異世界の家族たち

冬木柊

異世界(アイドル×作家×vtuber)の家族たち(脚本)

異世界の家族たち

冬木柊

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〇教室
今日子「あなたにこの街から出て行ってほしいの!」
今日子「あなたが嫌いなの! 出て行って!!️」
「私は・・ あなたを友達だと思っています・・」
「私を嫌いにならないで・・」
今日子「なに言ってるのよ! キモいんだよ! お前!」
「恐子ちゃん・・」
「わたしはあなたのことが好きなの! あなたといつまでも友達でいたいの!!️」

〇教室
今日子「・・・・。」
「今日子ちゃん! 心の氷を溶かして!!️」
「今日子ちゃん!!️」
  これがわたしの姉、今日子

〇撮影スタジオのセット
  元子役で
  売れなかった元ジュニアアイドル

〇荒野
ヒーラー「辿り着いたわ、約束の地よ!」
恭平「いよいよだ!」
魔法使い「勇者・ターナ、明日は魔王との決戦」
魔法使い「最後の今日に私を食べて・・」
恭平「・・・・。」
魔法使い「あなたとの熱い思い出が最後に欲しいの・・」
  これがわたしのお父さん

〇書斎
担当 霧里深鈴(私を食べて?)
  売れないラノベ作家

〇宇宙戦艦の甲板
vtuber KYOKO「ここはどこでしょう?」

〇宇宙戦艦の甲板
vtuber KYOKO「そう、宇宙船です!」
vtuber KYOKO「それではここで音楽を!」
  これがわたしのお母さん

〇仮想空間
vtuber KYOKO「・・・・。」
  元舞台女優で

〇撮影スタジオ
  売れっ子のvtuber

〇一戸建て

〇おしゃれなリビングダイニング
担当 霧里深鈴「おはようございます、コーヒーを」
美郷「ありがとうございます」
今日子「お父さんの新作完成しました?」
担当 霧里深鈴「まだです、待つしかないと思ってます」
美香子「あなたたち! ゆっくり食べてないで! 早く学校に行きなさい!」
美郷「はーい」

〇住宅街
美郷「お姉ちゃんってお母さんと仲悪いね なんで?」
今日子「さあね」
悠太「美郷おはよ」
悠太「今日子さんおはようございまーす」
美郷「おはよー」
今日子「おはよ」
今日子「そうだ」
今日子「悠太くん、聞いていい?」
悠太「なんでしょう?」
今日子「わたしを食べて・・」
悠太「え!?」
悠太「はれ?、えっ?」
今日子「わかった、ありがとう・・」
今日子「美郷、先行くね」
美郷「う、うん」
悠太「美郷・・、今日子さんって可愛いよな・・」
優菜「美郷ちゃん、おはよう」
美郷「おはようございます」
優菜「美郷ちゃん 今日子、最近部活来ないけど何か知ってる?」
美郷「さあ」
美郷「お姉ちゃんのことだから 演劇部のことを軽く考えているかも・・」
優菜「そう、ありがとう」
美郷「そんなお姉ちゃんでいいのですか?」
優菜「高校演劇は同級生やお父さん、お母さん 先生、近所の知り合いがたくさん来るの」
優菜「そんな観客の目を見据えて演技をするのは 度胸がないとね!」
美郷「そうなんですね」
美郷「それで優菜さん、何を上演するんですか? 青春もの?」
優菜「「妖魔の剣」よ! 今度の金曜日!」
「え!?」
悠太「「妖魔の剣」って、 美郷のお父さんの作品だよな!」
美郷「優菜さん 「妖魔の剣」を上演するんですか?」
優菜「そうよ、地元の作家を大事にしなきゃ」
美郷「でも、お父さん その作品以降ずっとヒット作なしですよ」

〇炎
魔王「ふふふ、勇者・ターナお前を食べてやる」
恭平「・・・・。」
魔法使い「жалын!」
魔王「ギャアアア!」

〇書斎
担当 霧里深鈴(また食べてやる? なぜケーキ?)
恭平「どうかな?」
担当 霧里深鈴「ぜんぜんダメです・・」
担当 霧里深鈴「先生、流行りの悪役令嬢でも 書いてみては?」
恭平「今日子が子役の頃 意地悪な友人というのを演じてね・・」
恭平「そういうのは良くないと思った」
担当 霧里深鈴「でも先生、これじゃジリ貧です 奥様にずっとvtuberを続けてもらわないと」
恭平「・・・・。」

