殺人の衝動-高校生・来栖秀俊の場合-

YO-SUKE

第一話「12年ぶりの殺人」(脚本)

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〇広い公園
  ジャングルジムの上にいる
  来栖秀俊(くるすひでとし)と佐川学。
来栖秀俊「僕が先にここにいたんだよ」
佐川学「うざっ! ここはお前の家かよ!」
来栖秀俊「佐川くんが後から来たんじゃないか」
佐川学「ここは俺の場所なんだ! どけよ、バーカ」
  佐川に肩を小突かれ、
  来栖が落ちそうになる。
来栖秀俊「あぁ・・・!」
佐川学「あはは。お前バカだなぁ」
  来栖は佐川の背中をじっと見つめる。
来栖秀俊「・・・死ね」
  来栖は勢いよく
  佐川の背中を突き飛ばした。
佐川学「うわぁぁぁぁ!!!」

〇黒背景
  あの日――
  背中を突き飛ばして
  同じ歳の男の子を殺した
  だがそれは
  幼い頭でもはっきり
  罪になるのだと自覚していた
  だから僕は嘘をついた
  佐川くんが足を滑らせて落ちたと
  自分は悪くないのだと
  必死に弁明するために
  あとから来た大人たちに
  事故として片付けてもらうように
  だが一方
  僕はあの瞬間にこう思っていたんだ
来栖秀俊「あぁ。人を殺すのって気持ちぃなぁ」

〇血しぶき
  第一話
  『12年ぶりの殺人』

〇病院の診察室
  ─12年後─
石口加奈子「最近はどう? 何か問題はない?」
来栖秀俊「ジャングルジムでの事故以来、 僕は毎月一回、 必ずカウンセリングを受けて来た」
来栖秀俊「事故のことがトラウマにならないように という両親の気遣いからだ」
来栖秀俊「だが両親も、目の前のカウンセラーも、 本当は僕が彼を殺したなんて、 夢にも思ってないだろう」
来栖秀俊「問題はないです」
石口加奈子「そう。いつもの回答ね」
来栖秀俊「先生こそ、いつも同じ質問ですね」
石口加奈子「ふふふ。来栖くんも大人になったね。 来年は大学生だっけ?」
来栖秀俊「もう推薦でA大に決まってます」
石口加奈子「さすがは優等生。顔もいいし、 さぞかし学校でモテるでしょうね」
来栖秀俊「そこそこです」
石口加奈子「そこは普通否定するとこだけどね」

〇病院の廊下
  白い壁に蠅が止まっている。
来栖秀俊(誰だって、心の中にはバケモノがいる)
来栖秀俊(でも心に鍵をかけて、 バケモノを飼い慣らすのが人間だ)
来栖秀俊(いま僕は、きちんと僕を コントロール出来ている)
  じっと蠅を見つめると、
  手の平で押し潰した。
来栖秀俊「僕は・・・普通の人間だ」

〇教室
橋本桔平「俺は、盗んでなんかいない!」
女子生徒「じゃあなんで橋本くんの鞄の中に、 私の財布が入ってたわけ?」
橋本桔平「だからぁ! 後で届けるために、 少し預かってただけだろうがっ!」
  鼻息が荒く、獣のように騒ぐ橋本。
  クラスメイトたちが汚いものを
  見るような目で見る。
来栖秀俊「彼女の財布を、彼女が知らないままに 君が預かっていた」
来栖秀俊「だったら一言ごめんと言って、 彼女に返せばいい」
女子生徒「来栖くんっ! ありがと」
橋本桔平「・・・うぜ」
  橋本は女子生徒の手に財布を押し付けると
  来栖に耳打ちする。
橋本桔平「俺、お前みたいな優等生が一番嫌いだ。 今に見てろ」
女子生徒「えーん。怖かったよぉ」
  女子生徒はわざとらしく来栖に抱きつく。
来栖秀俊「ちょ、ちょっと。こんなとこでやめて」

〇教室
  ドアのところに隠れて、
  筒井菜々子(つついななこ)が
  来栖たちのことを盗み見ている。
筒井菜々子「来栖くん・・・」

〇柔道場
中山宗助「よし。次は試合形式で行くぞ。 最初は、来栖どうだ?」
来栖秀俊「はい。がんばります」
中山宗助「で、対戦相手は──」
???「俺です」
中山宗助「お前は柔道の有段者だろ? 来栖はまだ始めたばかりで──」
橋本桔平「おりゃあァァァ!」
中山宗助「お、おい! バカ!」
  橋本が来栖に襲い掛かる。
  来栖の襟首を掴むと、
  強引に引っ張り回す。
来栖秀俊「くっ・・・! お前」
橋本桔平「みんなの見てる前で、 無様に叩きつけてやるっ!」
来栖秀俊「や、やめろ」
橋本桔平「ははは! どうした優等生! 俺を投げてみろよぉ!」
  橋本は来栖を振り回す。
  来栖は必死に対抗するが、
  橋本はビクともしない。
橋本桔平「あはは。お前バカだなぁ」
来栖秀俊「・・・・・・!」

〇広い公園
佐川学「あはは。お前バカだなぁ」

〇柔道場
来栖秀俊「お前・・・」
橋本桔平「おらぁ! これでおしまいだぁ!」
  橋本が大技をかけようとする。
  だがその瞬間、
  来栖が周囲にバレないように
  橋本のみぞおちに肘を入れる。
橋本桔平「て、てめぇ・・・!」
来栖秀俊「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
  来栖は大外刈りをかけると、
  橋本が後頭部から畳に叩きつけられる。
  そのままピクリとも動かなくなる橋本。
中山宗助「お、おい! 橋本! しっかりしろ! 救急車・・・誰か職員室に行って 救急車呼んで来い!」
来栖秀俊「は、橋本? 何寝てんだよ、 おい・・・橋本・・・橋本ぉぉぉ!」
来栖秀俊「その日、 僕は12年ぶりの殺人を犯したのだった」

〇教室
  ─数日後─
女子生徒「来栖くん。 今日みんなでカラオケに行こうって──」
来栖秀俊「ごめん。僕はいいよ」
女子生徒「やっぱり・・・橋本のこと気にしてる?」
来栖秀俊「いや・・・」

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