乃子さんに推されたい

中村朔

第6話 失われた推し! 0からの再スタート(脚本)

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〇荒廃した教室
紫怨「おーい、乃子ー。のーこー」
乃子「・・・・・・」
霊司「・・・だめですね。 魂が抜けちゃってるみたいです」
紫怨「幽霊のくせに魂が抜けるのかい。 器用な子だね。まあ気持ちはわかるけど」
紫怨「今までに稼いだ推しが消えちゃったんだからさ。残りはどれくらいだい?」
霊司「・・・100ないですね」
紫怨「これだけ少ないと現世に留まり続けるのも難しいね・・・あと数日ってところか」
紫怨「社長、あんたのせいだよ!」
P 「・・・・・・」
紫怨「あんたまで魂が抜けてんのかい! しっかりしな!」
  ――ビシッ!
P 「いたっ!!」
紫怨「さっさと爽介くんに会わせてあげればよかったのに、欲かいて連れ回すから!」
P 「デモデモ、ダッテ」
紫怨「ダッテじゃない! かわいそうに、爽介くんに会えなくなっちゃったねぇ」
乃子「・・・はっ! そ、爽介くん!?」
紫怨「あ、戻ってきた」
乃子「あ、あの・・・今からでも爽介くんに会えないですか・・・?」
紫怨「推しがないってことは人間に認知される力が弱いってことだからね」
紫怨「今の乃子はほとんどの人間には見えないんだよ。だから会いに行っても・・・」
乃子「そんな・・・」
紫怨「それより社長、どうすんだい。 このままじゃ乃子が消えちゃうよ?」
P 「どうするったって・・・どうすりゃいいんだよ」
紫怨「困ったねぇ・・・」
殺芽「お通夜みたいな雰囲気ね〜? まあ幽霊ばっかりだし? キャハハ!」
紫怨「殺芽!? アンタ、汚い手を使ってくれたね!」
殺芽「何のこと〜? そんなことより、今日はいい話を持ってきてあげたんだけど。乃子ちゃんに☆」
乃子「私に・・・ですか?」
殺芽「あんた、人間の男の子に入れ込んでるらしいじゃない。爽介くんだっけ?」
乃子「!? ど、どうして知って・・・」
殺芽「会わせてあげてもいいのよ? それくらい私の力でどうにでもなるんだから」
乃子「爽介くんに・・・会える・・・」
殺芽「その代わり、この事務所をやめて私の事務所に来なさい」
P 「乃子を引き抜くだと?」
殺芽「ただし、タレントとしてじゃなく・・・私の世話係としてね! どう? 悪い話じゃないでしょ?」
紫怨「あんた、どこまで腐ってんだい!」
乃子「・・・・・・」
紫怨「乃子! だめだよ、こんな話に乗・・・」
乃子「・・・お断りします」
殺芽「へえ。まあ、いいわ。 このまま成仏したいなら好きにすれば? キャハハ!」
P 「霊司! 塩撒いとけ!」
霊司「・・・僕らがダメージ受けますよ。 みんな幽霊なんですから」
紫怨「乃子、よく断ったね。 てっきり受けると思ったのに」
乃子「迷いましたけど・・・会いたいですけど・・・そうやって会いにいっても、違うって思ったから」
乃子「他に会いに行ける方法を考えてみます・・・」
P 「と言ってもな・・・」

〇廃列車
P 「結局、地道に心霊スポットで営業するしかないんだな」
乃子「・・・地道にやります。 最初はここから始まったんですし」
乃子「真面目に生きていれば、きっといいことがあるはずです! いえ、あの、もう死んでますけど」
P 「マジメねぇ。 今までそうやってきていいことあったか? 俺はなかったぞ」
乃子「ありましたよ!」
P 「どんなだよ」
乃子「ええと・・・爽介くんの横顔が見れたり、声が聞けたり、雑誌の文字の並びが偶然『そうすけ』に見えたり・・・」
P 「いいことの敷居が低いよ!」
P 「にしても誰も来ないな。 ここも乃子フィーバーで来る人が増えてたらしいけど、アレ以来まったくだな・・・」
  ――カサッ
P 「ん? 誰か来た?」
乃子「・・・!!」
爽介「・・・押井、いるのか?」
乃子「そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ、そ」
P 「怖いよ! 落ち着け!」
乃子「そ、爽介、くん・・・」
P 「えっ! あれが? じゃあ押井ってお前のこと?」
乃子「私の名字です・・・」
P 「すっかり忘れてた・・・」
乃子「・・・爽介くん!」
P 「やっぱり聞こえないか。 昨日までの乃子の声だったら聞こえたかもしれないけどな」
乃子「・・・どうしてここに?」
爽介「俺、幽霊とかあんまり信じてないんだけど、ネットで噂になってたここに出るっていう幽霊、押井なんだろ?」
爽介「あれが本当なら・・・ここにいるのか?」
乃子「・・・こ、ここにいるよ」
爽介「もしいるなら聞いてくれ。 みんな心配してる。早く目を覚ましてくれ」
乃子「・・・目を覚ます?」
P 「ん? もしかして・・・」

〇荒廃した教室
霊司「調べました。 乃子さん、死んでないですよ」
乃子「えっ!」
霊司「事故のショックで霊体が抜けたんですね。 体は生きていて病院で眠ってます」
紫怨「体が生きてるってことは、生き返れるのかい?」
霊司「それは難しいですね。 一旦離れた魂は簡単には肉体に結びつかないので。でも前例がないわけではないです」
紫怨「前例って100年に1度とかだろ? そんなの奇跡の一種じゃないか」
霊司「とにかく、生き返るにはたくさんの人の推しを得て、それをエネルギーにする必要があるらしいです」
P 「そんな推し、今の乃子にはどうにもできないだろ・・・」

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コメント

  • コメント書いてる人少なさそう
    麻里佳さん大好き

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