ぼくらの就職活動日記

大杉たま

エピソード20(脚本)

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〇公園の砂場
若山柿之介「んー、東京はエサが少ねえべな」
犬「ワン!」
若山柿之介「おらも公園にいた時は、食える草探すのに苦労しただ」
真田紅音「柿之介」
若山柿之介「あ、紅音さ、どうだったべか」
  首を横に振る紅音。
若山柿之介「そうだべか」
若山柿之介「あ、紅音さ、おらすごい方法思いついただ。 それならきっと百万円稼いで――」
真田紅音「なら柿之介はその方法を試してみてくれ。 ここからは別行動でいこう」
若山柿之介「え、なんでだべ、紅音さはどうするべか」
真田紅音「僕は、まあ、次のあてを当たるよ」
真田紅音「でも柿之介がいてもどうしようもないから、今みたいに待ってるだけなら、別々にやった方が効率がいい」
若山柿之介「なるほど、獲物をしとめるなら、二手に分かれて挟み撃ちにするのがいいべ、そういうことだべな」
真田紅音「まあ、それでわかるなら、そういうこと」
若山柿之介「よし、わかったべ、おら絶対二百万稼いでくるべ」
真田紅音「ああ」
  手に握っていたスマホを見る紅音。
  一茶「俺も百万用意出来た、一安心や」
真田紅音「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
  台所では、紅音の母の雅美が洗い物をしている。
  父の博史はソファに座り、ゴルフクラブを磨いている。
  部屋に入ってくる紅音。
  博史は一瞬手を止めて、紅音をチラリとみるが、再びゴルフクラブを磨き始める。
真田紅音「・・・ふう」
  二、三度深呼吸を繰り返す。
真田紅音「百万、貸して欲しい」
「!」

〇パドック
若山柿之介「そうだべか、今日はあんまり足がよくねんだか、無理すんでねえ」
  柿之介がパドックの馬に向かって話しかける。
  ヒヒーン
若山柿之介「ずいぶん気合入ってるべな、負けられねべか」
  ヒヒン
若山柿之介「そうだべか、期待してるべ」
謎の老人「きみ、馬と話ができるのかね」
若山柿之介「馬だけでねぇよ、猫も犬も、あとハト吉も、みんなと話せるだ」
謎の老人「ほう」

〇おしゃれなリビングダイニング
真田博史「なんだって」
真田紅音「百万円を貸して欲しいんだ」
真田紅音「いや、九十万でいい。 とにかく、百万必要なんだ」
真田雅美「不躾(ぶしつけ)になに言ってるの。 いたずらにお父さんとお母さんを困らせるのはやめなさい」
真田紅音「・・・僕、いまエリートピアの選考を受けてるんだ」
真田博史「そうなのか」
真田雅美「あらそうなの。 あなた何も言わないから、知らなかったわよ」
真田紅音「・・・ッ」
真田紅音「つい、昨日言ったよ。 酔ってて覚えてないのか、関心が無くて聞いてなかったのか、どうでもいいけど」
真田紅音「とにかく、僕はいまエリートピアの選考の最中で、16:00までに百万円を持って東京駅に行かなくちゃならない」
真田紅音「だから、百万円を貸して欲しい」
  博史が部屋の時計を確認する。
  時刻は15:00である。

〇パドック
若山柿之介「いやー、助かっただ。 おら券の買い方全然知らねぐて」
謎の老人「きみ、競馬は初めてなのかね」
若山柿之介「んだ、村で馬さ乗ったことはあっけどな」

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