#推しアプリ #おすすめ #かわいくなりたい (第1話)(脚本)
〇カフェのレジ
通りすがりのおばさま「あら、あなた」
スラッシュ//「・・・」
通りすがりのおばさま「あなたよ」
スラッシュ//「私ですか?」
通りすがりのおばさま「スラッシュちゃんでしょ? インフルエンサーの」
スラッシュ//「はい・・・」
通りすがりのおばさま「見てるわよ、いつも」
スラッシュ//「ありがとうございます」
じーっ・・・
スラッシュ//「なんですか?」
通りすがりのおばさま「ウェブで見るよりふつうね」
スラッシュ//「それはどうも! すみません、ご期待に沿えなくて」
通りすがりのおばさま「違うのよ! そうじゃなくって」
じーっ・・・
通りすがりのおばさま「わかったわ!」
通りすがりのおばさま「あなたSNSに上げる写真 お顔の加工してるでしょ?」
スラッシュ//「まあ 今はそれが普通ですから」
通りすがりのおばさま「スマホでしてるの?」
スラッシュ//「そうですけど」
通りすがりのおばさま「アプリ?」
スラッシュ//「そうですけど?」
通りすがりのおばさま「そう・・・」
通りすがりのおばさま「止めたほうがいいわ 顔の加工なんて」
スラッシュ//「・・・」
通りすがりのおばさま「違うの 邪悪な気を感じるのよ」
通りすがりのおばさま「あなたがアップした写真から」
スラッシュ//「それはどうも 誠に誠にすみませんでした!」
通りすがりのおばさま「本物は こんなにかわいらしいのに」
通りすがりのおばさま「だからね、あなた 顔の加工アプリ?」
通りすがりのおばさま「そんなの使うのおよしなさい」
スラッシュ//「あのお 私、結構がまんしてましたけど」
スラッシュ//「いい加減 お店の人呼びますよ?」
通りすがりのおばさま「あらあら、それは大変」
通りすがりのおばさま「いい? 私、忠告しましたからね」
通りすがりのおばさま「そんな顔の加工アプリなんて 使うとロクなことにならないんだから」
スラッシュ//「・・・・・・なんなんだ?」
〇黒背景
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#推しアプリ #おすすめ #かわいくなりたい (第1話)
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〇カフェのレジ
スラッシュ//「邪悪な気? 邪悪な気ってなに?」
スラッシュ//「って・・・ BBA! ふざけ過ぎ!」
じーっ・・・
さわやか「あのお」
スラッシュ//「はい?」
さわやか「スラッシュさん、ですよね? インフルエンサーの」
スラッシュ//((またか 今日はよくからまれる日だな))
スラッシュ//「そうですけど?」
さわやか「フォローしてます ずっと見てます」
スラッシュ//「ありがとう」
さわやか「憧れなんです スラッシュさんの顔」
スラッシュ//((顔・・・?))
じーっ・・・・・・
さわやか「顔の加工アプリ使ってるんですか?」
さわやか「さっき聞こえちゃったので スラッシュさんと女性が喋ってたのが」
スラッシュ//「怒られちゃった 加工アプリなんて使うなって」
さわやか「そのアプリ使ったら、 私もスラッシュさんみたいになれますか?」
スラッシュ//((あはは・・・・・・))
スラッシュ//「なれるんじゃない? 上手く使いこなせたら」
さわやか「どんなアプリ使ってるんですか? 使い方教えてもらっていいですか?」
スラッシュ//((ああ、だんだん面倒な展開きたこれ))
スラッシュ//「普通のやつ 普通にアプリストアの上位にあるやつ」
さわやか「普通って言われても」
スラッシュ//「ごめんね また今度ね これから予定あってね」
〇繁華な通り
スラッシュ//「どこまでついてくる気?」
さわやか「教えてください アプリの名前」
スラッシュ//「警察呼ぶよ?」
さわやか「はい、いいですよ」
スラッシュ//((ガチのやべーやつだ、この子))
スラッシュ//「ええっと・・・ うん、分かった!」
スラッシュ//「その、顔の加工アプリ 何使ってるとか どうやってるかとか」
スラッシュ//「こんどまとめて全部SNS上げとくよ」
さわやか「こんど?」
さわやか「今日中にお願いします!」
さわやか「1秒でも早く スラッシュさんみたくなりたいんです」
さわやか「だから 今日中にお願いします!」
スラッシュ//((あはは・・・ まじもんで関わっちゃダメなやつだ これ))
スラッシュ//「今日中? 分かった!」
スラッシュ//「今日中ね? 今日中に上げとくから!」
さわやか「約束ですよ」
スラッシュ//「約束」
さわやか「指切りですよ」
スラッシュ//「指切りね、OK」
〇黒背景
ゆーびきりげーんまん
ウソついたら
針千本飲ーます♪
〇繁華な通り
スラッシュ//「あはは・・・」
スラッシュ//「じゃっ!」
バビューン
さわやか「・・・」
〇中規模マンション
〇高層マンションの一室
スラッシュ//「それにしても」
スラッシュ//「今日はひどい一日だった」
〇カフェのレジ
〇繁華な通り
〇高層マンションの一室
スラッシュ//「ああっ! 忘れよ忘れよっ!」
スラッシュ//「かんぱーい!」
スラッシュ//「ぷはぁ! くぅ~~~~!!!」
ピコン♪
スラッシュ//「珍しいな 通知鳴るとか」
〇黒背景
さわやか「約束破りましたね」
さわやか「嘘つき!」
さわやか「私、悲しいです」
〇高層マンションの一室
スラッシュ//((なんなんだこいつ))
スラッシュ//((本気で上げるって思ってたのか?))
