乃子さんに推されたい

中村朔

第5話 仕組まれた炎上 偽乃子さん登場!?(脚本)

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〇撮影スタジオ
カメラマン「乃子さーん、右に視線くださーい♪」
乃子「ふわわ」
カメラマン「次は左にお願いしまーす♪」
乃子「ふわわわ」
カメラマン「次は正面に♪」
カメラマン「次は真上に♪」
カメラマン「次は右斜め後ろ45度に♪」
乃子「ふわわわわわわわ」

〇撮影スタジオ
P 「乃子、おつかれ!」
乃子「目が回りました・・・撮影って大変なんですね・・・」
P 「バカヤロウ! 休んでないで次だ! 稼げるときに稼がないとな」
乃子「あの、目標にしてたREICAが貯まったので爽介くんに会いたいのですが・・・」
P 「そんなもん後回しだ!」
乃子「そ、そんなもん・・・」
P 「こんなに仕事があるのは歌姫コンテストで優勝して乃子フィーバーが起きてる今だけだぞ?」
P 「今のうちに事務所の借金を全部返しちゃおうぜ!」
乃子「それは私と何の関係も・・・」
P 「お前がREICA貯まったのも事務所が仕事取ってきたからだろ? ん?」
乃子「それはそうですけど・・・」
P 「次は雑誌のインタビューだ。えーと、『霊界ウォーカー』、『趣味の呪い』、『棲みたい廃墟・首都圏版』の3本だな」
乃子「ためになることを語れる自信がないです・・・」
P 「いいんだよ、流行りの奴が出てれば内容がなくても売れるんだから」
紫怨「やあ、乃子。大変そうだねぇ」
乃子「紫怨さん!」
紫怨「聞いたよ。また自殺志願の子を説得してやめさせたそうだね。 それも3人いっぺんに。やるじゃないか」
乃子「えっ?」

〇レトロ喫茶
P 「よーし、インタビューも終わりだ」
乃子「何を喋ったか覚えてません・・・」
P 「次は事務所に帰ってエッセイの執筆だな」
乃子「え・・・知ってると想いますけど私、文章のセンスが壊滅的・・・」
P 「本文はゴーストライターが書く。 お前はあとがきだけ書けばいいんだよ」
乃子「ゴーストのゴーストライター・・・」
P 「そう言えば、さっきのアレ、なんだ? 自殺志願者を3人助けたって」
乃子「わからないです・・・何かの間違いだと思いますけど」
霊司「乃子さん、お疲れさまです」
乃子「霊司さん!」
霊司「乃子さん、倒産寸前の会社の社長にアドバイスして会社を立て直したそうですね。 すごいじゃないですか」
乃子「えっ?」

〇荒廃した教室
紫怨「じゃあ全部デマなのかい?」
P 「紫怨が言ってたことも霊司が言ってたことも、乃子は知らないってよ」
紫怨「そうなのかい。 またうまくやったのかと思ったけど」
乃子「まったく身に覚えが・・・」
霊司「他にも色々噂が立ってますよ。 余命1ヶ月の花嫁の病気を治したとか、地球に衝突する予定の隕石を回避させたとか」
P 「神様かよ。なんでそんな噂が出るんだ。 どっかに乃子の偽物がいるのか?」
乃子「偽物だとしたら私よりぜんぜん優秀です・・・」
紫怨「有名税ってやつかねぇ。 それにしてはいい噂ばっかりってのが気になるね」
霊司「・・・まずいですね。 SNSで噂が拡がってます」
P 「いい噂だけなんだろ? ほっとけ」
霊司「まずいですよ。 いい噂ばっかりだと自作自演を疑われかねないです」
P 「って言ってもなぁ・・・別にこっちは自作自演でもステマでもないんだ。 ドンと構えとけ!」
乃子「は、はい」
P 「いざとなったら、俺が匿名アカを作りまくって否定コメントを流してやるから」
紫怨「ダメだよ。バレたら大炎上だよ」
霊司「だいいち現世に干渉することはルール違反ですよ。霊界監査局に罰せられます」
乃子「・・・そうなんですか?」
霊司「今まで乃子さんがやったみたいに、幽霊として人に接するのは問題ないんです」
霊司「でも生きてる人に憑依して操ったり、生きてる人のフリして情報を流したら、推し操作とみなされて罰せられるんですよ」
P 「そんなん、どこもやってるよ」
紫怨「政治力のある大手事務所ならいざしらず、うちみたいなボロがそれやったら事務所取り潰しだよ」
P 「大手か・・・まさか大手事務所の差し金じゃないだろうな」
霊司「自作自演を疑われるような噂を流して、乃子さんの評判を貶めようとしてるってことですか?」
紫怨「・・・あ。アタシ思い浮かんだ奴がいるわ」
霊司「奇遇ですね。僕もです」
P 「俺もだ。 くそ生意気で、しつこくて、キャハハって笑うやつだろ?」
乃子「・・・殺芽さんですか?」
紫怨「コンテストで負けたのを根に持ってるんじゃないかね」
紫怨「私が優勝するってあちこちに吹聴してたらしいから」
P 「くそっ。 俺たちもアイツの変なゴシップ流そうぜ!」
紫怨「だからやめなっての」
乃子「・・・殺芽さんって決まったわけじゃないですし、私は私で地道にがんばります!」
乃子「まじめにコツコツやってればみんな信じてくれるって、おばあちゃんが言ってましたから!」
紫怨「あんたは・・・何ていうか、いい子だねぇ。いい子すぎて心配だよ」
P 「記者会見でもするか? 今流れてる噂は嘘ですって」
乃子「カメラの前で喋るなんて絶対ムリです・・・」
紫怨「ていうか幽霊がどうやって記者会見開くんだい」
P 「言ってみただけだよ」
霊司「あっ!?」
P 「今度はなんだよ」
霊司「ネットTVで乃子さんが記者会見するらしいんですが・・・」
乃子「ええっ!? 私知りません!」

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