堀田探偵シリーズ第二弾『魔法使いと音の無い雨が降る町』

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第一話 依頼(脚本)

堀田探偵シリーズ第二弾『魔法使いと音の無い雨が降る町』

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〇田舎道
「はあ、はあ、はあっ!」
国会議員「な、何なんだこの町は」
国会議員「どうして音もなく雨が降っている?」
国会議員「ひ、ひいっ!」
国会議員「わっ、私が悪かった!」
国会議員「ダムの件は一旦白紙にする! 約束する!」
国会議員「ちっ、近づくな!」
国会議員「えっ!」
「──」

〇空
アナウンサー「警察の調べによりますと、 事故死したのは仲平信行議員(42)」

〇田舎道
アナウンサー「議員は音無雨町へ ダム建設の視察に訪れていた模様です」
アナウンサー「また、仲平議員は ダム建設推進派でした」
アナウンサー「町民の恨みを買っていた 可能性もあるとして、」
アナウンサー「警察は事件・事故両方の線から 捜査を進めています」

〇おしゃれなリビング
浜 伊織(はま いおり)「おーこわ」
浜 伊織(はま いおり)「事件の匂いがぷんぷんするなぁ」
浜 伊織(はま いおり)「ん? お客さんかな?」
???「あ、いいよ。対面は僕がやるから」
???「君たちは裏に待機しててくれ」
浜 伊織(はま いおり)「了解です」
初刷 論(はつずり さとし)「依頼人?」
初刷 論(はつずり さとし)「珍しい。所長が自分で聞き取り?」
浜 伊織(はま いおり)「そうみたいね」
浜 伊織(はま いおり)「でも、大体そういう案件は・・・」
「厄介な案件」

〇商店街
  とある商店街の路地裏に

〇殺人現場
  都内屈指の探偵事務所がある
  探偵はその見事な手腕から
  奇妙な二つ名を持っていた

〇モヤモヤ
  『魔法使い』、と

〇薄暗い廊下
  これは、その探偵と
  仲間たちの物語である

〇応接スペース
泉 礼華(いずみ れいか)「は、初めまして」
泉 礼華(いずみ れいか)「というかあの、 私探偵なんて初めてで」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「はは、大丈夫ですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「お探しの人はきっと 見つかりますから」
泉 礼華(いずみ れいか)「えっ!?」
泉 礼華(いずみ れいか)「あの、私予約はしましたけど 依頼内容なんて」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「まあ、ネットでのご依頼が 三日前ですからね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それだけあれば大体のことは わかりますよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「泉 礼華さん。今年31歳」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「クレーリー不動産にお勤めで 離婚歴が一回」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「先日お母様に先立たれ、 10歳の息子と二人暮らし」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「最近ブラジャーが合わなくなって サイズを大きく買い直・・・」
泉 礼華(いずみ れいか)「ちょ、ちょっと待ってください!」
泉 礼華(いずみ れいか)「あのっ、よくわかりましたから」
泉 礼華(いずみ れいか)「そ、それで・・・あなたは?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「これは申し遅れました 私、ここの所長をしております」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ハルッ・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「・・・」
泉 礼華(いずみ れいか)「・・・ハル?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「いえ、堀田晴臣と申します」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ご依頼内容をお伺いしますね」
泉 礼華(いずみ れいか)「あ・・・はい」
泉 礼華(いずみ れいか)「堀田さんのおっしゃる通り 私は人を捜しています」
泉 礼華(いずみ れいか)「探しているのは私の・・・父です」

〇山の中
泉 礼華(いずみ れいか)「父は歴史学者でした」
泉 礼華(いずみ れいか)「仕事を変えて引っ越しては 私費を投じて発掘をする毎日」

〇アパートのダイニング
泉 礼華(いずみ れいか)「私も母も、夢を追う父が好きで 応援していましたが・・・」
幼い礼華「う・・・お母さん」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「礼華!」
泉 礼華(いずみ れいか)「ある日、 幼い私が急病で倒れてしまったのです」

〇病室のベッド
主治医「娘さんは肺の血管に 異常な吻合部があります」
主治医「手術をしなければ 命に関わります」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「そんな・・・」

