五教一党家族

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五教一党の日常(脚本)

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〇綺麗な一戸建て
  ここは「ぼく」の家。
  結構おおきくて、2階建て。
  家族は5人で住んでいる。
  見ただけでは家族の事情なんてわからない
  そう、一見すればぼく達も普通の家族
  だけど──

〇ホテルのレストラン
  ここは食事をする所なんだけど
  何人座れるんだろう。
  小さなテーブルが幾つもある。
  さっき結構おおきい家って言ったけど
  実は割と豪邸な方かもしれない。
  入れない部屋もあったりするし。
おかあさん「お食事の時間です・・・。 さぁ・・・始めましょう──」
  ドレスを着て、手には火が付いた蝋燭。
  白い皿を幾つもテーブルに並べ
  おかあさんが食事開始を告げる。
  ぼくん家の・・・
  食事タイムの始まりだ。
おかあさん「遥かなる雄創より、頂きから光はもたらされました・・・」
おかあさん「残々たるは生光に集いて、改めたるは灯にくべて尚も轢解となり、やがて瑠璃の花が咲くでしょう・・・」
  おかあさんは「燈蝋教」
  ロウソクをあちこちに置いて、儀式っぽい事をするのが特徴だ。
ぼく(今日もはじまったか・・・)
  ぼくは大体黙って待っている。
  その間、家族はそれぞれ全く違う行動をとるんだ。例えばー
お姉ちゃん「ティス・・ジェス・・アス・・ォス・・・」
  お姉ちゃんはとにかく語尾に「ス」が付くっぽい言葉か名前か知らん単語を永遠と呟く。
お姉ちゃん「・・・ワス・・ノゴス・・オッス・・・」
ぼく(おっす・・・!? 今、おっすって言わなかった!?)
おとおさん「・・・・・」
  おとおさんは・・・
  じーっとドクロを眺めている。
ぼく(これ・・いつも思うけど ホンモノ・・・・じゃないよね?)
  そして、時々。
  両手を横に突き出して、ウンウンと頷くように首を縦振りするんだ・・・。
ぼく(おとおさん・・・。 顔はイケメンなのにな・・・。 なんか残念なんだよな・・・)
  おばあちゃん。
  誰とも血は繋がっていない。
  この家を建ててくれたらしく
  みんなでここに住んでいる。
  おばあちゃんに関しては謎が多い。
  両親との関係に、どうして一緒に住んでいるのか、どこの誰なのかも・・・
おばあちゃん「・・・・・」
  この食卓で奇怪な行動をそれぞれが取るんだけど、ぼくとおばあちゃんだけは普通に儀式が終わるのを待っている。
おかあさん「フェンデンウ・ディプフニューィル・・」
  おかあさんが金色の鈴を鳴らす。
  すると、みんな一斉に儀式っぽい何かを止めて食事を始めるんだ。
ぼく「いただきまーす!」
  おかあさんの儀式が終わると全員が食べだすのも、我が家ならではで・・・
  食事も大体おかあさんが用意する。
  これは、多分それぞれの宗教がひしめく我が家ならではの解決策か。
  或いは妥協案なんだと思っている。
  朝からロウソクの揺らめく炎を眺めながら
  ぼくの五教一党の生活が始まる。

〇おしゃれなリビングダイニング
ぼく「あ~学校終わったし、ゲームやろかな!」
お姉ちゃん「カーテン閉めて!!」
ぼく「お・・お姉ちゃんっ!!」
  お姉ちゃんの宗教は
  「ヒュプテリーの螺旋」とか言うやつ。
  こうして、突然儀式が始まる事がある。
お姉ちゃん「そして、アペンィツルガは咆哮の術を愚かなる民に向けて放ちました!」
  お姉ちゃんは普段は無口だし
  どちらかと言うと暗い印象なんだけど
  儀式の時は人が変わったようになる。
お姉ちゃん「ウルターナに情伏されたし、西海!ダルドアゴース!ジャデリジャリディッ!!」
  お姉ちゃんの儀式はこんな感じで、よくわからない事を叫びながら本を破く。
  本は何かの辞典3冊分ぐらい分厚い。
  ちなみに、お姉ちゃんが儀式をしている時は誰も入ってはいけないし、見てはいけない事になっている。
  放っている言葉全てが「禁呪言」と言う呪われたものとかで、聞いてはいけない。
  口にしてる姿さえ見ると呪われる。
  とか説明しつつ・・・。
  ぼく今、思いっきり見てるし
  ばっちり聞いてますが・・・。
  儀式に居合わせた場合は、最後まで一緒に儀式へ参加しないと呪われるので・・・
  とりあえず終わるまで居る訳で
お姉ちゃん「グォーテルが再臨するわ! そっちの角にこれ置いて!」
ぼく「は・・・っ・・・はい!!」
お姉ちゃん「そして!群青に輝く大地は現れた! 渇きを求め、煉火に包まれし旅人よ! 罰するは、かの裁王なる事と!」
ぼく(手伝わないと呪われるからなぁ・・。 コレ、まだ生きてるし・・・。 ゲームしたかったのに・・・)
  呪いを多く扱う宗教のせいか
  お姉ちゃんの部屋にはぼく以外は入る事が出来ないのも我が家特有だ。
  何かの用事でお姉ちゃんを呼ぶ時や
  荷物なんかを渡すときはぼくが呼ばれる
  家の中なのに、ちょっと不便だ。
お姉ちゃん「セタラシアース! バルヘチュリニオン!! あははははははは!!!」
ぼく「あ・・・終わった」
  発狂してるかと思うぐらいにお姉ちゃんが笑い出すと、儀式が大体終わる。
ぼく「はぁ・・・・・・ぁ」
  ちなみに、お姉ちゃんは儀式の道具以外は一切片付けたりしない。
  部屋のあちこちに散らばる破かれた本の屑は、いつもぼくが片付ける。
  ぼく以外誰も片付けないからだけど。
ぼく「お姉ちゃんは嫌いじゃないんだけど・・ いや、これで何で嫌いにならないのかって言う気もするんですが」
ぼく「家族だからか、何だか「日常光景」みたいになってて、何とも思わないと言うのが本当のところですね・・・」

