9 逃げという選択(脚本)
〇住宅街
私の幸せは──
胸の中にずっとある
あのときの私は幸せだったんだ
幸せな思い出を消さないために、
私は思いとどまった。
なのに・・・
七海「そういうところが ・・・本当ムカつくんだよね」
玲未「嫌・・・」
玲未「やめて!」
芽依「ママ・・・」
玲未「芽依! 見ちゃダメ!」
ぎゅっ──
七海「ふふっ・・・」
七海「アッハッハ!」
七海「はーあ! 殺っちゃった・・・ 本当は殺したくは無かったんだけど」
七海「本当ならこの家族を乗っ取って ずーっと玲未に 見せ続けてあげる予定だったの」
七海「『あなたの居場所はここでした』って 未来永劫見せ続けてあげる予定だったの」
七海「そのほうがずーっと玲未の幸せを 奪っていられるでしょ?」
七海「なのに玲未はバカみたいに 『幸せは胸の中にある』 なんて──」
七海「『殺したら幸せもなくなる』 なんて言うから殺してあげたの」
七海「仕方ないでしょ? 私が欲しいのは壊れた玲未なの 狂った玲未なの」
七海「永遠に幸せになれずに 底辺をさまよい続けて 死ぬまで苦しみ続ける玲未なんだよ!」
七海「私の幸せ奪って 自分だけ幸せになったんだから 今度は私が奪ってあげるの」
七海「自分だけ幸せになろうなんて 自分だけ幸せだった 過去に浸ろうなんて・・・」
七海「絶対に、ユルサナイ」
玲未「パパ! パパ・・・」
芽依「ママ・・・ パパ、どうしたの?」
玲未「パパは・・・」
七海「芽依ちゃん パパはね 遠い所に行っちゃったの」
玲未「何で・・・ こんな・・・」
七海「なぜか? 愚問ね 私は脳の記憶と ストレスの研究してるの」
七海「知ってる? 人間は防衛本能で幸せな記憶の上に 苦しい記憶を重ねて記憶してしまうもの」
七海「それに人間が人生で感じる 一番のストレスって何か知ってる?」
七海「身近な人の”死”なの!」
玲未「・・・っ!」
七海「どう? 幸せがなくなっていく気分は」
七海「脳裏に焼き付いた? 旦那さんの死に様 旦那さんを刺す”私”」
七海「玲未が幸せになるなんて 玲未に幸せな記憶があるなんて──」
七海「そんなの 絶対にユルサナイ──」
七海「芽〜依ちゃん♪ こっちで私と遊びましょ?」
七海「すぐにパパと同じところに 連れて行ってあげるから──」
芽依「ななみー?」
玲未「芽依っ! ダメっ! 私から離れないで!」
七海「逃げたって無駄なのに・・・」
七海(逃げられると、思ってるの?)
〇川に架かる橋
玲未「はあ、はあ、はあ・・・」
芽依「ママー? びしょびしょ・・・へーき?」
玲未「うん・・・」
私の中の幸せは、
こんなに簡単に
血に塗られてしまうものなの?
玲未(ダメだ、このままじゃ・・・ 七海は絶対に追ってくるし きっと芽依を狙って──)
逃げてもいいじゃない。
幸せな記憶を大事にして生きたって
いいじゃない。
芽依「ママ、何で逃げるの?」
玲未「え?」
芽依「ななみはとっても優しかったよ? なのに、何で?」
玲未「・・・」
玲未「幸せを、守るためだよ」
芽依「幸せ?」
玲未「そう、幸せ──」
幸せな記憶が、私を止めてくれた。
だからきっと、
幸せな記憶は七海も止めてくれるはず──
それまで、私は・・・
玲未(とにかく逃げなきゃ、遠くに・・・)
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凄惨な感じになってきましたね!
すごい迫力です!!
あとスチールの使い方がすごく上手くて、勉強になりました🙇
まさか克彦が刺されるとは!(芽衣が刺されると思っていました)
七海と蒔田は方向性は違えどどっちもヤバい奴ですね。二人とも一見普通の人に見えるのが逆に怖い…。
次回の最終話、楽しみにしています!
いよいよ次回が最終話とのことで、どんな結末となるのか楽しみです。
恐ろしい展開のなかで娘さんを守れたことは希望の光にも思えました。本当の幸せと大切なものが何処にあるのか、ラストに期待しています!