特異地蔵譚

わらやま

募集 サウナ地蔵 対策課(脚本)

特異地蔵譚

わらやま

今すぐ読む

特異地蔵譚
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇サウナ
サウナ地蔵「我が名はサウナ地蔵!!!!」
サウナ地蔵「我が求むのは強者のみ!!」
サウナ地蔵「己の限界を超え、我と鎬を削る者!!」
サウナ地蔵「そのような者が現れるまで」
サウナ地蔵「我はここで待つ!!」

〇昔ながらの銭湯
おじいさん「ハァ・・ なんなんじゃアイツは・・」
おじいさん「あんな地蔵がおっては商売あがったりじゃよ」
おじいさん「誰か助けてくれぇ」
阿僧祇 リンネ「サウナ三銃士を連れてきたわよ」
おじいさん「サウナ三銃士!?」
  官僚と国民の狭間で常に針の筵に晒されながらも耐え・・
  恨み節をぐっと飲み込み、ストレスは汗とともに排出する・・
  阿僧祇防衛大臣!!
阿僧祇防衛大臣「オフは大体サウナで過ごす私に任せろ!!」
  熱々のラーメンで鍛えられた体は、さながら溶鉱炉
  地蔵相手に遅れをとるわけにはいかない!!
  鉄の意志を持つ漢・・
  識者 十三!!
識者「暑ければ暑いほど、その後のラーメンが美味くなるのだ」
  明王に耐えられぬものは無し
  ”不動”で勝つと大言を吐くは・・
  不動明王地蔵!!
不動 明夫「サウナって成層圏突入より暑いの?」
「我ら、サウナ三銃士!!!!」
おじいさん「なんなんじゃこいつらぁ」
阿僧祇 リンネ「サウナ三銃士・・です」
おじいさん「お主のさっきの口上も一体なんなんじゃ!?」
阿僧祇 リンネ「いやー、ははは」
阿僧祇 リンネ(不動君がどうしてもやれってうるさいから)
識者「おじいさん安心してください」
識者「我々はサウナ地蔵と戦いに来たんです」
おじいさん「あやつの言うようにサウナ勝負をしかけるということか!?」
識者「ええ、サウナ地蔵はサウナにいる間は無敵」
識者「サウナ勝負で勝ち、サウナから出さなければいけません」
おじいさん「だ、だが、ワシも挑戦したが、あやつの我慢強さは尋常ではないぞ」
阿僧祇 リンネ「そのためのサウナ三銃士です」
識者「ええ、本日中に追い出しますよ」
識者「サウナ三銃士の名にかけて」
おじいさん(サウナ三銃士って・・)
おじいさん(何なんじゃ!?)

〇昔ながらの銭湯
阿僧祇防衛大臣「リンネ・・」
阿僧祇 リンネ「お父さん・・」
阿僧祇 リンネ「こんな前線に出てくるなんて珍しいね」
阿僧祇 リンネ「そんなにサウナが大事?」
阿僧祇防衛大臣「ここが行きつけの銭湯だという事もあるが」
阿僧祇防衛大臣「お前が前線に出てると聞いて心配でな」
阿僧祇 リンネ「・・あ、そう」
阿僧祇 リンネ(本当に過保護でウンザリ)
不動 明夫「ねぇねぇ、誰から行く!?」
阿僧祇防衛大臣「私が行こう」
阿僧祇防衛大臣「いつも君たちばかり前線に立たせてしまっているからな」
不動 明夫「おー、頼もしい!!」
識者(娘の前で格好つけたいだけに見えるが)

〇サウナ
阿僧祇防衛大臣「失礼する!!」
サウナ地蔵「ほう、挑戦者か!?」
阿僧祇防衛大臣「私は防衛大臣の阿僧祇!!」
阿僧祇防衛大臣「勝負だサウナ地蔵!!」
サウナ地蔵「なかなか良い面構えだ」
サウナ地蔵「いざ尋常に勝負!!」
阿僧祇防衛大臣「・・」
サウナ地蔵「・・」
阿僧祇防衛大臣「・・」
サウナ地蔵「・・」

〇昔ながらの銭湯
不動 明夫「このサウナ勝負・・」
不動 明夫「いくらなんでも”地味”すぎるよ」
不動 明夫「もう20分近くじっとしてるだけじゃん」
識者「だが、阿僧祇防衛大臣頑張っているぞ」
識者「中はかなりの高熱のはずだ」
阿僧祇 リンネ(お父さん・・やるじゃん)