〇豪華なリビングダイニング
  おとおさんだ。
  一流企業に勤めていて、顔はぼく目線からもわかるイケメンてかイケオジだ。
おとおさん「最近サッカーの方はどうだ?」
ぼく「うん。 リフティングが30回ぐらいまでできるようになって来たよ」
おとおさん「それは上達が早いな! 忙しくなければ、練習に行ってあげられるんだけどな・・・」
ぼく「おとおさん休みほとんどないもんね。 また、時間の都合ある時で良いよ!」
おとおさん「本当にすまないな。 そうだ、宿題の手伝いはどうだ? 今なら少し時間も作れそうだからな」
  おとおさんはめっちゃ優しい。
  めっちゃ出来る大人感が強い。
  間違いなく憧れる感じ・・なんだけど
おとおさん「ィヤィヤィヤィヤィヤィッ!! ィィイィイィイッ!!」
ぼく「やば・・・・!!」
  おとおさんの宗教は発音が難しくて・・・
  「チュラム・ィヤッパ」って呼んでる。
  どこぞの民族臭がするのが特徴だ。
おとおさん「ンーードゴドゴンッ!! ンーーードンゴンドン!!」
  腰みの姿で火の付いた棒振り回すとか
  完全に南の国のどっかで見たやつだし
  カクカクした動きがそう思わせる
ぼく(やばい・・・!! 捕まる・・・・っ!!)
おとおさん「ホォウォッ!ホォウォッ!ホォウォッ! ホォウォッ!ホォウォッ!ホォウォッ!」
おとおさん「イキャキャキャキャキャァーーッ!!」
  ちなみに、何の儀式か全くわからない。
  この状態の時に捕まってしまうと
  ピザ生地のように体をブン回される。
  うわぁああああっぁああぁあ!!
  おとおさんの宗教は一番奇行が多い
  と、ぼくは思っている。
  衣装の早着替えも、異常に早いけど。
お姉ちゃん「ヤバっ!! 早くしないと歌番組始まっちゃう!」
おかあさん「ごめんなさい。 遅くなりました。 ご飯の支度始めますね」
  ィヤィヤィヤィヤィヤィッ!!
  それと、おとおさんの儀式はお姉ちゃんのとは全く逆で何の制限もない。
  見るのも、聞くのも別に大丈夫なんだ。
おとおさん「そうか、もうご飯の時間か。 私は洗濯物の方を片付けておくよ」
ぼく(いや・・・落差あり過ぎんだろ・・・)
ぼく(さっきまで僕回されてたのに! どうして誰も何も言わないんだ!? うっ・・・目がまだ回ってるよ・・・)
  ま、こう言うのもいつもの事で
  ぼくが色々思ったところで
  この家はこれが平常運転なんですよね
おばあちゃん「みなさん。 聖行の刻です」
ぼく「お・・・! おばあちゃんっ・・・!!」
  おばあちゃんが着替えてる。
  そして、独特な鈴を鳴らしながら
  日本人形が大量に乗った荷車を押して来る
  家族全員の顔つきが一気に変わった
おとおさん「同道させて頂きます」
お姉ちゃん「聖行・・・すなわち アペルディアン・デア・・・」
おかあさん「御霊託のままに・・・」
  一家総動員・・・。
  我が家の一大イベント・・・
  今まさに聖行が始まろうとしていた・・

コメント

  • 宗教というより治療が必要なレベルで面白かったです。誰も主人公の「ぼく」に自分の宗教の入信を押し付けないところがいいですね。日本人形が大量に乗った荷車の聖行は窓の外からちょっと覗いてみたいなあ。

  • 「信教の自由」を見事なまでに体現した家族ですねww 家族としての体をなしているところに吃驚です。家族喧嘩は宗教戦争のようになりそうですね

  • 私も全員教祖というネタを考えていましたが、形に出来なかったので、この作品に惹かれました!
    宗教らしさがよく表現されていて面白かったです。

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