家族の想い出奪還作戦

結ヰ織

家族の想い出奪還作戦《家》(脚本)

家族の想い出奪還作戦

結ヰ織

今すぐ読む

家族の想い出奪還作戦
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇崩壊した道
  ────世界は

〇荒廃したショッピングモール
  突如現れた魔物の驚異にさらされて
  虚しくも壊滅した

〇テントの中
医者「まことに残念ですが 弘子さんの余命は────」
医者「持って、あと半年です・・・・・・」
郷田 弘子「そ、そんな・・・・・・」
郷田 博「このやぶ医者が!! テキトウなこと言ってんじゃねぇよ!」
郷田 弘子「あなた止めて!」
郷田 博「おまえ・・・・・・」
郷田 博「ちくしょう どうして・・・・・・」
医者「現代医療での延命は可能でした・・・・・」
医者「しかし、魔物の侵略によって 医療技術は著しく衰退してしまいました」
医者「私たち医者も悔しいんです これまで治せていた病気が治せなくなってしまって・・・・・・」
郷田 博「・・・・・・くそ」
医者「ひとまず、まだベッドには空きがあります 医療用天幕で入院という形をとりましょう」
医者「ここには交代制で24時間看護師が居るので 何かあった時にできる限りの対応はできると思います」
郷田 博「弘子・・・・・・」
郷田 弘子「私は大丈夫だから・・・・・・」
郷田 弘子「将司と明美のことお願いね ────あなた」
郷田 博「あぁ」

〇崩壊した訓練場内
郷田 博「母さんの余命はあと半年だそうだ」
郷田 将司「・・・・・・そんな」
郷田 明美「・・・・・・うっうぅぅ やだよ、お母さん・・・・・・」
郷田 将司「か、母さんはこれからどうするの?」
郷田 博「とりあえず、医療テントの方で入院する」
郷田 将司「・・・・・・いつまで?」
郷田 博「わからないが 現在の医療で治療する方法が無い以上」
郷田 博「少しでも長生きできるよう ずっと入院してるしかない」
郷田 明美「・・・そんな」
郷田 明美「そんなの可哀想だよ」
郷田 博「だが、これが母さんを少しでも延命させる 最善の手段なんだ」
郷田 将司「母さんは、それで良いって 言ってたの?」
郷田 博「私は大丈夫だから お前たちのことお願いって・・・・・・」
郷田 明美「お母さん・・・・・・ こんな世界になって つまらない毎日のなかで・・・・・・」
郷田 明美「やっぱり可哀想だよ・・・・・・」
郷田 博「・・・・・・」

〇テントの仮眠エリア
郷田 博「弘子・・・・・・」

〇崩壊した訓練場内
郷田 明美「こんな世界になって つまらない毎日のなかで・・・・・・」
郷田 明美「やっぱり可哀想だよ・・・・・・」

〇テントの仮眠エリア
郷田 博(よし、決めた!)
郷田 博(弘子、お前をこのまま死なせてたまるか)

〇入場ゲート
郷田 博(引退して数年か・・・・・・ この駐屯地に来るもの久しぶりだな)
郷田 博「まだ、残っているといいが・・・・・・」
郷田 博「あった、あった」
郷田 博「これさえあれば 家族との想い出を────」

〇崩壊した訓練場内
郷田 博(銃器は車の中に隠しておくか)
郷田 博(作戦のことは弘子にはもちろん)
郷田 博(将司と明美にも黙っておこう)
郷田 博(心配かけるわけにもいかないからな)
郷田 将司「と、父さん・・・・・・」
郷田 将司「どうしたの? 自衛隊の時の服なんて着て」
郷田 博「あ、いや・・・・・・ これはその・・・・・・」
郷田 博(まずい、なんて説明するべきか・・・・・ とりあえず車からは離さないと)
郷田 明美「ちょっと、お父さん・・・・・・ 車の中に何かあるの?」
郷田 明美「え・・・・・・」
郷田 将司「アサルトライフルにハンドガン!!!!!」
郷田 将司「どうして、こんなの持ってるの?」
郷田 博「・・・・・・」
郷田 明美「お父さん、何か隠してる?」
郷田 明美「ううん、何かしようとしてるの?」
郷田 博「・・・・・・」
郷田 明美「もしかして、 お母さんのために何かしようとしてるの?」
郷田 博「!?」
郷田 明美「やっぱり、そうなんだ」
郷田 将司「そうなの父さん?」
郷田 博「お、お前たちには関係ない!」
郷田 明美「関係あるよ! 家族なんだから!」
郷田 明美「お父さんが、お母さんために何かしようとしているなら私たちだって手伝いたい」
郷田 明美「私たちだってお母さんが大好きなの!!」
郷田 博「・・・・・・」
郷田 博「危険なことだぞ・・・・・・」
郷田 博「俺がやろうとしていることは 下手すると自分が死ぬかもしれない」
郷田 博「それでもやるのか?」
郷田 明美「やる!!」
郷田 明美「そんなに危険ならなおさらよ お父さん一人でやらせられないわ」
郷田 明美「ね、お兄ちゃん!」
郷田 将司「うん」
郷田 博「わかった」
郷田 博「それでは、作戦の概要を説明する」
(なんか、変なスイッチ入った・・・・・・)
郷田 博「まず、作戦名は────」
郷田 博「家族の想い出奪還作戦だ!!」