〇サウナ
サウナ地蔵「やるな」
阿僧祇防衛大臣「はっ、そっちこそ」
阿僧祇防衛大臣(だが、こいつ)
阿僧祇防衛大臣(本当に強い)
阿僧祇防衛大臣(今この部屋の室温は130℃、 加えてここはドライサウナ)
阿僧祇防衛大臣(ただ、じっとしているだけで体がどんどん乾いていく)
サウナ地蔵「さて」
サウナ地蔵「ロウリュの時間だ」
阿僧祇防衛大臣「なっ」
阿僧祇防衛大臣(ここでロウリュ!?)
阿僧祇防衛大臣(こんなあつい熱風初めてだ!!)
阿僧祇防衛大臣(ぐぐぐぐぐぐぐ)
阿僧祇防衛大臣「も、もう無理だぁぁぁぁ」
サウナ地蔵「口ほどにもない」

〇昔ながらの銭湯
識者「大臣が耐えられないロウリュを」
不動 明夫「サウナ地蔵は悠々と耐えてたね」
識者「難敵だな」
識者「──次は私が行く」

〇サウナ
識者「邪魔するよ」
サウナ地蔵「今日は客が多い日だ」
識者「ふっ、何を言う あんたのせいで一般客は入れないんだ」
識者「サウナを愛する者たちの悲痛な叫びが聞こえないか?」
識者「悪いが出ていってもらうぞ」
サウナ地蔵「口ではなく身体で語るんだな」
サウナ地蔵「いざ、尋常に勝負!!」
識者「・・」
サウナ地蔵「・・」
識者「・・」
サウナ地蔵「・・」

〇昔ながらの銭湯
不動 明夫「やっぱり・・」
不動 明夫「絵面が”地味”すぎるよ」
阿僧祇 リンネ「今、お父さんの記録に並んだわ」
不動 明夫「なら始まるね」
不動 明夫「ロウリュが・・」
阿僧祇 リンネ「識者さん・・ 対策はあるの!?」

〇サウナ
サウナ地蔵「さあ、ロウリュの時間だ」
識者「ブツブツ」
サウナ地蔵「ほう、耐えられているか」
サウナ地蔵「何かブツブツと話しているが」
識者「極楽鶏・・ 天天国・・ ラーメン荘 仏を語れ・・」
サウナ地蔵「こやつ・・」
サウナ地蔵「有名ラーメン店をつぶやいている!?」
識者「よく分かったな」

〇ラーメン屋
識者「私は京都の一乗寺にラーメンを食べに行くが」
識者「その多くは人気店・・ 当然並ばなければならない」
識者「真夏の京都の炎天下の中な」
識者「それを思えば」

〇サウナ
識者「この暑さも耐えられる!!」
サウナ地蔵「ほう、考えたな」
識者「感心するのは早いぞサウナ地蔵」
識者「私の作戦はここからだ」
サウナ地蔵「ん?」
識者「猛暑タンメン本中」
サウナ地蔵「ぬっ!?」
識者「元祖新タンタンメン本舗」
サウナ地蔵「き、貴様!!激辛店の名前を読み上げるのをやめろ」
サウナ地蔵「身体が・・熱くなっていく!!」
識者「ふっ、人間はレモンを想像するだけで、口が酸っぱくなることがあるが」
識者「地蔵も同じようだな」

〇昔ながらの銭湯
不動 明夫「こ、これはアツい!!」
不動 明夫「おじさんならではの頭脳プレイだ!」
阿僧祇 リンネ(サウナ地蔵がたまたまラーメンに詳しかったから効果がある戦法だけど)

〇サウナ
識者「さぁ、観念しろ!!サウナ地蔵!!」
サウナ地蔵「小賢しいマネを・・」
サウナ地蔵「だがその作戦は・・」
  諸刃の剣だ
識者「何!?」
サウナ地蔵「冷やしラーメン」
識者「ひっ!?」
サウナ地蔵「冷やし中華」
識者「や、やめろぉ」
サウナ地蔵「どうだ?ここから出てラーメンが食べたくなってきただろう?」
サウナ地蔵「熱った身体に冷えたラーメン・・ そしてビール・・」
識者「い、今、極限状態でそんな甘言」
識者「た・・・」
識者「耐えられん」
サウナ地蔵「この我が”技”を使う事になるとはな」

〇昔ながらの銭湯
阿僧祇 リンネ「識者さんでもダメなんて・・」
不動 明夫「仕方ない」
不動 明夫「僕の出番だね」
不動明王地蔵「ちょっくら行ってくるぜ」

〇サウナ
不動明王地蔵「へぇー、これがサウナってやつか」
不動明王地蔵「大したことねぇな」
サウナ地蔵「お次は地蔵か」
不動明王地蔵「不動明王地蔵だ!よろしくな!」
サウナ地蔵「誰が来ようと我の敵ではない」
不動明王地蔵「はっ 言っとくが俺はこんな暑さ”へ”でもねぇぜ」
サウナ地蔵「ならばさらに暑くするか?」
不動明王地蔵「上等だ」

