意味の無い人生なんてただ一つもない…(脚本)
〇宇宙空間
もし明日で世界が終わりなら
私は今日という日をどのように生きるだろう
私のつまらない人生も
最後の日だけは
生きている実感を噛み締める
そんな特別な日になるのだろうか・・・
〇アーケード商店街
1999年7月
世間はノストラダムスの大予言の影響で
大人も子供もどこか少し浮き足だっていた
〇飲み屋街
そんな中私はというと
第一志望の大学を落ちたショックからまだ立ち直れず
毎日自堕落な生活を送っていた
紗奈「はーだるい」
滑り止めで入った専門学校に通いながら
夜は飲み屋街に繰り出し
ナンパされた男に奢ってもらいヤケ酒をする
そんな荒れた毎日を過ごしていた
〇飲み屋街
何もかもどうでも良かった
私なんてどうなったって良いと思っていた
ナンパ師「おねーさん」
ナンパ師「どこ行くの?一緒に飲みに行かない?」
紗奈「お金ないから無理ー」
ナンパ師「奢るに決まってんじゃん」
ナンパ師「行こうよ!ねー!」
紗奈「じゃあ一杯だけー」
〇歌舞伎町
私は何をやっているんだろう
何のために生きているんだろう
ナンパ師「なんか酔ってきちゃったしさー」
ナンパ師「どこか近くで休まない?」
紗奈「は?行かないよ!」
寝ないであんなに勉強したのに
絶対受かるって思ってたのに
ナンパ師「ねーいーじゃん!」
ナンパ師「何もしないからさー」
ナンパ師「そこにいい感じのホテルあるんだよねー!」
こんな仕打ちってある・・・?
紗奈「やだよ!飲むだけって言ったじゃん!」
寂しさを埋めるために
とりあえず街に出てみるけど
ナンパ師「奢ってやったんだから付き合えよ!」
紗奈「は!?あんたが奢るって言ったんじゃん!」
紗奈「ホント無理!帰る!じゃあね!」
良い事なんて一つもない
ナンパ師「おい!待てよ!」
ただ虚しさだけが募るだけ・・・
〇女の子の一人部屋
望まない人生なら
生きる価値ってあるの?
紗奈「今日も学校休むかな」
でも自分で人生を終わらせる程の
勇気もないし
覚悟もない・・・
紗奈「気持ち悪い・・・二日酔いヤバい・・・」
だから地球が破滅して
何もかも消し去ってくれれば
どんなに楽だろうかなんて・・・
〇住宅街の公園
毎日毎日勉強して神様に祈って
ずっと信じていたのに・・・
〇住宅街の公園
でももう居ないってわかったから
神様に何も祈ったりしない・・・
紗奈「・・・はー」
紗奈「今日は胃が痛いし飲みに行くのはやめるか・・・」
そのかわり・・・
空からやってくる
恐怖の大王なんてのに
本気で期待してたりして・・・
紗奈「帰る前に疲れたからちょっと休もう・・・」
〇住宅街の公園
「起きて!こんな所で寝たら危ないよ!」
紗奈「・・・え?」
中年女性「若い娘が公園のベンチで寝てたら危ないわよ」
紗奈「あれ?もう暗くなってる!」
中年女性「あなた早くおうちに帰りなさい」
紗奈「なんか胃が気持ち悪くて動くの面倒臭い」
中年女性「明日で地球が終わりだというのに・・・」
紗奈「え!?」
中年女性「あなたはこんな所で寝てて良いの?」
だからついに願いが叶ったなんて
なぜか本気で信じちゃったりして・・・
〇住宅街の公園
紗奈「明日で終わり?!」
中年女性「そうよ!」
中年女性「あなたニュース見てないの?」
紗奈「・・・ニュース?」
中年女性「そこに落ちてる新聞を見てみなさい」
紗奈「ホントだ!新聞に載ってる!」
中年女性「他の人達はみんな最後の時間を大切に過ごしているわよ」
〇住宅街の公園
紗奈「だから誰も居ないんだ!」
中年女性「あなたも早く帰って大切な時間を過ごしなさい」
紗奈「うーん」
紗奈「私は別にいいや」
ついにこんな人生からおさらばできる
やっと楽になれると思ったから・・・
中年女性「あなたは何か勘違いしているようね」
紗奈「は!?」
中年女性「あなたは神なんて居ない自分は不幸な人間って思ってるようだけど」
中年女性「本当にそうかしら?」
紗奈「何!?急に!?」
中年女性「あなたが大学に落ちたのはどうしてかわかる?」
紗奈「なんでその事知ってるの!?」
中年女性「あなたは自暴自棄になっているようだけど」
中年女性「それで良かったのよ」
紗奈「は!?」
この見ず知らずの中年女性の言葉を
なぜか真面目に聞いてしまったけど・・・
中年女性「2011年3月あなたが受験した大学は」
中年女性「大震災で壊滅状態になるわ」
紗奈「なんでそんな事わかるのよ!?」
中年女性「そしてもちろんあなたも被災する・・・」
中年女性「それでもやっとの思いで立ち直って」
中年女性「あなたは医師として仕事を頑張るけど」
中年女性「2020年未知のウイルスによって世界的大混乱の中」
中年女性「職業柄あなたも感染してしまい」
中年女性「1人隔離されて死亡するわ」
〇住宅街の公園
紗奈「やだ!そんなの!」
中年女性「そうならない為にあなたの人生は軌道修正されたのよ」
中年女性「でもあなたはそれでも自滅の道を歩きたいのね・・・」
紗奈「ちがう!」
中年女性「・・・」
〇住宅街の公園
紗奈「夢・・・?」
その時はただの夢かと思っていたけど・・・
〇宇宙空間
でも・・・
〇個別オフィス
今となってはよくわかる
あれはお告げだったんだと・・・
秘書「社長」
秘書「スマホ関連商品の売れ行きが良く、今期の売上が過去最高です!」
紗奈「おめでとう!みんなのおかげよ!」
本当は人生って良い方向に導かれていくものだという事
あの時夢でみた女性の言葉を信じて
あれから私は今の人生に感謝してちゃんと生きていく事にした
〇東京全景
もしかしたらその時の思いによって
たくさんの世界があって
たくさんの未来が存在する・・・
あのままお酒を飲みすぎて死んでしまう世界線もあれば
ノストラダムスの予言通り地球が滅亡してしまう世界線もあったのかもしれない
もしくは震災で死んでしまったかもしれないし
未知のウイルスに感染して死んでしまう世界線もあったのかもしれない・・・
でも・・・
中年女性「早く目を覚まして!」
二十数年前・・・
18歳の私に声をかけたのはもしかして
中年女性「どんな事が起きようと」
中年女性「あなたは大丈夫!」
中年女性「自信を持って生きなさい」
あまりにも自堕落な生活を送る
私の未来を案じてやってきた
今の私自身だったのかもしれない・・・
〇地球
紗奈「いつだって世界はあなたの思い通りよ」
〇黒
ノストラダムスの予言を信じて自堕落に生きてる人、当時は実際にいましたね。懐かしい。いつの世も「あんなに努力したのにダメだった」ではなく「あんなに努力できたんだから次は大丈夫」という心持ちが大切なんですね。
たまには自堕落に生きるのも悪くないですよ。
やり直しはきくんですから。
でも、未来の彼女が教えてくれたことによって、未来が変わっていることは、やっぱり素敵なことだなと思うんです。
確かに何か失敗したり、落ち込んだりした時、それは最悪を回避するために必要だったと思うようにしてから少し生き方が楽になった気もします!
未来のお告げではなかったですが笑