三章 治療(脚本)
〇黒
三章
治療
〇廊下のT字路
「・・・」
ヒロヤ「あ、あのさ・・・」
アルマ「・・・!」
アルマ「待て」
ヒロヤ「え?」
ヒロヤ(や、やばい。腰に手が当たってる)
ヒロヤ(なんでこんなにドキドキするんだ?)
アルマ「医務室の近くに3人囚人がいる」
アルマ「あんたは看守の服着てるから、バレるな」
アルマ「俺が行ってくる」
ヒロヤ「う、うん」
〇施設の廊下
ダニエル「なんで俺がこんなことしなきゃなんねぇんだよ!」
ダニエル「姉貴とロムロだけでいいだろ!」
フィル「仕方ないでしょ、ダニエル」
フィル「私たちS級クラスのボス・ガルドの弟、リークを運ばなきゃいけないのよ」
フィル「分かる?」
ダニエル「んなの、知るか!」
ダニエル「俺は降りる!」
フィル「貴方がいないと重いのよ!」
フィル「最低」
〇廊下のT字路
ヒロヤ(うわ・・・)
ヒロヤ(あいつらが運んでるの、僕を襲った奴だ!)
ヒロヤ(どうしよう・・・)
〇施設の廊下
ロムロ「まあまあ、二人とも落ち着きなよ」
「落ち着いてられるか」
ロムロ「ご、ごめん・・・」
フィル「とにかくさっさと終わらせて帰るわよ」
ダニエル「そうだな」
アルマ「ちょっとそこの二人、いいかな?」
ダニエル「誰だ、てめぇ!」
ダニエル「俺はお前みたいな白人が嫌いなんだよ」
ダニエル「消え失せろ!!」
アルマ「別に差別しにきたわけじゃない」
アルマ「実は医務室に行きたくてね」
ダニエル「お前怪我してるのか?」
アルマ「いや、友達が寄りたいっていうから」
ダニエル「証拠はあるのか?」
アルマ「証拠はないよ」
アルマ「実は俺の友達、恥ずかしがり屋でね」
アルマ「人前に立ちたくないんだ」
アルマ「悪いね」
ダニエル「おい」
ダニエル「言い訳を並べるんじゃね」
フィル「あれ?アルマくん」
フィル「久しぶり」
アルマ「誰?」
フィル「もう、私のこと忘れたの?」
フィル「中学3年生の時付き合ってたフィリップよ」
フィル「フィルって呼んでたじゃない!」
アルマ「ああ、そういえば付き合ってたね。性癖が似てたから」
アルマ「あんた、まだ女装してるんだな。胸も作ってるみたいだし」
フィル「う、うるさい!」
フィル「私はこっちの方が落ち着くの」
ダニエル「う、嘘だろ・・・こんなイケメンと・・・」
フィル「もう別れたのよね」
ダニエル「だが、今俺たち付き合ってるん」
フィル「それ以上言うな、バカっ!」
ダニエル「頭、叩くな!」
アルマ「目の前でイチャイチャするんじゃねぇ」
アルマ「殺すよ?」
フィル「ご、ごめんなさいね」
フィル「あとはロムロに任せて私たち帰りましょ」
ダニエル「えっ、ちょっと!」
アルマ「行ったか」
アルマ「あとは中にいる奴だけだな」
〇警察署の医務室
ロムロ「誰だ?」
アルマ「名乗るほどの者でもないよ」
アルマ「ここにいる人は?」
ロムロ「ああ。こいつはS級クラスのボス・ガルドの弟、リークだ」
アルマ「いや、俺が知りたのはそれじゃない」
アルマ「こいつの殺し方は?」
ロムロ「さあ、俺は知らない」
アルマ「ふーん、やっぱりか」
アルマ「あんた囚人じゃないだろ?」
ロムロ「な、な、なんの話だ?俺は囚人だ」
アルマ「嘘だね」
アルマ「俺は相手を見る時。必ず目と動作、呼吸の使い方を見る」
アルマ「それで大体嘘ついてるか、ついてないかわかる」
ロムロ「うっ・・・・・・」
アルマ「あんたはおそらくスパイだ。違うか?」
ロムロ「違う!」
アルマ「図星みたいだな」
アルマ「で、誰に言われて派遣された?もしかして──」
ロムロ「こ、これ以上模索しないでくれ!俺、帰るから」
アルマ「・・・」
〇施設の廊下
アルマ「もう誰もいなくなったよ。出てきていいぞ」
ヒロヤ「さっきの人、全速力で走って行ったよね?何かあったの?」
アルマ「・・・・・・世間話してた」
アルマ「気にする必要はないよ」
ヒロヤ「そっか」
ヒロヤ(もう他の囚人と仲良くなっててすごいな)
ヒロヤ(でも元カレもいたよね)
ヒロヤ(奪われるか心配だな・・・)
ヒロヤ(って僕、何考えてるんだろ・・・)
アルマ「さあ、入ろっか?」
ヒロヤ「うん」
〇警察署の医務室
アルマ「じゃあ俺、色々持ってくるから待ってて」
ヒロヤ(あ、行っちゃった・・・)
ヒロヤ「・・・」
リーク「・・・」
ヒロヤ(き、まずい・・・)
ヒロヤ(この人は確か僕を殺そうとした奴だ。この人を殺さないと、僕が殺される!)
ヒロヤ(今寝ている時に殺すべきか?)
ヒロヤ(ううん。そんなことしちゃダメだ)
ヒロヤ(たとえ罪を犯しても捕まらないからといって、こんなこと・・・)
ヒロヤ(うっ、僕にはできないよ)
アルマ「お待たせ」
アルマ「手当するから服脱いでくれない?」
ヒロヤ「そ、そんなことしちゃダメだよ」
アルマ「あのね。手当するだけ」
アルマ「もしかしてエロいことでも考えた?乳首いじるとか」
ヒロヤ「う、うん」
アルマ「単純でわかりやすいね。かわいいよ」
ヒロヤ「お、男に可愛いはダメだよ」
アルマ「どうして?」
ヒロヤ「ど、どうしても・・・」
治療中──
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