脱獄

相園菜乃花

二章 再会(脚本)

脱獄

相園菜乃花

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〇黒
  第二章
  再会

〇秘密基地のモニタールーム
ジョナサン「ここが船の監視室だ」
ヒロヤ「はい!」
ジョナサン「それとこれも必要だな」
ジョナサン「船の見取り図だ」
ヒロヤ「はい・・・・・・」
  昔から記憶力の良い僕は、船の見取り図を全て覚えた
ジョナサン「へぇ・・・記憶力がいいんだな。感心するよ」
ジョナサン「俺は全然だからね」
ヒロヤ「はあ・・・・・・」
ヒロヤ「ん!?」

〇刑務所の牢屋
  テレビ越しから誰かがこちらを睨んでいる

〇秘密基地のモニタールーム
ヒロヤ(なんだあれ?まあ気にしなくていいか)
ヒロヤ(あ、あの映像ってもしかして・・・)

〇薄暗い廊下

〇秘密基地のモニタールーム
ヒロヤ(さっきの囚人だ・・・看守に挟まれてるし、腕に頑丈な鎖と・・・・・・)
ヒロヤ「囚人の首にかかってるのはなんですか?」
ジョナサン「それはだな」
ジョナサン「囚人が暴れた時に電流が流れる仕組みになっている」
ヒロヤ「実質囚人に人権はないということですか?」
ジョナサン「ああ、その通りだ。あいつらは人間じゃないからな」
ヒロヤ「確かにそうですね」
ジョナサン「そうだ、仕事するには看守服が必要だろ?」
ジョナサン「更衣室に行こっか!」
ヒロヤ「はい」

〇更衣室
ヒロヤ(先輩からカードもらったけど、自分のロッカーはどれだろう?)
ヒロヤ「あ、あった!」
  黄色いカードと同じ番号が書いてあるロッカーに差し込み、そのまま着替える
ヒロヤ(あとは看守の服を着れば・・・・・・)
ヒロヤ「ん?」
  誰かの威圧した視線を感じる
ヒロヤ「気のせい気のせい」
ヒロヤ「着替えよう」
ヒロヤ「!?」
  足を蹴られて床に倒される。囚人の熱い吐息しか聞こえない
  心臓の辺りに鉛筆でばつ印をつけられた
  ばつ印の真ん中に、鋭い先端の方を差し込む
  痛すぎて叫び声があがる
ヒロヤ(誰か助けて・・・)
ジョナサン「大丈夫か!」
ヒロヤ「大丈夫です」
ヒロヤ「それより先輩助けてください!」
ヒロヤ「囚人が邪魔して立てません!」
ジョナサン「自力でなんとかしてくれ!」
ジョナサン「俺は逃げるから、お前も早く逃げろ!」
ヒロヤ「ええ・・・」
ヒロヤ「仕方ない。自力で持ち上げて・・・・・・っと」
ヒロヤ「やっと抜け出せた!よかった」
ヒロヤ「こうしちゃいられない。看守服に着替えよう!」
ヒロヤ「よし、行くか!」

〇施設の廊下
  更衣室から出ると、廊下は看守が山積みにされていた
  血の海が広がっている
ヒロヤ「ま、まずい!更衣室に戻らないっ」
ヒロヤ「!?」
囚人「キェェェェ!」
  囚人の一人が木のバットで殴りかかってきた
ヒロヤ(もうだめだ・・・)
囚人「うっ」
看守「大丈夫か!」
ヒロヤ「ありがとうございます!」
看守「うっ・・・」
ヒロヤ(うっ、逃げなきゃ!)

〇無機質な扉

〇ビルの地下通路

〇非常階段
ヒロヤ(よし、階段を上ろう)
ヒロヤ「!?」
  階段の上から足音が聞こえてきた
  囚人なのか看守なのか分からない今、鉢合わせするのはまずい
ヒロヤ「くっそ、エレベーターに乗ろう」

〇薄暗い廊下
ヒロヤ(エレベーターまでもう少しだ!)
  走ってエレベータに向かう途中、自分の悪運のせいで囚人2人の横を通り過ぎていた
  背の高い方の囚人が追いかけて来る
?「待てよ!俺の獲物!」
ヒロヤ「ひっ!?逃げなきゃ、死ぬ!」

