エコさんは天然素材でできている

ゆきんこ

#オッケーエコ!(脚本)

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〇教室
優子先生(ゆうこ)「今日は『家族』をテーマに作文を書いてもらいます!」
優子先生(ゆうこ)「例えば最近は、『ペットも家族だよ』って家もあるかもね!」
優子先生(ゆうこ)「哉生クンはどうですか?」
哉生(さいせい)「僕の家族は父ちゃんと母ちゃんとミミちゃんです!」
優子先生(ゆうこ)「ミミちゃん・・・ニャンちゃんかな? それともワンちゃん?」
哉生(さいせい)「ミミズです! 100匹居ます!!」
優子先生(ゆうこ)「オエッ・・・」
優子先生(ゆうこ)「真面目に答えなさい!」
哉生(さいせい)「僕、フザケてなんかいませんッ」
哉生(さいせい)「ミミズは大切な家族です!」
崇士(たかし)「先生〜、コイツはクラス中の小さくなった鉛筆集めて、くっつけて使ったり」
崇士(たかし)「ランドセル代わりにエコバックで登校する変人なんです」
崇士(たかし)「ミミズがペットでも許して下さい!」
崇士(たかし)「ちなみに俺様は警察犬として調教された シェパードを飼っていますけどね〜」
哉生(さいせい)「変人ちゃうわい! SDGsだわい!」
崇士(たかし)「えすでぃ?」
優子先生(ゆうこ)「よく知っているわね!」
優子先生(ゆうこ)「エスディジーズは2015年の国連サミットで決めた『持続可能なより良い世界を目指す国際社会の目標』のことよ」
哉生(さいせい)「僕のランドセルだって、 ただのエコバックじゃないんだぞ!」
哉生(さいせい)「70℃のお湯で溶けるんだ!」
「ス、スゴいけど、 教科書はどうやって持って帰るの?」
哉生(さいせい)「忘れてた!」
優子先生(ゆうこ)「エコ意識が高いのね!」
優子先生(ゆうこ)「もしかしたらペットのミミズも、 『ミミズコンポスト』のこと?」
哉生(さいせい)「そうだよ! 生ゴミを食べたミミズの排泄物が 栄養分たっぷりの肥料になる」
哉生(さいせい)「その肥料を使った畑は安全で美味しい野菜を育てることが出来るんだよ!」
優子先生(ゆうこ)「す、スゴいわ哉生クン!」
優子先生(ゆうこ)「ぜひ、ミミについての作文を書いて下さいね!」
優子先生(ゆうこ)「クラスを代表して全校集会の時に発表してもらいます!」
崇士(たかし)(クソッ! ただのビンボー人のくせに!!)
崇士(たかし)(ママに言いつけてやるッ)

〇大きな一軒家
哉生「ただいまエコ!」

〇実家の居間
愛心(えこ)「おかえりエコ! お弁当は残さず食べた?」
愛心(えこ)「食品ロスは現代社会が抱える問題の一つだからね!」
哉生(さいせい)「食べたっちゃ食べたけど・・・」
哉生(さいせい)「箸じゃなくてボールペンが入ってた!」
愛心(えこ)「ゴメ〜ン!! 箸と色が一緒だったからつい・・・」
哉生(さいせい)「どうせ僕は変人で有名だから、 誰にも指摘されなかったよ!」
愛心(えこ)「変人って・・・それってイジメ!?」
哉生(さいせい)「心配しないで!」
哉生(さいせい)「逆に今日、ミミの作文で全校集会の代表に選ばれたんだ!」
哉生(さいせい)「母ちゃんも絶対見に来てね!!」
愛心(えこ)「モチロン!」
愛心(えこ)「TV電話で 父ちゃんにも報告しよう!」

