青春盗聴譚

穂橋吾郎

エピソード21(脚本)

青春盗聴譚

穂橋吾郎

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〇開けた交差点
  光と龍也がスケートボードに乗りながら、道を走る車に張り付いている。
戸村龍也「どう、親御さん電話出た?」
久保田光「ダメだ、クソ、なんで――」
  そのとき、二人の隣に軽トラックがやってきて停車する。
久保田徳二「おー、どした光? 車なんかにひっついちゃって」
  軽トラックの助手席から顔を出したのは、光の父の徳二である。
久保田光「いや、早く帰らないと、父さんと母さんが・・・」
久保田光「え、父さん!?」
久保田徳二「あ、そうか、お前もついに男のロマンに目覚めてくれたか、おーそうか、んー!」
久保田光「ちょ、ねぇ父さん、すぐ母さんに連絡して、じゃないと」
久保田郁美「何、あたしがどうかしたの」
  トラックの運転席から、母の郁美も顔をのぞかせる。
久保田光「いや、だから、母さんが・・・」
久保田光「え、母さん、どうして!」
久保田郁美「このアホンダラがね」
久保田徳二「お得意さんにちょっとだけよーって誘われて、飲んじゃって、マイハニーに迎えにきてもらったのよ」
久保田郁美「わざわざバスで行って、トラック運転させられて、ホント最低」
久保田光「そっか、良かった」
久保田郁美「良くない、最低」
戸村龍也「久保ちゃん」
久保田光「うん」
久保田郁美「え、あ、戸村くん。 二人とも何して――」
戸村龍也「こんにちは。 あ、このグローブお借りしてます」
久保田徳二「おお、君、素晴らしい発想力」
久保田徳二「ぜひ、うちの光にもスパイ力をつけてやってくれ」
久保田光「父さん、母さん、家には帰らないで!」
久保田郁美「はい?」
久保田光「どっかで一緒に食事でもして、焼肉でも、なんでもいいから、とにかく絶対帰らないで!」
久保田光「絶対だよ!」

〇停車した車内
久保田徳二「なんだ、あいつ?」
久保田郁美「焼肉ねぇ・・・」
「・・・・・・」
久保田徳二「・・・牛丸行く?」
久保田郁美「叙々亭で」
久保田徳二「高い方かー・・・」
久保田郁美「ふっふっふ」

〇街中の交番
戸村龍也「交番前にとーちゃく!」
久保田光「はあ、はあ・・・」
戸村龍也「いやー、いい汗かいた」
久保田光「じゅ、十回ぐらい死にかけた」
戸村龍也「死にかけた分、いま生きてるって感じするよな、よし、行こう」
久保田光「ちょ、ちょっと待って」
戸村龍也「何? 大丈夫だって」
戸村龍也「いくらなんでも、こん中なら赤地も手出しできないって」
久保田光「うん・・・」
戸村龍也「どしたの」
久保田光「なんか、あまりにもあっさり過ぎて不安になるというか」

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