〇アパートのダイニング
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「ねえあなた。しばらく発掘は お休みできないかしら」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「手術代に入院費と色々かかると 私たちの生活が・・・」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「すまない・・・だが発掘はやめない」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「あと少しなんだ、 あと少しで世紀の発見が・・・」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「分かりました!」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「ずっと我慢してきたけど もう限界よ!」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「子供があんなことになっても 過去ばかり見ている父親なんて」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「必要ありません!」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「礼華は私が助けます」
佐々木 弥生子(ささき やえこ)「さようなら、哲司さん」
佐々木 哲司(ささき てつじ)「やっ、弥生子!」

〇総合病院
泉 礼華(いずみ れいか)「手術が終わって 元気になった私が最初に聞いたのは」
泉 礼華(いずみ れいか)「家族の形が変わったことでした」
泉 弥生子(いずみ やえこ)「礼華。お父さんはね、 もう私たちの家族じゃないの」
幼い礼華「え・・・」
泉 弥生子(いずみ やえこ)「あの人は家族より発掘を選んだの」
泉 弥生子(いずみ やえこ)「だからこれからは 二人で生きてきましょう、礼華」
幼い礼華「う・・・」
泉 礼華(いずみ れいか)「私は涙をこらえました」
泉 礼華(いずみ れいか)「だって母の方が私よりずっと 悲しそうな顔をしていたからです」
幼い礼華「・・・うん、わかった」
幼い礼華「帰ろう、お母さん」

〇女の子の一人部屋
泉 礼華(いずみ れいか)「それから毎月、 父から手紙が届くようになりました」
泉 礼華(いずみ れいか)「恐らく母が手紙だけは 私との交流を許したのでしょう」
幼い礼華「わあ! お花が入ってる!」
泉 礼華(いずみ れいか)「その手紙はいつだって 発掘のことばかり書いてたけど」
泉 礼華(いずみ れいか)「少しだけ、私の寂しさを 紛らわせてくれました」
泉 礼華(いずみ れいか)「でも・・・」
幼い礼華(お父さんは絶対『礼華に会いたい』 って書いてくれない・・・)
幼い礼華(きっと礼華にはもう 会いたくないんだ・・・)

〇空
泉 礼華(いずみ れいか)「それでも、この20年間 毎月必ず来ていた手紙でした」
泉 礼華(いずみ れいか)「ところが・・・」

〇応接スペース
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「半年前、ぱったりと手紙が 来なくなってしまった、と」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ」
泉 礼華(いずみ れいか)「きっと父は、私のことが 本当に気にならなくなったのでしょう」
泉 礼華(いずみ れいか)「でも、母が先月亡くなったので せめてそのことだけは伝えたくて」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「お気持ち、お察しします」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「お父様のお手紙はお持ちですか?」
泉 礼華(いずみ れいか)「はい、これです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「拝見します」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「住所は書いてませんね。 消印は・・・江東区か」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ。意外と都内にいるんだなぁって 思っていました」
泉 礼華(いずみ れいか)「実は・・・その」
泉 礼華(いずみ れいか)「非合法に住所を売る方にお金を払って 調べてもらったんです」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それは・・・良くないですよ ガセを掴まされる可能性もある」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ、でも結果、居なかったんです」
泉 礼華(いずみ れいか)「父──佐々木哲司という人間は 江東区内には住んでいないって」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それはそうでしょう」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「お父さんは自分の住所を 知られたくなかった」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「隣の区から出している可能性もありますし」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「仕事で他県から来たときに 出している可能性もありますからね」
泉 礼華(いずみ れいか)「ええ。よく考えて依頼するべきでした」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それでうちにご依頼をというわけですね」
泉 礼華(いずみ れいか)「はい」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「分かりました。 では、こちらにサインを」
泉 礼華(いずみ れいか)「これは?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「契約書と同意書ですよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「会うべきでない家族を会わせて どんなトラブルがあるかわからない」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「会った途端、あなたの父親が ナイフを取り出して刺すかもしれない」
泉 礼華(いずみ れいか)「そんな・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「あくまで可能性の話です」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「その時、我々に あなたを助ける義理はありません」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「冷たいようですが、 我々も自分の命は守りたいのでね」
泉 礼華(いずみ れいか)「わかりました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「結構です。 それではひとまず一週間」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「調査をして結果を報告します」
泉 礼華(いずみ れいか)「わかりました」
泉 礼華(いずみ れいか)「よろしくお願いします」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「さて、と」

