北国マウント!!

ゆきんこ

北から目線でお届けします!(脚本)

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〇綺麗な部屋
「z z z ・・・」
  ヴーヴー!!
  ガゴッ!ガガガガガガ・・・
豪雪(ごうせつ)「来やがったな!!」
豪雪(ごうせつ)「起きたか小雪!」
小雪(こゆき)「もちろんバッキバキよ!」
豪雪(ごうせつ)「何時だ!?」
小雪(こゆき)「今は4時!!」
豪雪(ごうせつ)「戦闘開始だ!!」
豪雪(ごうせつ)「燃えるぜ!!」

〇雪山の山荘
細雪(ささめ)「おはようシロ」
雪原(せつげん)「シロに先を越されたわい」
豪雪(ごうせつ)「早いな2人とも。 今日も雪の壁が1メートルはあるな」
豪雪(ごうせつ)「雪壁が高いほど燃える闘魂!!」
豪雪(ごうせつ)「俺の除雪魂が雪を焦がすぜ!」
霙(みぞれ)(イチイチ炎を出すなよ〜。 我が親父ながら暑苦しいぜ)
霰(あられ)「パパ・・・お熱あるのかな?」
雪原(せつげん)「まーた除雪車が、こちら側にだけ雪を寄せていきやがった」
雪原(せつげん)「近頃の若えーモンは、ブレード(除雪版)の使い方がなっちゃいねえな」
雪原(せつげん)「どうせなら、隣の四作の家の前にドッサリ置いて行ってくれたらええのに」
雪原(せつげん)「なっ!さっちゃん」
細雪(ささめ)「せっちゃん、憎まれ口叩くヒマがあったら手を動かしてね〜」
細雪(ささめ)「除雪車が置いて行った雪は重たいから、スピードが命よ!」
豪雪(ごうせつ)「今年はあったかいからな」
豪雪(ごうせつ)「もう少し寒けりゃ、サラッサラのパウダースノーだから除雪も楽なのにな」
小雪(こゆき)「都会では今日は最高気温がプラス3℃だって!」
小雪(こゆき)「『厳寒日』なんてニュースにまでなっていて、笑えるわ!」
豪雪(ごうせつ)「まあ、あっちは冬靴もタイヤもツルツルだし雪に慣れていないから、交通網がマヒするんだよな!」
豪雪(ごうせつ)「こちとら常に最高気温が大体マイナスだから、プラスって聞くと羨ましくなるよな!」
霙(みぞれ)「本気で羨ましい」
霙(みぞれ)「やっぱり寒いのは嫌だし、雪も少ない方がイイよ」
豪雪(ごうせつ)「・・・雪が少ないと地球温暖化が心配になるから、俺は多くてイイけどな」
霙(みぞれ)(過酷な環境の方が上から目線ッ!? いや、北から目線!)
小雪(こゆき)「ママの故郷は雪の少ない南地方だから、結婚した当初は大変だったのよ〜」
霙(みぞれ)(同じ北国同士なのに、雪が降らないマウントもあるのかよ!)
霙(みぞれ)「てゆーか、俺が産まれる前に移住しているから、もう十数年経ってるんでしょ」
霙(みぞれ)「それってほぼほぼ地元民じゃん!?」
小雪(こゆき)「コラ、ママの歳がバレるような話は止めなさい!」
霰(あられ)「あれえ? ママはハタチだよねえ」
小雪(こゆき)「ハタチハタチ!」
霙(みぞれ)「俺のときと同じウソつくの、やめろやマジで」
豪雪(ごうせつ)「ヨッシャア! 壁は大体崩せたようだな」
豪雪(ごうせつ)「後は小型除雪機で駐車場の雪は飛ばすから、みんなは家の裏を頼むよ!」
霙(みぞれ)「ラジャー!!」