〇一戸建て
郷田 博(やっぱり想い出がいっぱい詰まってる場所 家族の帰る場所)
郷田 博(家が一番最初だよな)
郷田 博(人の家に勝手に住み着きやがって)
郷田 明美「お父さん」
郷田 博「いよいよ、実戦だが大丈夫か?」
郷田 明美「もちろん、剣道部主将の実力みせてやるわ」
郷田 将司「俺も大丈夫」
郷田 博「よし、作戦開始!!」
郷田 明美「せや!」
スライム「ぐぎゃ・・・・・・」
郷田 将司(実際に銃を撃つ感覚 ゲームとは違うけど)
郷田 将司(一撃でコアを撃ち抜く)
スライム「ぎゅう・・・・・・」
スライム「ぎゃぁ!!!」
郷田 明美「お兄ちゃん!危ない!」
郷田 博「将司!どけ!」
スライム「ぎゃう・・・・・・」
郷田 明美「お兄ちゃん、大丈夫!?」
郷田 将司「ありがとう父さん・・・・・・」
郷田 博「集中しろ! まだまだ敵は多い!」

〇おしゃれなリビングダイニング
郷田 明美「せやーー!!」
スライム「ぎゅあや・・・・・・」
郷田 博「一人で良くやったな、明美」
郷田 明美「ううん、大切な家に銃弾の跡 残したくなかったから」
郷田 将司「もう魔物はいないみたい」
郷田 明美「やった! 私たちの家!奪還成功!」
郷田 博「二人とも本当によくやってくれた・・・・」
郷田 博「ありがとう」
郷田 明美「なに言ってるのよお父さん」
郷田 明美「まだ、終わってないでしょ」
郷田 将司「そうだよ、父さん 早く母さんを」
郷田 博「そうだな!」

〇住宅街の道
郷田 弘子「あなた、どこに行くのよ」
郷田 弘子「それにどうしたの、その格好・・・・・・」
郷田 博「いいから、いいから」
郷田 弘子「あれ、こっちの方向って・・・・・・」

〇一戸建て
郷田 弘子「ここ、私たちの家・・・・・・」
郷田 明美「お母さん────」
郷田 将司「母さん────」
「おかえり!!」
郷田 弘子「あなたたちまで・・・・・・」
郷田 弘子「ここは危ないのよ! どうしてこんなところにいるの?」
郷田 明美「大丈夫よ ここに住み着いてた魔物は ぜーんぶ倒したんだから」
郷田 弘子「え、どういうこと?」
郷田 将司「父さんが母さんと一緒に 最後に想い出の場所を回ろうって」
郷田 将司「それで、まずは家族の家を魔物どもから 奪還したんだよ」
郷田 弘子「あなた────」
郷田 弘子「危ないじゃない! 子供たちまで巻き込んで!」
郷田 博「おまえ・・・・・・」
郷田 明美「お父さんを責めないで、お母さん」
郷田 明美「私たちが無理に頼んだの 手伝わせて欲しいって」
郷田 明美「お母さんに・・・・・・ 会えなくなっちゃう前に私もお兄ちゃんもお母さんと一緒に想い出の場所」
郷田 明美「行きたかったから・・・・・・」
郷田 弘子「明美・・・・・・ 将司・・・・・・」
郷田 弘子「あなた・・・・・・」
郷田 博「家の中に入ろう、弘子」
郷田 弘子「ええ」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

コメント

  • 「想い出を奪還する」ってどういう意味かと思っていたら、家族の思い出が詰まった我が家を取り戻すということだったんですね。家族にとって一番大切なものは共有していた時間と場所なんですね。弘子さんには、何とか頑張って生き延びてほしいです。

  • 母親が病気を患ったことで、今まで以上に家族の絆が深まったことが素晴らしいですね。現実を見ながら、それでも最良の方法を選ぼうとしている家族全員が素敵です。

成分キーワード

ページTOPへ