〇アマゾン川のほとり
琳寧(りんね)「哉生が作文を読むのか! 俺もリアルタイムで聞きたかったぜ!」
哉生「父ちゃんスゴい格好だね!」
琳寧(りんね)「父ちゃんはこの土地のインフラ整備をしているんだが、」
琳寧(りんね)「日本人は1人だけだから、現地に溶け込むために同じ格好をしているのさ〜」
哉生(さいせい)「1人で仕事するのは寂しいね」
琳寧(りんね)「父ちゃんは誰とでも仲良くなれるから、大丈夫!」
哉生(さいせい)「いいなあ」
哉生(さいせい)「僕はクラスメイトに変人だって言われているから、いつも浮いているよ」
琳寧(りんね)「それはマズイぞ!」
琳寧(りんね)「間違ってもイイし解りあえなくてもイイから、自分の気持ちはハッキリ伝えてみな」
琳寧(りんね)「明日ヤロウはバカヤロウ! 今日から自分を変えてみよう!!」
琳寧(りんね)「オッケーエコ?」
哉生「オッケーエコ!」
哉生(さいせい)「やっぱり父ちゃんはエコカッコイイ!」
哉生(さいせい)「僕も将来は海外協力派遣隊に入って、 海外でエコな活躍をするんだ!!」
愛心(えこ)「う〜ん」
愛心(えこ)「哉生はまず、日本で何ができるかを勉強してみたら?」
愛心(えこ)「母ちゃんも、昔は現地に行かなきゃって思っていたけど」
愛心(えこ)「逆に日本に居ることで支援になることも、いっぱいあるんだよ!」
哉生(さいせい)「ふーん」
琳寧(りんね)「まあ、父ちゃんと母ちゃんは派遣隊で知り合ってエコ結婚したからな!」
琳寧(りんね)「見た目じゃなく、中身が素敵な女のコ探したかったら派遣隊に志願したらイイさ〜」
琳寧(りんね)「ちょっと天然すぎるけどな!」
哉生(さいせい)「ウン、分かった!!」
愛心(えこ)(あれ 今、褒められた?それともけなされた?)

〇ボロい校舎

〇体育館の舞台
「作文の発表が中止!?」
優子先生(ゆうこ)「ゴメンなさい!」
優子先生(ゆうこ)「急遽、PTA会長が5月のイベントの話をすると言いだしたんです」
優子先生(ゆうこ)「西園寺さんは理事長の娘さんなので、 圧力が強くて・・・」
哉生(さいせい)(崇士の母ちゃんだ!)
愛心(えこ)「大人の事情なら仕方ないね!」
優子先生(ゆうこ)「せっかく来校して頂いたので、 良かったら全校集会の見学をどうぞ!」
美栄子(みえこ)「生徒の皆さん、おはようございます。 PTA会長の西園寺です」
美栄子(みえこ)「毎年恒例の5月のイベントで使う巨大鯉のぼりのことですが・・・」
美栄子(みえこ)「私は鯉のぼりの買い替えを提案します」
美栄子(みえこ)「開校時から使用している巨大鯉のぼりの、劣化が酷くてサイアクです!」
美栄子(みえこ)「ちなみに私が愛用しているハイブランドに新しい鯉のぼりの見積もりを試算してもらいました」
校長「拝見致します」
校長「ぬぉおおお!? 学校の年度予算でも足りない数字ですが!?」
美栄子(みえこ)「オーダーメイドだもの、当然でしょ?」
美栄子(みえこ)「足りない分は各家庭に割り振って補填してもらえば良いじゃない」
校長「し、しかし保護者の同意が得られるかどうか・・・」
愛心「私は反対です!!」
愛心(えこ)「巨大鯉のぼりは買い替えるのではなく、リペアするというのはどうでしょう?」
愛心(えこ)「せっかくの伝統がある巨大鯉のぼりを次世代に繋げていけたら、」
愛心(えこ)「もっと学校が教育の場としての意義を持つのではないでしょうか!?」
美栄子(みえこ)「クッ!!」
優子先生(ゆうこ)「わっ、私も真清さんの意見に賛成です!」
優子先生(ゆうこ)「私はこの学校の卒業生で、 シンボルでもある巨大鯉のぼりが大好きでした」
優子先生(ゆうこ)「少しでも形を残せるなら、リペアをお願いしたいと思います!」
美栄子(みえこ)「なっ、何なのよ。 じゃあ、アナタたちだけでどうにかしなさいよ!」
美栄子(みえこ)「私知らないから!」
愛心(えこ)「優子先生、 ありがとうございます!」
優子先生(ゆうこ)「真清さんが発言して下さったおかげです!」
校長「お二人とも素敵でしたね!」
校長「しかし、弱りました」
校長「巨大鯉のぼりは初代校長に寄贈して頂いた特注品で 既製品の3倍はあるんですよ」
校長「リペアと言ってもどこの業者に委託したら良いものか・・・」
愛心(えこ)「校長先生! それなら私たちでやってみませんか!?」
哉生(さいせい)「エエ〜!?」