〇おしゃれなリビング
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ハーマイオリー、ロンウイズリー 今の聞いてたかい?」
初刷 論(はつずり さとし)「ばっちり聞いてました」
初刷 論(はつずり さとし)「めちゃくちゃ美人でしたね」
浜 伊織(はま いおり)「そんなことより所長、 その呼び方止めてって言いましたよね」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そうだったかな?」
浜 伊織(はま いおり)「次呼んだら山手線で移動中に 痴漢として突き出しますよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ごめんなさい」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それでハー・・・浜くん 何かわかったことは?」
浜 伊織(はま いおり)「そうですね。 大したことは分かりませんでした」
浜 伊織(はま いおり)「日本にいる佐々木哲司は12人」
浜 伊織(はま いおり)「都内に二人、どちらも23区外」
浜 伊織(はま いおり)「あとは北海道に一人、 宮城、埼玉、兵庫と・・・」
浜 伊織(はま いおり)「まあ、全国に何人かいる感じですね」
初刷 論(はつずり さとし)「めちゃくちゃ調べてるやん」
初刷 論(はつずり さとし)「一体どうやって・・・」
浜 伊織(はま いおり)「知らない方がいいわよ」
初刷 論(はつずり さとし)「お、おう」
初刷 論(はつずり さとし)「じゃあ、これをしらみつぶしに・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「待った。恐らくその必要はないよ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「ほらこれらの便箋を見てごらん 何か気づかないかい?」
初刷 論(はつずり さとし)「いい匂いがします」
浜 伊織(はま いおり)「馬鹿じゃないの」
浜 伊織(はま いおり)「消印が全く同じ位置にある。 そこですよね?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「実は、どちらも正解だ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「まず、消印の謎からいこうか」

〇オフィスビル
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「実は日本の郵便局には 『引受消印』というものがある」
初刷 論(はつずり さとし)「消印を・・・引き受ける?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そう。文字通りの意味さ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「封筒を一つ多く用意して、 指定の郵便局に送ると」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「その郵便局の消印を 押してもらえるんだ」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「申し込みで詳細を記載すれば 消印の位置も指定できる」
浜 伊織(はま いおり)「つまり江東区の消印は偽装!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そういうことになるね」

〇おしゃれなリビング
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「次に、ロンくんの”匂い” について説明しよう」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「この便せんには 少なくとも二つ、匂いの元がある」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「一つは便せんそのもの これは多分ヒノキだろう」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「もう一つはこれ」
浜 伊織(はま いおり)「これは・・・ツバキ、ですか?」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「浜くんよくわかるね。その通り」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「そして、これらからわかるのは──」
浜 伊織(はま いおり)「長崎県ですね」
浜 伊織(はま いおり)「ググったらすぐ出ました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「一番いいとこなのに・・・」
浜 伊織(はま いおり)「長崎県に佐々木哲司は一人います つまり、そこに行けば」
初刷 論(はつずり さとし)「依頼人の父親に会えるってわけか!」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「それも僕が言いたかった・・・」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「まあいいや。 じゃあ、各人準備して長崎へ向かうぞ」
「了解しました」
堀田 晴臣(ほった はるおみ)「どうして一番いいとこ もってくかな・・・ブツブツ」
初刷 論(はつずり さとし)「長崎チャンポン、カステラ 県民の森~~~~♪」
浜 伊織(はま いおり)「・・・」
浜 伊織(はま いおり)「佐々木哲司が住む町・・・ 長崎県、音無雨(おとなめ)町」
浜 伊織(はま いおり)(ダム建設推進派の議員が 変死した町だわ)
浜 伊織(はま いおり)「はあ、やっぱり・・・」

〇空
浜 伊織(いおり)(厄介な案件になりそうね)

次のエピソード:第二話 音無雨(おとなめ)町

コメント

  • こう……また『ハリボテ』時のように依頼人の小さい疑問から、だんだんと大きなとんでもない事件に発展していくかと思うと恐ろし楽しみです😊
    ロン君の「いい匂いしますね」は「おぉ、気付けて偉いね!(?)」と思ったのですが、花の特定は結局浜さんなのがジワりました。

  • ホッターシリーズスピンオフ待ってました😆
    本格ミステリーな幕開け、しかし冒頭のゾンビ?は…!?🤔
    謎の秘められた田舎町というのがもうワクワクです!

  • 消印のサービス、初めて知りました😳
    前回も思いましたが、どうしてそんなところまで知識があるのだろうと不思議でした
    今回も、展開含めてそんな驚きがたくさんあるのだろうなと楽しみにしてます。

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