スラッシュ//((てかまだ0時1分だし))
〇黒背景
ピンポーン♪
〇高層マンションの一室
ビクッ!
スラッシュ//((まさか、来た、とか?))
「ウー○ーイーツの配達員でーすっ!」
スラッシュ//「だよねー」
〇玄関の外
スラッシュ//「変な人、見なかった?」
配達員「変な人、っすか?」
スラッシュ//「女の人で マスクしてて」
配達員「いやあ 特に、なんも」
スラッシュ//「そう? じゃあいいの」
スラッシュ//「夜遅くにありがと」
配達員「こちらこそ、ご利用ありがとうございました」
〇高層マンションの一室
さわやか「私、悲しいです」
スラッシュ//「ひっ!」
さわやか「約束・・・ 守ってくれなかったんですね」
スラッシュ//「なんであんたが?」
スラッシュ//「どうやって部屋の中に・・・?」
さわやか「私・・・ すっごく楽しみにしてたのに・・・」
さわやか「ひどいです スラッシュさん」
スラッシュ//「警察呼びます!」
さわやか「どうぞ、ご自由に」
さわやか「さあ」
さわやか「さあ」
スラッシュ//「・・・・・・あれ?」
さわやか「あなたのスマホなら ここです」
スラッシュ//「返しなさい!」
さわやか「嫌です」
スラッシュ//「そうだ!」
スラッシュ//「もうすぐここに人が来るの 男の人」
さわやか「スラッシュさん あなたまた嘘をつきましたね」
さわやか「あなたにそんな人はいません」
スラッシュ//「わかんないじゃない!」
スラッシュ//「いるかもしれないでしょ! 男友達の1人や2人くらい」
さわやか「いません! 私はなんでも知っています」
スラッシュ//「くぅぅ・・・・・・」
スラッシュ//「返しなさい!」
さわやか「早まらないでください」
さわやか「いいんですか?」
さわやか「『私、嘘つきでした。ごめんなさい』 って投稿しますよ? あなたの名前で」
スラッシュ//「どうやって解除したの? かかってたでしょ、画面ロック?」
さわやか「だから言ってるじゃないですか あなたのことはずっと見てたって」
さわやか「では投稿します!」
スラッシュ//「待って!」
スラッシュ//「投稿するの待って! 私、どうしたらいい?」
さわやか「まあ座ってください お話をしましょう」
スラッシュ//「話? 私にはないわ あなたと話すことなんて」
さわやか「あなたになくても、私にはあるんですよ」
どすっ!
ぐらん、と視界が揺れる
どうやら、
あの女の拳がみぞおちに入ったようだ
スラッシュ//「うっ・・・・・・」
それと同時に、
首筋にも痛みが走る
ぶすっ!
スラッシュ//「あぅぅ・・・・・・」
そこから先の記憶が、ない
〇廃ビルのフロア
スラッシュ//「う、うーん・・・・・・」
さわやか「やっと起きましたね スラッシュさん」
スラッシュ//「ここは・・・?」
さわやか「その質問には意味がありません」
私は、見知らぬ場所で
イスに縛り付けられていた──
〇黒背景
( つ づ く ・・・・・・ )