はじまりの物語(脚本)
〇荒廃した市街地
──ぱたぱた、と何かが駆けてくる足音がする。
クレイ・トゥーリス「やりぃ!!これで能力者35人目!!グレースおばさんの盗まれた金も取り返せたし、今日は帰ったら御馳走だな!!」
ノーア・ヴィスコンティ「いよっしゃぁ!それにしても、アイツの顔面白かったなぁ。最後のあの絶望した顔!見た?コリン、見た!?」
コリン・アルデンヌ「(こくこく)」
ノーア・ヴィスコンティ「もー、本当最高だったな。しばらくあれだけでご飯3杯は軽くいけちゃうよ」
クレイ・トゥーリス「ほんとお前ってサイコパス」
ノーア・ヴィスコンティ「それほどでも♪」
クレイ・トゥーリス「褒めてねぇよww」
コリン・アルデンヌ「(毛布をぎゅっと抱きしめる)」
クレイ・トゥーリス「んあ?どーした、コリン。眠いのか?」
コリン・アルデンヌ「(ぶんぶん、と首を横に振る)」
ノーア・ヴィスコンティ「え、じゃあなんで・・・?」
能力者「あ、おい!!居たぞ!!捕まえろ!!」
クレイ・トゥーリス「げぇ!?おいおい、嘘だろ!!もう追って来てんのかよ!!」
ノーア・ヴィスコンティ「やばいやばいやばい!!どーすんの、クレイ!」
クレイ・トゥーリス「とりあえず家の近くで撒くぞ!!そこまで走れ!!」
ノーア・ヴィスコンティ「コリン!?大丈夫?走れる?」
コリン・アルデンヌ「(力強く首を縦に振る)」
クレイ・トゥーリス「じゃあ、行くぞ!!走れ!!」
〇入り組んだ路地裏
クレイ・トゥーリス「こっち!!クッソ、なんでこんなにたくさんいるんだよッ!!」
ノーア・ヴィスコンティ「分かんないよ!!とりあえず、クレイ!!」
クレイ・トゥーリス「どーした、ノーア!!何かいい方法でも見つかったのか?」
ノーア・ヴィスコンティ「一回炎出して!!怯ませた隙に逃げよう!!炎出した時の煙が目くらましになるかも!!」
クレイ・トゥーリス「了解!!」
ノーア・ヴィスコンティ「コリンも俺の傍に居てね!!離れないで!!」
コリン・アルデンヌ「(こくりと頷く)」
クレイ・トゥーリス「食らえっ!!」
能力者「クソ、能力か・・・!!ゲホッ、追え!!逃すな!!」
能力者「無理です!!煙で何にも・・・!!」
能力者「ちっ・・・逃げられたか・・・」
〇地下広場
クレイ・トゥーリス「ぜぇ・・・はぁ・・・」
ノーア・ヴィスコンティ「ここまでくればもう大丈夫。追ってきてない。コリンも安心しな。怖い奴らは何処かへ行ったよ」
コリン・アルデンヌ「(笑顔で頷く)」
──ここはその昔、アスランティアがスラムとなる前に作られた地下の広場。破壊行為が続くアスランティアに遺る建造物の一つだ。
クレイ・トゥーリス「さぁ、もう少しだ。着いたら俺はおばさんにお金を返してくる。その間にノーアは夕飯を作っておいてくれ。コリンはどうする?」
コリン・アルデンヌ「(ノーアの方を向いて何かを訴えようとする)」
クレイ・トゥーリス「ノーアのことを手伝いたいのか?」
コリン・アルデンヌ「(ぶんぶんと大きく頷く)」
ノーア・ヴィスコンティ「すっごい嬉しいなぁ。じゃあ、よろしくね」
──この時、彼らはまだ知らなかった。彼らの後ろを何者かが尾けているということに。
???「フッ。つけが甘いな」
口のきけないコリンを庇いながら行動する二人の優しさが健気で切ないです。大人を敵に回して少年たちだけでサバイバルする物語に弱いのでハラハラし通しでした。
こんな幼い少年たちが人を倒す方法とか逃れる方法とか考えないといけないなんて、大変だなあと思いました。
平和な世の中が一番良いけど平和が当たり前ではないと思い知らされる作品でした。
緊迫した状況や、必死に逃げる状況が凄くよく伝わってきました!
こうしてお金を稼ぐ理由や、少年たちの素性もとても気になります!是非続編を!