〇雪洞
霰(あられ)「ニャーッハッハッハ! 私は北国探検隊!!」
霰(あられ)「隊長・あられは宝を求めて、雪山のてっぺんを目指すのであります!」
小雪(こゆき)「遊ばないで手伝いなさい」
小雪(こゆき)「あと踏み固められていない新雪は、穴が空いて落ちることがあるから気をつけてね!」
霰(あられ)「アイアイサー!」
霙(みぞれ)「あらよっと!」
霙(みぞれ)「イデッ!腰に来た!!」
霙(みぞれ)「少し雪かきしただけで汗ビッショリだ! 普通にスポーツだろ、コレ」
雪原(せつげん)「フフ まだ青いな霙よ。 私の華麗なフォームを見なさい」
霙(みぞれ)「あれ? ジジ、足でスコップに雪を立てているね」
雪原(せつげん)「そう。 上半身だけに頼ると、すぐに身体が悲鳴を上げる」
雪原(せつげん)「まずは筋肉量の多い足の力で雪をブロック状にカットするんじゃ!」
雪原(せつげん)「それから底面の雪に蹴って深く差したスコップの柄に、体重を乗せながら下に押すと・・・」
霙(みぞれ)「ウオッ、大量の雪が簡単に掘れた!」
霙(みぞれ)「しかも汗ひとつかいていない!」
雪原(せつげん)「テコの原理じゃ 余計な動作や力は要らんよ」
霙(みぞれ)「コレが高齢者になっても雪かきを続けられる秘訣か!」
雪原(せつげん)「高齢者と言うな! 『イケジジ』と呼べ!!」
???「なーにが『イケジジ』だッ!?」
四作(よさく)「毎年毎年、お前はち〜っとも学習せんのう!」
四作(よさく)「ウチの土地に雪を飛ばすな!」
雪原(せつげん)「はて? 雪に印でも付いているのかな」
雪原(せつげん)「ソコにある雪がウチから出した雪だという証拠でもあるのかい」
四作(よさく)「カーッ、ペッ! まったくイケ好かない狸ジジイだぜ!!」
雪原(せつげん)「ジジイにジジイと呼ばれたくないわ!」
雪原(せつげん)「四作なんてオナラぷーじゃ!」
四作(よさく)「品の無いジジイがッ!!」
細雪(ささめ)「2人とも、また喧嘩しているの? 雪は春になったら溶けるのに」
細雪(ささめ)「アンタたちは、永久凍土なみに打ち解けないのかしら」
四作(よさく)「さっちゃん! 今日もべっぴんさんだね♪」
四作(よさく)「ダイヤモンドダストより綺麗だ!」
雪原(せつげん)「ヒトの女に雪かけるヤツは、氷柱に当たって死んじまえって聞いたことないか〜?」
四作(よさく)「ねーよ!」
細雪(ささめ)(また始まった。 まあ結局、仲が良いのよね)

〇明るいリビング
豪雪(ごうせつ)「ヒャー! 2時間も除雪作業をやっていたのか」
小雪(こゆき)「熱中すると、時間忘れるからね! みんなお疲れさま〜」
豪雪(ごうせつ)「雪かきしたら暑いな! 汗かいたから、順番に風呂入ってこいよ」
豪雪(ごうせつ)「まずは霰から」
小雪(こゆき)「アラッ アナタと一緒じゃないの?」
豪雪(ごうせつ)「俺は除雪機を操作していただろ?」
霙(みぞれ)「俺もジジと雪かきしていたから、見ていないなあ」
雪原(せつげん)「スマン。ワシらも四作に絡まれていたから、霰を見ていないんだ」
小雪(こゆき)「最後に私が霰を見たのは雪山に登っている所よ・・・まさか!」
豪雪(ごうせつ)「ツリーホールか!」
豪雪(ごうせつ)「偶然出来た雪山の空洞に落ちた可能性もあるな!」
小雪(こゆき)「どうしよう。 私がちゃんと霰を見ていなかったから・・・」
細雪(ささめ)「小雪ちゃん、自分を責めないで。 まだその辺に居るかもしれないし」
豪雪(ごうせつ)「急いで手分けして探そう!」
霙(みぞれ)「ラジャー!!」
雪原(せつげん)「四作、何でお前が居るんじゃ!」
四作(よさく)「今は人命救助が最優先じゃ!」