〇サウナ
サウナ地蔵「どうだ暑いだろう!?」
不動明王地蔵「全然余裕だが?」
不動明王地蔵「サウナってマジ大した事ないのな」
サウナ地蔵「・・サウナを愚弄されては」
サウナ地蔵「負けるわけにはいかんな」
サウナ地蔵「いざ、尋常に勝負!!」
不動明王地蔵「・・」
サウナ地蔵「・・」
不動明王地蔵「・・」
サウナ地蔵「・・」
不動明王地蔵「・・なぁ」
不動明王地蔵「あのテレビってつけないの?」
サウナ地蔵「テレビなどサウナには不要」
サウナ地蔵「ただ己の心と身体と向き合うこと」
サウナ地蔵「それがサウナだ」
不動明王地蔵「・・」
不動明王地蔵「Zwitchとか持ち込めねーの?」
サウナ地蔵「ダメだし、壊れるぞ」
不動明王地蔵「・・」
不動明王地蔵「うがぁぁぁああ!! こんな退屈な場所でじっとしてるなんて無理だぁぁぁ!!」
不動明王地蔵「フンッ」
サウナ地蔵「無駄だ」
サウナ地蔵「我はサウナにいる間は”無敵”」
サウナ地蔵「大人しくサウナに興じろ」
不動明王地蔵「・・」
不動明王地蔵「退屈だぁぁあ!!」
サウナ地蔵「あいつ本当に”不動”明王なのか?」

〇昔ながらの銭湯
おじいさん「・・」
「面目ない・・・」
おじいさん「何が”サウナ三銃士”じゃああ!!」
おじいさん「揃いも揃って敗北しとるじゃないか!?」
おじいさん「どうするんじゃ・・ワシの銭湯が・・」
阿僧祇 リンネ「・・」
阿僧祇 リンネ「私が・・行きます!!」
おじいさん「お嬢ちゃんが!?」
阿僧祇防衛大臣「リンネ!!」
阿僧祇防衛大臣「お前にはまだ早い!!」
阿僧祇 リンネ「お父さんは黙ってて」
阿僧祇 リンネ「いつもいつも私の心配してるけど」
阿僧祇 リンネ「私だって身体を張って特異地蔵と戦いたいの」
阿僧祇 リンネ「そのために・・」
阿僧祇 リンネ「特異地蔵対策課に入ったんだから」
阿僧祇防衛大臣「リンネ・・」
識者「大臣・・」

〇サウナ
阿僧祇 リンネ「私が相手よ!サウナ地蔵!」
サウナ地蔵「・・小娘、悪い事は言わない、帰れ」
サウナ地蔵「サウナ自慢どもが敗北していたのを見ていなかったのか?」
阿僧祇 リンネ「私が怖いの?」
サウナ地蔵「何?」
阿僧祇 リンネ「男だ女だ、誰かの娘だ・・」
阿僧祇 リンネ「そんなのウンザリ!」
阿僧祇 リンネ「私は阿僧祇リンネ個人として今この場に立ってるの」
阿僧祇 リンネ「サウナに来たら等しくサウナーでしょ? 違う?」
サウナ地蔵「ふっ、その通りだな、非礼を詫びる」
サウナ地蔵「いざ、尋常に勝負!!」
阿僧祇 リンネ「・・」
サウナ地蔵「・・」

〇昔ながらの銭湯
不動 明夫「今あの中は相当暑いはずなのに」
不動 明夫「リンネちゃん・・すごいよ」
阿僧祇防衛大臣「あのリンネが・・」
識者「阿僧祇リンネは根性のある娘です」
識者「大臣・・子供は、親の想像なんて軽く越えて成長していくものです」
阿僧祇防衛大臣「・・」