〇エレベーターの前
ヒロヤ(あった!開いてくれ!)
  その願いが届いたのか、ナイスタイミングでエレベーターの扉が開く
  僕はそれに急いで乗り込んだ

〇エレベーターの中
ヒロヤ「ふぅ・・・なんとか助かってよかった」
???「おにいさん、何階に行く?」
ヒロヤ「地下1階まで・・・はぁはぁ・・・・・・」
???「分かった」
  相手は1のボタンを押して、エレベーターは上に上がる
ヒロヤ「助けてくれてありが・・・・・・」
ヒロヤ「!?」
  そこにはヘリコプターに乗っていた囚人が立っている
ヒロヤ「囚人番号403336くん!?」
アルマ「あのさ、囚人番号で呼ぶのやめない?」
アルマ「俺、アルマって言うんだ」
アルマ「よろしく」
アルマ「あんたの名前は?俺に教えてくれない?」
アルマ「仲良くしようよ」
  囚人は手を出して、握手を要求して来る
ヒロヤ(ひっ、腕の裾に血がついてる・・・)
ヒロヤ(絶対看守の血だ、これ・・・・・・)
ヒロヤ「ぼ、僕のこと殺しませんよね」
  いきなりアルマは腰のポケットからナイフを取り出し、僕の首に刃を突きつけて来る
アルマ「ふふ・・・殺されたいなら殺してあげるよ」
ヒロヤ「え、遠慮しておきます・・・」
アルマ「まあ、あんたならそう言うと思ったよ」
  アルマはナイフを元の場所に片づけ、そっぽを向く
アルマ「別に殺す気はないよ。安心して」
ヒロヤ(あ、安心できない・・・)
  会話を交わしていたらエレベーターが地下1階に着く
  そこから降りて、廊下を歩くことになった

〇ビルの地下通路
ヒロヤ「あのさ、実は・・・」
アルマ「医務室に行きたいんでしょ?着いていってあげるよ」
ヒロヤ(なんでこの人。僕が医務室に行きたいの、知ってるの?)
アルマ「辛そうな表情してたから、なんとなく」
ヒロヤ(うっ、この人に隠し事できない・・・エスパーかよ)
ヒロヤ「そ、そうなんだ」
アルマ「──ただ歩いてるだけじゃつまらないからさ」
アルマ「あんたの過去の話聞かせてよ。色々知りたいんだ」
ヒロヤ「じゃあさ、僕の話もするからアルマくんの過去の話聞かせてよ」
アルマ「・・・」
アルマ「本当に聞きたい?」
ヒロヤ「え?」
アルマ「大した過去じゃないけど、聞きたいなら聞かせてやるよ」
アルマ「が、その前に一つあんたにいいものをやるよ」
  アルマは何枚かのユーロ札を渡してきた
ヒロヤ「お金・・・・・・?」
アルマ「ああ、友達になってくれた感謝料だ。受け取って欲しい」
ヒロヤ(でも人のものだし・・・受け取るべきじゃないよな。苦労して稼いだのかもしれないし)
ヒロヤ「こんなもの、受け取れません」
ヒロヤ「返します」
アルマ「『こんなもの』か」
アルマ「でもさ、この金を受け取ってくれたら脱獄させてあげるよ」
ヒロヤ(うっ・・・脱獄はしたいけど、でも・・・)
ヒロヤ「受け取れないよ。アルマくんが使いなよ」
  お金を彼の胸元に寄せ返す
アルマ「へぇ・・・あんたみたいな人初めて見たよ」
アルマ「ほとんどの人間はお金をあげると、嬉しがって受け取るのにさ」
アルマ「ますます興味が湧いてきたね。面白い」
ヒロヤ「そうかな?」
アルマ「ああ、あんたはお金より人間を大事にするんだな」
アルマ「普通できないことだ」
アルマ「あんたは信用できそうだから、俺の話も誰にも教えなさそうだな」
ヒロヤ「教えるわけないじゃん。僕たち友達でしょ」
アルマ「友達か・・・」
アルマ「俺には誰もいなかったから、少し嬉しいかもしれない」
ヒロヤ「え?」
アルマ「俺は昔から孤独だった。というか周りと思考が違いすぎた」
アルマ「あんたはなぜ俺が無表情か知ってる?」
ヒロヤ「知らない」
アルマ「無表情なのは昔からさ。昔から表情が希薄だったんだ」

〇幼稚園の教室
  俺の幼少期時代から、自分は他の人と違うことに気づいていた
アルマ「・・・」
保育士「あら、アルマくん。1人で遊んでるの?」
アルマ「・・・」
保育士「まあ、積み木で遊んでいるのね」
保育士「先生も手伝いましょうか」
アルマ「別にいらない」
保育士「あら、そう」
保育士「たまには他の人と遊びましょうよ」
アルマ「先生、無理して笑顔作らなくていいよ。気持ち悪いから」
保育士「もう、先生にそんなこと言っちゃダメよ」
保育士「さあ、一緒に遊びましょ」
アルマ「だからいらない。僕は1人で遊んでた方が楽しい」
保育士「あら、そう?じゃあ先生行くわね」
  昔から人と馴染むのが好きではなかった
  1人でいる方が気が楽で、それゆえいじめられることもよくあった

〇個室のトイレ
園児「やいやい、間抜けなアルマ!」
アルマ「誰?」
園児「お前なんかこうしてやる!」
  いきなり首を掴まれて、トイレの水に顔を入れられた
  息ができない
  引き戻されると顔は水浸しだった
園児「ギャハハ・・・お前に相応しいくらい汚いね」
アルマ「・・・」
園児「なんか言ったらどうなんだよ!」
アルマ「どうでもいいね、顔を洗えばいいだけだし」
園児「うっ・・・うるさい!」
  こんな感じのしょうもないいじめばかりだった

〇豪華な部屋
  そして幼い頃、母親にも恵まれなかった
アルマ「母さん、ただいま」
母「チッ、帰って来るなって言ったでしょ」

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