〇雪洞
小雪(こゆき)「霰〜!」
小雪(こゆき)「お願い、返事してッ・・・」
小雪(こゆき)「シロ、何か見つけたの?」
小雪(こゆき)「キャアッ!」
小雪(こゆき)「霰のマフラー!!」
小雪(こゆき)「ア、アナタ! マフラーが庭にあったわ!!」
豪雪(ごうせつ)「霰が生き埋めになっているのかも!? 皆で急いで周辺を掘ろう!」
豪雪(ごうせつ)「ウオオオオオオ!! 唸れ闘魂!!」
「ファイヤ──────!!!!!!」
豪雪(ごうせつ)「頭が見えたぞ!!」
豪雪(ごうせつ)「エエッ!?」
「誰ェーェッ!?」

〇明るいリビング
泥棒「命を救ってくれてありがとうございます!!」
泥棒「ここの家は、いつも早朝から除雪で出払っているから、」
泥棒「つい出来心で盗みに入ろうと・・・」
細雪(ささめ)「それで庭の松の木の横に出来ていたツリーホールにハマって、生き埋めになってしまったのね!」
細雪(ささめ)「何だか気の毒だねえ」
雪原(せつげん)「このバカちんがあ! 泥棒と知っていたら、雪に埋め直してやったのに」
四作(よさく)「今からでも埋め直すか!」
泥棒「ヒィィ! ご勘弁下さい!!」
小雪(こゆき)「でも、あのマフラーは霰のものに間違いないわ!」
小雪(こゆき)「もう一度探しに・・・」
霰(あられ)「たっだいま〜!!」
「あ・ら・れ──────!?!!」
豪雪(ごうせつ)「心配させやがって! 探したんだぞ!!」
豪雪(ごうせつ)「今までどこに行っていたんだ!!」
霰(あられ)「え?え? パパたち、激オコなの?」
霰(あられ)「あられはジジに 『深雪ちゃんの家に遊びに行くね』って言ったよね?」
雪原(せつげん)「なぬッ、ワシ!?」
霰(あられ)「隣に四作ジジも居たから聞いていたでしょ?」
四作(よさく)「ふえッ!?オイラは聞いてな・・・」
細雪(ささめ)「あんなにお互いが怒鳴り散らしていたら、霰の声が聞こえないのもムリはないねえ」
細雪(ささめ)「2人とも、ゴメンなさいは?」
「す、済まない!!」
霰(あられ)(なーんちゃって!)
霰(あられ)(ホントは何も言わないで遊びに行っちゃったの!)
霰(あられ)(みんなあられのことを、すぐに信じちゃうんだよね!)
霰(あられ)(にゃはー♥末っ子はお得だよ〜!)
霙(みぞれ)「霰、大人は騙せても 兄ちゃんは分かってるぞ」
霙(みぞれ)「マフラー落としたことや行き先言うのも忘れるくらい、遊びに夢中だったみたいだな」
霙(みぞれ)「バラされたくなかったら、明日からマジメに雪かきに参加しろよ」
霰(あられ)「アイアイサー・・・」
豪雪(ごうせつ)「霰も無事に見つかったし、 景気づけに鍋パーティにしようぜ!」
  外はマイナス気温だけど
  部屋と人の心はあったかい北国(わがや)
  案外、寒いのも悪くないよ
霙(みぞれ)「これも北から目線かな?」
霰(あられ)「鍋で温まったらぁ、 アイス食べたくなっちゃうよね♪」
霙(みぞれ)「それな♪」

コメント

  • 北国マウントって、どんなことだろうと思って興味を持ちました‼
    なるほど、辛いことを逆にマウントできるんですねww
    人間って不思議だなぁ。
    北国あるあるが興味深かったです😁
    そして最後は、温かい家族で読んでるこちらがマウント取られました‼😵

  • 夏なのに鍋が食べたくなりましたー!
    あられちゃんしたたかですね😂でもかわいい

    出てきたのがまさかの泥棒でキャラと一緒にだれー!ていいました👍😂

  • 霰ちゃん、いいキャラしてますね! こういう末っ子キャラ大好きです。
    出身ではないですが北国にいたこともあったので、寒いけど雪降らないマウントとか共感しかないです。雪田家の家は2階にも玄関がありそうですね(マウント^^;)

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