〇教室
優子先生(ゆうこ)「皆さんの力をお借りして、 巨大鯉のぼりのリペアをしたいと思っています!!」
優子先生(ゆうこ)「協力してもらえるかな!?」
「習い事があるからパス」
「工作苦手だし、 足手まといになるのイヤだな」
哉生(さいせい)「もちろん強制じゃないから、 参加する・しないは自由だよ!」
哉生(さいせい)「出来る日だけ手伝ってくれてもいいし、途中で辞めてもイイ!」
哉生(さいせい)「でも──コレだけは言っとくよ。 明日ヤロウはバカヤロウ!」
哉生(さいせい)「今日変わりたいヤツは手伝いに来て!」
哉生(さいせい)「オッケーエコ? じゃあな!!」
崇士(たかし)「『オッケーエコ』って何?」
崇士(たかし)「誰も変人の手伝いになんか行かねーよ!」

〇田舎の学校
崇士(たかし)「アアッ!?」
崇士(たかし)「めちゃくちゃ人が集まっとる!!!!」
哉生(さいせい)「みなさん宜しくお願いします!!」
愛心(えこ)「大きい穴は家庭から出た古布で当て布してから縫ってね!」
優子先生(ゆうこ)「古着はリサイクルに出していたけど、今回は使えて良かったです!」
愛心(えこ)「発展途上国では世界中から古着が送られ過ぎていて、ゴミ処理場がパンクしているの」
愛心(えこ)「地産地消の方が今の時代はエコですよ」
「哉生ママ、スゴいね!」
「浪費家のPTA会長とは大違いね!」
崇士(たかし)「ママ、何とかしてよ!」
美栄子(みえこ)「ママにイイ考えがあるわ。 あなたにも手伝ってもらうわよ!」

〇田舎の学校
優子先生(ゆうこ)「イイ天気。 リペア日和ね〜!」
優子先生(ゆうこ)「ア・・・アアアッ!」
優子先生(ゆうこ)「鯉のぼりが切り裂かれている!」
愛心(えこ)「ヒドイ・・・」
哉生(さいせい)「みっ、みんなが力を合わせて直していたのに・・・もう少しで完成だったのに」
哉生(さいせい)「ウェーン!!」
優子先生(ゆうこ)「補修ならともかく、切ったものを 貼り合わせても不格好ですよね・・・」
優子先生(ゆうこ)「手伝って頂いた皆さんや校長には、 私から謝罪しますね」
愛心(えこ)「貼り合わせる・・・?」
愛心(えこ)「それよ先生!」
「え?」

〇田舎の学校
崇士(たかし)「クククッ 今頃大騒ぎだぞ!」
崇士(たかし)「哉生の泣きっ面が目に浮かぶぜ」
崇士(たかし)「なんだアレ!?」
優子先生(ゆうこ)「パッチワークキルトみたいに、古着と切れ端を貼り付けた鯉のぼりだなんて、斬新ですね♪」
愛心(えこ)「切り裂き方がキレイで良かったわ! 犯人は根は真面目ね」
哉生(さいせい)「よし!」
「パッチワークエコ鯉のぼり完成!!」
校長「真清さんお疲れさまでした! 保護者の方や生徒たちにも大好評でしたよ!!」
愛心(えこ)「私も伝統を繋いでいくだけじゃなくて、共に頑張るという経験を子供にさせられて良かったです!」
愛心(えこ)「ハッピーエコ!」
哉生(さいせい)「あれ 向こうがやけに騒がしくない?」
愛心(えこ)「あーーー!?」
愛心(えこ)「間違えて、哉生のパンツ縫いこんでる!?」
哉生(さいせい)「パンツの再利用だけはヤメてって、 いつも言っているのにィー!!」
愛心(えこ)「ご・・・」

〇空
「ゴメンなさ〜い!!!!」

コメント

  • 世界的な社会問題と絡めて、エコを発信できるの素敵なアイディアだなーと思いながら読ませていただきました!
    「変わってる」ではなく「エコ」なんだよ、というのが良いですね👍少し抜けてるお母さんも可愛くてほのぼのしました〜😊
    余談ですが、私も小学生の頃ミミズを学校で飼ってました!茶殻を入れて育てて、花壇の肥料にしていたのですが結果全ミミズに逃げらたのを思い出しました…😂

  • SDGsや持続可能な社会というのは、多くの方にはまだピンと来ないワードですし、こういう身近な物語で伝えられると、誰もが楽しく理解できそうです^^
    ミミちゃんたちが活躍する話、たしかに見たいですね。他には、お父さんがメインの海外編とかもまた違った視点で、勉強になりそうです!

  • SDGs、言葉としては知ってても今の子供の方が詳しそうですねえ😅
    啓蒙的な要素と絡ませて広げらていけそうなお話だと思いました😃

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