〇教室の外

〇教室
朋「ね、美郷、お母さんの動画配信観ていい?」
美郷「朋も好きね」

〇結婚式場のレストラン
vtuber KYOKO「ここはどこでしょう?」

〇結婚式場のレストラン
vtuber KYOKO「素敵なレストランですね」
vtuber KYOKO「もうすぐバレンタイン 素敵な人に大事なチョコ、プレゼントしたいですよね」
vtuber KYOKO「いいね、ありがとう!」

〇教室
朋「美郷のお母さんって人気ね」
悠太「でも、このKYOKOってvtuber 今日子さんがする予定だったんだよな?」
美郷「違う、お姉ちゃんが行き詰まっていた頃、 vtuberやってみたら?って言われただけ」
美郷「お姉ちゃんは嫌って言ったの 「するならお母さんがすればいい!」って」
朋「それでやってみたらお母さんが成功しちゃったのよね?」
美郷「そうなの」
朋「そんな簡単に人気になるもんなんだ」
美郷「4年前はまだvtuberって珍しかったのよ」

〇空港前

〇おしゃれな通り
「あれ? 今日子ちゃん?」
松岡りみ「今日子ちゃん! 久しぶり!」
今日子「りみちゃん、久しぶり」
松岡りみ「偶然、この近くの学校?」
今日子「ううん、今日は映画観にここに」
松岡りみ「すごい偶然だよ 実は私も今日子ちゃんに会いたかったの!」
今日子「え?」

〇メイド喫茶
マネージャー「実は今度 りみがドラマに主演することになったの 原作はこれ」
今日子「「魔王に嫁ぐ悪役令嬢」ですか・・」
マネージャー「そう、欲望にわがままな悪役令嬢に りみが転生してしまうって話なの」
マネージャー「ドラマの第一話は、 欲望とわがままばかりの悪役令嬢で ドラマの最後の5分でりみが転生するの」
マネージャー「その第一話 欲望とわがままばかりの悪役令嬢を 今日子さんあなたに演じてほしいの」
今日子「えっ?」
マネージャー「第一話はずっと主役で 第一話以降も回想シーン含め最終回も登場よ」
マネージャー「いい話でしょ?」
マネージャー「今日子さん、あなたが昔演じた“ 恐子 ”が この悪役令嬢のイメージにぴったりなの」
今日子「・・・・。」
松岡りみ「今日子ちゃんまた一緒に共演できるね」
今日子「・・・・。」

〇一戸建て
「という話があったの」

〇おしゃれなリビングダイニング
恭平「ああいう役は、役に取り込まれる 父さんは反対だ」
美香子「わたしも反対するわ」
担当 霧里深鈴「え? でもすごい役ですよ」
担当 霧里深鈴「考えてから判断したら? いつまでに回答なの?、今日子さん」
今日子「今度の金曜日からすぐ撮影だって」
美郷「あれ? じゃ、演劇部の舞台に出演しないの?」
今日子「それもあった・・」

〇一戸建て
「困ったな。。」

〇体育館の舞台袖
美郷「という話がお姉ちゃんに・・」
「えーーー!」
沙羅「今さら困るよ!、そんなのさ!」
優菜「でも今日子ちゃんにはチャンスよね・・」
沙羅「なに言ってるのよ! 今から代役なんて間に合わないよ!」
美郷「ごめんなさい・・」
沙羅「ごめんじゃすまない 私たちだってこの日の為に頑張ったの!」
優菜「今から「妖魔の剣」の 主演のセリフがすべて話せる人・・」
優菜「美郷ちゃんならわかるよね? お父さんが書いた本だから?」
美郷「え!?」

〇高い屋上
今日子「どうしようか・・」
女生徒C「なんだろう一体!? 緊急中継だって!」
女性徒D「よくわからないけど大事なことらしいよ!」

〇仮想空間
vtuber KYOKO「皆さん! 拡散希望! 拡散希望です! 私の大事な人に!」
vtuber KYOKO「自分が嫌だと思うことはする必要ない! でもチャンスだと思ったら失敗を恐れず 飛び込んで行って!」
vtuber KYOKO「チャンスは自分が手放したら! 他の人の処へ行くの!」
vtuber KYOKO「チャンスは絶対に逃してはダメ!!️」

