母、襲来

秋月菊花

母は授業参観に行きたい。(脚本)

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〇アパートのダイニング
  それは、いつもと変わらない夕食・・・・・・のはずだった。
鷲見零「明日、授業参観行くから」
たかし「!!!」
ひろし「!!!」
鷲見零「今回は頑張ったわね、たかし。お母さん、修復するのに3日もかかっちゃった」
たかし「なぁ母さん・・・俺、そのプリント、ちゃんと粉々にハサミで切り刻んで、家中のゴミ箱の底の方に分散して捨てたはずだよな?」
たかし「母さん、3日も前にそのゴミ、集めて捨ててたよな?」
鷲見零「素敵なプレゼント、毎年ありがとう。1500ピースのパズル、楽しかったわよ」
ひろし「・・・そうか、今年も始まるのか・・・」
ひろし(たまには、日曜日にやってくれないかなあ・・・授業参観)

〇男の子の一人部屋
  ~午前4時~
たかし「最低でも・・・500個は用意しないと・・・」
ひろし「たかし。今年は、何をするつもりなんだ?」
たかし「ええと、今作ってるコレと、特製スタンガン・・・・・・ほら、これ」
ひろし「こりゃまた、随分と凶悪だな」
たかし「頑張って1万ボルトまで出るようにしたんだ。ほら、父さんの作業場の・・・何だっけ、あれを参考にしてさ」
ひろし「あれは1000も出ないよ。うん、やっぱりおまえには才能があるな!」
たかし「へへっ」
たかし「世の一般的な中学2年生なら、「お母さん来ないでよ!」って言えば事足りる話なんだよね、これ」
ひろし「ま、まあな・・・」

〇アパートのダイニング
ひろし「ふう・・・あれっ」
鷲見零「あら、ひろしさん。こんな夜中に、トイレ? もしかして飲みすぎちゃった?」
ひろし「鷲見零こそ。何やってるんだ?」
鷲見零「私? 私はね、お手紙書いてるの」
ひろし「手紙? ああ、学校にかい?」
鷲見零「ええ、そんなところね」
ひろし(こいつ、たかしの苦労も知らないで・・・)
ひろし(親の心子知らず、子の心親知らず・・・・・・こいつもちょっと屈強なだけで、いい母親なんだけどなぁ)

〇シックな玄関
  ~午前6時~
たかし「一晩くらいの徹夜は苦にならないってのが若者の特権だよな」
たかし(画鋲4つを貼り合わせて作った、特製まきびし462個・・・)
たかし(これで多少は・・・!!)

〇綺麗な一戸建て
鷲見零「あらたかし早いのね! いってらっしゃーい!」
たかし「げっ、普通に裸足で踏んで・・・!」
ひろし「~~~~~~~~~~ッ!!」
たかし(・・・父さん、すまねえ・・・)

〇教室
  ~午前7時~
たかし(なんか、ドアが開いてると不安だ・・・)
たかし(でも、クラス全員が登校するまでドアの細工はできないからなあ・・・)
たかし(まあ、いざとなればこの特製スタンガンで母さんを30分くらいは足止め・・・)
たかし「・・・あれ?」
たかし(スタンガンがない・・・?)
たかし「って、なんだこれ?」
  たかしへ。ゲーム機は学校に持って行っちゃダメよ♡
たかし「ヒィッ!!!」
たかし(昨日、俺はずっと鞄を隣に置いて部屋で作業してたんだぞ!?)
たかし(母さん、一体いつの間にこれを仕込んだんだ?)

