第三話「殺人ファイル1 及川佐智子の場合(後編)」(脚本)
〇教室
来栖秀俊「・・・話がある」
来栖秀俊「及川に呼び出されたんだ。 放課後に来いって」
筒井菜々子「ふふふ。そっか、来栖くんも ターゲットになっちゃったかぁ。 ということは、私の協力が必要かな」
来栖秀俊「くっ・・・」
筒井菜々子「大丈夫。作戦はあるから」
〇血しぶき
第三話
『殺人ファイル1
及川佐智子の場合(後編)』
〇マンションの非常階段
来栖秀俊「説教部屋?」
筒井菜々子「そう。生徒からはそう呼ばれている」
筒井菜々子「校舎の裏にある個室に 目を付けた男子生徒を呼び出して、 エッチなことしてるらしいよ」
来栖秀俊「じゃあ僕も今日──」
筒井菜々子「このままだと裸の写真を撮られちゃったりするかもねー。そうなる前に殺そうよ、ね」
来栖秀俊「でも・・・」
菜々子は鞄からロープと
遺書と書かれた封筒を取り出す。
筒井菜々子「パソコンで作ったの。筋書きはこう。 私は過去の自分の罪に耐えきれなくなった」
筒井菜々子「だからこの説教部屋で首を吊って、 みんなに謝りたい・・・って感じ」
来栖秀俊「そんなの・・・うまく行くわけないだろ」
筒井菜々子「大丈夫だって。自殺に見せかけて 絞殺すればいいんだから」
来栖秀俊「・・・無理だ」
筒井菜々子「自信を持って。 来栖くんはいいことをしてるんだよ。 多くの男の子が救われる」
筒井菜々子「あいつのせいで自殺に追い込まれた子も 浮かばれるでしょ?」
来栖秀俊「・・・っ!」
筒井菜々子「それに来栖くんはあいつの魔の手から 逃れることができるし、 大好きな殺人も堂々と出来るんだよ?」
来栖秀俊「大好きなんかじゃない・・・!」
筒井菜々子「ふふふ。まあいいや。 じゃあこれ、渡しておくから」
筒井菜々子「一応私も、近くで見張っておいてあげるね」
来栖は、菜々子から
遺書とロープを受け取る。
来栖秀俊「俺は・・・これで―― こんなもので人を殺すのか?」
〇応接室
来栖秀俊「失礼します」
及川佐智子「よく来たわね。 さすがは優等生・・・物分かりがいい」
来栖秀俊「こ、こんなところで 何をするつもりですか?」
及川は答えず、来栖の後ろに回ると
ドアに南京錠をかける。
及川佐智子「獲物が逃げないように、 特別な鍵をかけなくちゃね」
来栖秀俊「なっ・・・!」
及川は鍵をわざとらしく、
自分の胸元に落とす。
及川佐智子「来栖くん・・・この鍵、落ちちゃった。 取ってくれないかしら?」
来栖秀俊「い、嫌だ・・・」
及川佐智子「ほら、ここ。 胸の間・・・ねえ、こっち見なさいよ」
来栖秀俊「嫌だ!」
逃げようとする来栖に、
及川は平手打ちをする。
来栖秀俊「なっ・・・!」
及川佐智子「いくじなし。もう自分で取っちゃうからね」
そう言うと、ニヤニヤしながら
自分の服に手をかける及川。
来栖秀俊「やめろ・・・」
及川佐智子「ふふふ。この後はあなたも脱ぐのよ」
来栖秀俊「やめろって言ってんだろ!!!」
来栖は及川に体当たりをする。
来栖の体当たりでバランスを崩し、
床に倒れ込む及川。
来栖は背中に回り込んで、
及川を羽交い絞めにする。
及川佐智子「何するのよ! くそガキ!」
来栖秀俊「うわぁぁぁぁぁ!!!」
来栖は手に力を入れて
及川を追い込んでいく。
ズボンの後ろポケットにあるロープを
取り出すと、及川の首にかける。
及川佐智子「や、やめ──」
来栖秀俊「死ね死ね死ね」
及川佐智子「ぐ、あ、あ──」
来栖秀俊「死ね死ね死ね死ね死ね!!!」
首にかけたロープを、
ギリギリと縛り上げて行く来栖。
その表情は狂気と歓喜に溢れている。
来栖秀俊「ふ・・・ははっ・・・あははっ!」
及川佐智子「あ・・・ぎ、がっ・・・」
及川は抵抗を止め、
ぐったりと力を失くしてしまう。
来栖秀俊「はぁ・・・はぁ・・・」
来栖は立ち上がると、
完全に息絶えた及川を見下ろす。
来栖秀俊「ざ、ざまあみろ・・・! 変態教師!」
ガチャガチャ
来栖秀俊「・・・・・・!」
筒井菜々子「私だよー。来栖くん。 ここ開けてよー。あと処理手伝うからぁ」
〇応接室
及川が天井から吊るされている。
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