殺人の衝動-高校生・来栖秀俊の場合-

YO-SUKE

第四話「殺人ファイル2 小早川凛の場合(前編)」(脚本)

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〇校長室
小早川凛「校長先生! これは前代未聞です」
校長「こ、小早川くん・・・! 少し落ち着きなさい」
小早川凛「橋本くんの事故、そして 及川先生のセクハラ問題と自殺・・・」
小早川凛「こんなことが、これだけ短期間に 起こったんですよ」
小早川凛「学校側はどう責任を取るんですか?」
校長「そう言われても・・・ねぇ」
小早川凛「はぁ・・・仕方ありません」
小早川凛「こうなったら、 我々生徒会がなんとかします。 先生方は手を出さないでください」

〇学校の廊下
生徒会役員A「生徒会長。 なんとかするって言ってましたけど、 具体的に何をするんですか?」
小早川凛「同じようなことが二度と起こらないように 学校の膿を出す」
生徒会役員B「膿・・・?」
小早川凛「私は今回の二つのことが、 単なる偶然だとは思っていない」
小早川凛「橋本くんの事故、 及川先生の件には共通点がある」
生徒会役員A「と言いますと?」
小早川凛「橋本くんが亡くなった時、 柔道をしていた相手は知ってるわよね」
生徒会役員A「ええ。たしか、来栖秀俊・・・」
小早川凛「及川先生が死ぬ直前、 最後に一緒にいたのもその来栖よ。 校内で目撃情報があった」
生徒会役員B「そんな・・・それって──」
小早川凛「来栖秀俊・・・カギはあの男ね」

〇血しぶき
  第四話
  『殺人ファイル2
     小早川凛の場合(前編)』

〇学校の屋上
筒井菜々子「見つけた。学校中探しちゃったよ。 なんでこんなところにいるわけ?」
来栖秀俊「・・・せっかくの休み時間なのに、 君に話しかけられたくなかったからだよ」
筒井菜々子「え? 嘘、やだ。私、嫌われてるの? 来栖くんのことを助けてあげたのに」
筒井菜々子「私の言う通りにしてなかったら、来栖くんはあの変態教師の餌食になってたんだよ」
来栖秀俊「殺す必要はなかったかもしれない・・・ 他に方法が──」
筒井菜々子「またまた。 殺すこと自体も、大事な目的じゃん」
筒井菜々子「快楽を満たすのも 人間の大事な本能だと私は思うなぁ」
来栖秀俊「黙れ・・・! 人を変態みたいに言うな」
筒井菜々子「変態だよ、来栖くんは。 でも私はそこが好き。 もっと正直になればいいのに」
  菜々子はファイルを取り出して、
  来栖に見せる。
筒井菜々子「さあ。まだまだターゲットはいるよ。 あっ、こんな奴どう?」
筒井菜々子「用務員のオジサンなんだけど 女子生徒の──」
来栖秀俊「やめろっ!」
  来栖が菜々子の手を払いのけると、ファイルが落ちて最後のページが露わになる。
  菜々子は素早くファイルを拾って、
  最後のページを隠す。
筒井菜々子「あー! いま見ちゃった?」
来栖秀俊「なんのことだ?」
筒井菜々子「あ、見てない? なら良かった! このファイルさ、最後のページだけは ぜっーたい見ないでね。とっておきだから」
来栖秀俊「そんなもの・・・興味ない」
  来栖は立ち去り、
  菜々子がその後を追いかける。
  二人が消えたあと、物陰から凛が現れる。
小早川凛「ま・・・まさか。あの二人が共謀して 及川先生を殺していたなんて・・・」
小早川凛「赦せない・・・絶対に証拠を掴んで、 二人とも警察に突き出してやる・・・!」

〇街中の道路
筒井菜々子「はぁ・・・なかなか来栖くんに 私の愛が伝わらないなぁ」
筒井菜々子「それにわかっていたけど、 想像以上に素直じゃないなぁ」
  背後に気配を感じて振り返る。
  だが、後ろには誰もいない。
筒井菜々子「・・・・・・」
???「!」

〇ビルの裏通り
小早川凛「いない・・・! なんで──」
筒井菜々子「生徒会長さんか。 そんなところだと思ったよ」
小早川凛「!」
  凛が振り返ると、
  背後に菜々子が立っている。
  逃げ場を塞がれ、狼狽える凛。
小早川凛「わ、私だと思ったってどういうこと?」
筒井菜々子「そりゃそうだよ・・・ 屋上でわざわざあんな間抜けな会話を 聞かせてあげたんだから」
小早川凛「! わざわざ・・・?」

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