〇教室
  ~午前8時~
たかし「やっと全員登校したか・・・」
たかし(は、3人遅刻? 知らん、窓から入って来い!)
たかし(さてと、じゃあ机をドアが開かないように挟んで・・・)
たかし「いくら母さんが強靭でも、これには3分くらい消費するだろ。その間に次の策を・・・・・・」
たかし「!!?」
鷲見零「たかし! お母さんも張り切って早く来ちゃった☆」
たかし「こ、黒板横の壁に、机型の大きな穴が・・・!!?」
たかし(来月の校内新聞に、『校内で大砲を撃たないでください』の見出しが載るのは確定だ・・・)
先生「あーっと、すみませんお母さん。朝礼が終わるまでは廊下待機でお願いします」
鷲見零「あ、あらそうなの? ごめんなさいね、先生」
たかし(よぅし、ナイスだ先生!)
たかし(ちょっとクラス中の視線が集まったけど、大丈夫、この程度ならかすり傷だ!)

〇教室
  ~午前8時20分~
先生「それではこれで、朝礼を終わります」
たかし(1時間目までは先生が移動するため10分の空き時間・・・)
たかし(・・・そして、今日の1時間目の先生は既に教室に入ってきている・・・)
たかし(・・・ここだ!!)
たかし(後で元に戻すのが大変だからこの手は使いたくなかったけど、仕方ない)
たかし(父さんに頼み込んで教えてもらった通りに・・・)
たかし「周囲の安全確認ヨシ! ドアを・・・溶接!!」
たかし(この日のために、去年から頑張って練習したんだ・・・!)
「先程はすみません先生・・・・・・あら? 扉が開かなくなってるわ?」
たかし「よし、かかった!」
たかし(大丈夫、この最終手段は絶対だ!)
たかし(自信を持て、俺!  今年こそは平穏な1時間目を・・・・・・)
鷲見零「扉が開かなかったのでこちらから失礼しまぁす! すみません、後で直しますから!」
たかし「あああああああ!!!!!」
たかし(時間が無くて対策してなかった窓、とその周辺に人型の穴が!!!)
たかし(来月の校内新聞に、『校内で爆破実験を行わないでください』の見出しが載るのも確定だ・・・!)
鷲見零「たかし! さ、お勉強頑張ってる姿を見せてちょうだいね!」
たかし「・・・・・・・・・」
たかし(・・・オーケー、負けを認めよう。これで8年連続、俺の惨敗だ・・・)

〇アパートのダイニング
  ~午後7時~
鷲見零「おかえりなさい、ひろしさん! 今日もお仕事お疲れ様!」
ひろし「ただい・・・うぐぉっ」
ひろし(毎日恒例、鷲見零の熱烈なハグ・・・ うーん、背骨がミシミシミシシッピだ)
ひろし「修繕費、今年も建て替えてもらえるよ・・・たかしは?」
鷲見零「学校から帰って来てすぐ寝ちゃったわ。晩御飯までは寝かせてあげようと思って」
ひろし「・・・そうか」
たかし「・・・・・・」
ひろし「たかし、授業参観お疲れ様。残念だったな?」
たかし「・・・・・・」
ひろし(薄眼でこっちを・・・さてはふて寝の狸寝入りか、こいつ)
たかし「・・・・・・まさか、最終手段が破られるとは思わなかったよ」
ひろし「最終手段?」
たかし「去年、父さんが教えてくれたじゃん。溶接。結局、横の壁突き破られちゃって」
ひろし「おまえ、いや鷲見零も、学校を何だと思ってるんだ・・・・・・」
ひろし(これは確実に鷲見零の血だな。まったく・・・・・・)
たかし「・・・・・・」
ひろし「いつか、父さんも頑張っておまえの授業参観に行くからな」
  ~fin~

コメント

  • 学級崩壊ならぬ学校崩壊をぶちかますお母さん。「母は強し」という言葉を文字どおり体現するお母さん。最高で最強ですね。たかしはグレる暇もないし、ひろしは浮気する気も起きませんね。「背骨がミシミシミシシッピ」はいつかどこかで使いたいです。

  • 母、最強www
    授業参観のみならず、これまでの様々な親子行事も凄惨なことになっていたのだろうと想像して笑ってしまいます。

  • 範○勇○郎さ~ん! たかし君がお呼びですよ~!

    壁を容易くブチ壊す鷲見零さんのハグに耐える旦那さんの身体の強度って…😲

    次の攻防の舞台も気になっちゃいます😄

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