〇高い屋上
女生徒C「なに?、何もわからないんだけど?」
女性徒D「彼氏へのメッセージ・・?」
今日子「・・・・。」

〇教室の外
担当 霧里深鈴「美郷ちゃんが今日子ちゃんの代役を務めるのですね」
恭平「それはそれで心配だ」

〇映画館の座席
悠太「おじさん、こんにちはー」
恭平「こんにちは」
悠太の母「こんにちは蔵本さん」
恭平「悠太くんのお母さん、こんにちは」
恭平「高校演劇はご近所さんが来てるんだね 恥ずかしいよ」
担当 霧里深鈴「注目されていることはいいことですよ」

〇古い競技場
瑞希「小間使い この満月の夜、敵は必ず攻めてくる 最強の剣士を早くここに!」
佳奈「はは、瑞希様!」
佳奈「瑞希様、剣士をお呼びしました!」
瑞希「美郷、なぜ遅れたか、理由を聞こう!」
美郷「・・・・。」

〇舞台袖
優菜「ダメよ美郷ちゃん! 緊張して声が出てない!」
沙羅「ど・・どうするのよ!?」

〇古い競技場
瑞希「美郷、なぜ遅れたか、理由を聞こう!」
美郷「・・・・。」
瑞希「・・・・。」
今日子「我は血の繋がらない一族! 故に風のように自由!」
瑞希「お前の霧は晴れたのか?」
今日子「嵐の涙で洗い流した」
瑞希「剣を携えたのなら、この私に剣の誓いを!」

〇舞台袖
優菜「大丈夫?、美郷ちゃん?」
美郷「う・・うん、なんとか・・」
沙羅「今日子、間に合ったみたいだね!」

〇黒背景

〇古い競技場
瑞希「今日子! 見事なり! 妖魔の剣! 敵は剣を捨てて逃げていったぞ!」
今日子「女王、瑞希よ 今ここであなたに告白したいことがある」
瑞希「なんなりと望むがいい!」
瑞希「黄金の夢! 広大な湖の土地! 全て与えよう!」
今日子「そんな大仰はない」
今日子「わたしを食べて・・」
今日子「そして口づけを・・ わたしを愛してほしい」
瑞希「ふふふ!、うぶな剣士よ! お前を食べてくれよう!!️」

〇舞台袖
沙羅「・・そして伝説に!」
「完結!!️」

〇映画館の座席
担当 霧里深鈴「素敵なお嬢さん、愛されてますね・・」

〇一戸建て
担当 山田深鈴「私は感動しました・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
担当 霧里深鈴「そこでこの企画を考えました!」
担当 霧里深鈴「小説は蔵本恭平! vtuberのお母さまでネットドラマ化!」
担当 霧里深鈴「そして──」
担当 霧里深鈴「「マルチバースの転校生たち」です!!️」
美郷「マルチバースって?」
今日子「ハリウッド映画は異世界作品を マルチバースって言うの」
今日子「いいね、映画なら わたしも主役演ってあげる!」
美郷「待って、そこにわたしもいるんですけど・・」
担当 霧里深鈴「マルチバースでは 主役が二人いても大丈夫なんですよ!」
美郷「ええ! なんでわたしが女優になるの!?」

〇一戸建て
担当 山田深鈴「お姉さんと共演! 素敵じゃないですか!」
美郷「なに言ってるの! 嫌に決まってるでしょ!」
担当 山田深鈴「あら?、どうして?」
美郷「お姉ちゃんとお母さん見てたら当たり前でしょ!!️」

〇おしゃれなリビングダイニング


〇古い競技場

〇映画館の座席
  FIN

コメント

  • エンタメ業界は一見華やかだけど、裏ではそれぞれに心の葛藤があるんですね。悠太、担当者、美郷の友達など、一家を取り巻く周囲の人々もきちんと描かれていて、ストーリーの引き締め役や盛り上げ役を果たしていてすごいと思いました。 

  • 今日子が子役の時の思いを払拭しきれずに、毎日モヤモヤ生きてきたけど、それを乗り越えて演劇部も出て映画主演もできてとても良かったです!👍
    悪女イメージってなかなか取れないですし、ライバルが活躍しているのを見るとモヤモヤする気持ちもわかります…

  • それぞれが自分の役割をよく分かっている家族ですね。こんなに濃い個性の人達なのに最後は上手くまとまって、やっぱりそこが家族なんだなあと感じました。

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