜須真(ひの あずま)「ああ──」

〇黒

〇寂れた雑居ビル

〇黒

〇入り組んだ路地裏
火野 亜須真(ひの あずま)(来てみたものの、 やっぱり簡単に会えるわけねぇか)
「おい」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「お前、こんな所で何してんだ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「鮫島・・・さん!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「組の若ェのに見られたらカチコミの鉄砲玉と思われてハジかれっぞ」
火野 亜須真(ひの あずま)「俺は、 先日の蛇塚の事でお礼を言いたくて──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「馬鹿野郎!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「そんな事のために俺に近づくな!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「ったく、 不敗矢弩蘭魂にもお前にも二度と関わるつもりはなかったが──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「腹違いとはいえ、弟のお前の事につい肩入れしちまった」
火野 亜須真(ひの あずま)「将吾兄ちゃん──」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「二度とそう呼ぶんじゃねぇ!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「俺はゲソをつけた人間だ。 カタギには戻らねぇ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「俺と関わりがあるとなれば、お前やそっちの家族にも累が及ぶかもしれねぇんだぞ」
火野 亜須真(ひの あずま)「すみませんでした ・・・鮫島さん」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「それで、親父はどうしてる?」
火野 亜須真(ひの あずま)「相変わらず行方知れずです」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「けっ しょうがねぇジジイだ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「とにかく、俺にはもう近づくな ヤクザもんに関わるとろくな事になんねぇ」
火野 亜須真(ひの あずま)「それでも、俺は火龍の代紋を 背負える男になりたいんです!」
火野 亜須真(ひの あずま)「そう! 初代総長のような男に!」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「お前にはまだまだ無理だな」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「だが、期待してるぜ」
鮫島 将吾(さめじま しょうご)「じゃあな、 さっさと帰れ もう来るなよ」
火野 亜須真(ひの あずま)「鮫島さん!」
火野 亜須真(ひの あずま)(いつか!)

〇黒

〇アパートの玄関前
火野 遥(ひの はるか)「大変! 遅刻しちゃうよぉ」
火野 亜須真(ひの あずま)「またかよ 髪に時間かけても大して変わんねーだろ」
火野 遥(ひの はるか)「ひどーい! それよりお兄ちゃん、今日も乗せてってよ、お願い」
火野 亜須真(ひの あずま)「しょうがねぇな、乗れ」
火野 杏華(ひの きょうか)「コラ遥! 危ないから亜須真のバイクになんか乗るんじゃないよ!」
火野 亜須真(ひの あずま)「母ちゃん!?」
火野 遥(ひの はるか)「えー、そんな事ないよ むしろ急いでほしい時も、お兄ちゃん全然飛ばてくれないんだもん」
火野 亜須真(ひの あずま)「大事なものを背負ってる時はムチャはしねぇって決めてるからな」
火野 杏華(ひの きょうか)「な・・・」
火野 亜須真(ひの あずま)「じゃあ行くぞ」
火野 遥(ひの はるか)「いってきまーす」
火野 杏華(ひの きょうか)「・・・」
火野 杏華(ひの きょうか)「ったく、 誰に似たんだか」
火野 杏華(ひの きょうか)「ちょっと昔思い出しちゃったよ」

〇黒

〇黒
  「三浦半島の狂犬」毒島の卑劣な罠にかかり、次々と倒れる武玲衆のメンバー!
  亜須真に絶対の危機が迫る!!
  次回火龍のエンブレム「油壺地獄ロード」

コメント

  • TapNovelのイラストなのに、話がヤンキー&任侠風だと人物も劇画タッチに見えてくるから不思議です。作者さんの雰囲気づくりがうますぎるからだと思います。鮫島さんからは、なんか沸騰しそうに熱い漢気を感じますね。男が惚れる男の中の漢なんでしょうね。

  • 熱いヤンキーの物語……良かったです!

    それと同時に思ったのが、ヤンキー風素材……多ッ!?

    コレはもしや、運営様が内心思い描いたヤンキー路線が拓かれた瞬間?

  • ヤンキーもの、あまり知らないのですが、
    かっこよかったです!
    ボイスもいい味出してました😆

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