〇サウナ
サウナ地蔵「小娘・・なかなか・・やるな」
サウナ地蔵「だが・・もう限界だろ」
サウナ地蔵「水風呂に・・行ったらどうだ?」
阿僧祇 リンネ「ハァ・・ハァ・・冗談・・言わないで」
阿僧祇 リンネ「勝負はここからよ!!」
サウナ地蔵「な、なぜ、そこまで耐えられる・・?」
阿僧祇 リンネ「私はずっと耐えてきた・・」
阿僧祇 リンネ「親、友達、職場・・」
阿僧祇 リンネ「私を見ているようで私を見ていない」
阿僧祇 リンネ「その・・辛さがあなたにわかる!?」
阿僧祇 リンネ「それに比べれば・・サウナなんて・・」
阿僧祇 リンネ「へのかっば!!」
サウナ地蔵「なんとアツい思いよ」
サウナ地蔵「だが・・限界は思いとは裏腹に訪れるものだ」
阿僧祇 リンネ(ハァ・・ハァ・・ 意識が朦朧と・・)
「リンネ」
阿僧祇 リンネ「お父・・さん」
阿僧祇 リンネ「こんな時にまで・・ほんと過保・・」
阿僧祇防衛大臣「リンネ!!頑張れ!!」
阿僧祇 リンネ「えっ!?」
阿僧祇防衛大臣「俺は・・お前には母さんのようになってほしくなかったんだ」
阿僧祇防衛大臣「だから過保護になってしまっていた」
阿僧祇 リンネ「お父さん・・」
阿僧祇防衛大臣「いつまでも子ども扱いして・・」
阿僧祇防衛大臣「悪かった・・」
阿僧祇防衛大臣「お前はもう・・立派な”戦士”だ!!」
阿僧祇 リンネ「お父さん・・」
阿僧祇 リンネ「ありがとう・・私・・その言葉があれば」
阿僧祇 リンネ「まだ頑張れる」
サウナ地蔵(ぬうっ、親子のアツい愛・・)
サウナ地蔵(あ、汗が・・)
阿僧祇 リンネ「さぁ、サウナ地蔵!!」
阿僧祇 リンネ「私は絶対に負けない!!」
サウナ地蔵(小娘・・アツすぎる)
サウナ地蔵「我の・・」
サウナ地蔵「負けだ・・」
  強き”戦士”よ
阿僧祇 リンネ「ハァ・・ハァ・・やった」
阿僧祇 リンネ「私の勝・・・」
阿僧祇防衛大臣「リンネェェッ!!」
阿僧祇 リンネ「お父・・さん・・」
阿僧祇 リンネ「私・・強いでしょ」
阿僧祇防衛大臣「ああ・・本当によく頑張った!!」
阿僧祇 リンネ「へへへ」
阿僧祇 リンネ「お母さんの仇も・・」
阿僧祇 リンネ「いつか・・絶対・・」
阿僧祇防衛大臣「ああ」
阿僧祇防衛大臣「一緒に戦おう・・」

〇浴場
サウナ地蔵「ウォォォォォォォォォオ」
サウナ地蔵「ふぅぅぅぅぅ」
不動明王地蔵「どうだい?気分は?」
サウナ地蔵「最高だ」
サウナ地蔵「熱った身体が水で冷やされる事で」
サウナ地蔵「神経という神経が活性化されるのを感じる」
不動明王地蔵「”ととのう”ってやつか 生憎、俺には分からねーな」
サウナ地蔵「いつか分かる日が来るさ」
サウナ地蔵「あー、今は最高にととのっている」
サウナ地蔵「このまま死ねるなら本望だ」
サウナ地蔵「いいものも見れたしな」
不動明王地蔵「アンタ本当に・・」

〇黒背景
  強くて・・
  何より・・
  ”アツい”地蔵だったぜ

〇昔ながらの銭湯
阿僧祇防衛大臣「私はリンネを病院に連れて行く」
阿僧祇防衛大臣「お前たちは後処理を頼む」
識者「わかりました」
阿僧祇防衛大臣「識者・・」
阿僧祇防衛大臣「今までリンネへの任務について、あれこれ言っていたが」
阿僧祇防衛大臣「これからは全てお前の判断に任せる」
識者「・・わかりました」
阿僧祇防衛大臣「不動・・」
阿僧祇防衛大臣「娘が・・リンネが・・危険な目にあったら」
阿僧祇防衛大臣「守ってやってくれ」
不動 明夫「うん、もちろん」
阿僧祇防衛大臣「・・まだ過保護が抜けていないかな」
識者「子を持つ父であれば当然の思いです」
阿僧祇防衛大臣「そうか・・ では、行ってくる」
不動 明夫「リンネちゃん・・嬉しいだろうね」
識者「ああ、あの親子は色々あったが」
識者「今回の一件で」
識者「”ととのって”よかったよ」

次のエピソード:募集 喫煙者保護地蔵 オムニバス

コメント

  • いろんな意味で想像以上にアツいお話でした!
    『ととのった』締めに感服です😂

  • ウフフ、熱い…いやさ、暑い地蔵でしたね😅

    私もサウナーの気持ちが今一つ分からないぬるま湯マンですが、次の風呂ではサウナに凸してみますよ…

    そしてきっと、湯上がりのラーメンがおいしくなるハズ…🤤

  • リンネちゃん、我慢しすぎたら死んじゃうよ!ってちょっと心配でしたが💦アツい親子愛良かったです。
    不動くんパートのあいつ本当に不動か?ってツッコミに笑いました。
    頑張った皆さんでコーヒー牛乳(もちろん瓶の)飲んでください✨️

コメントをもっと見る(4件)

成分キーワード

ページTOPへ