家族計画始動(脚本)
〇入り組んだ路地裏
凛子「それでね、そのときゆりかちゃんが~」
赤瀬ひとみ「うそ~! そんなのだめだって~!」
凛子「ね~ 笑えるよね」
赤瀬ひとみ「あ、わたしこっちから帰るね」
凛子「え、こんな暗いところ通るの?」
赤瀬ひとみ「だいじょうぶ。ただの近道だから」
凛子「そうなんだ。じゃあバイバーイ!」
赤瀬ひとみ「うん、バイバイ」
赤瀬ひとみ「あー、おもしろかった」
筒井信夫「・・・・・・・・・・・・」
赤瀬ひとみ(うしろの男の人・・・ついてきてる?)
・・・みなさんは、今度のおやすみにお出かけする人も多いと思いますが、知らない人には十分注意してください。
特に、ひとりの帰り道なんてあぶないですから。できるだけ人通りの多いところを歩いてくださいね。
赤瀬ひとみ(先生もそう言ってたっけ・・・ もしかして不審者?)
赤瀬ひとみ(たしか、怪しい人にはあいさつすると良いって聞いた気がする・・・)
赤瀬ひとみ「あの~。こんにちは」
筒井信夫「え・・・」
赤瀬ひとみ「もしかして不審者ですか?」
筒井信夫「いいや・・・違うよ」
赤瀬ひとみ「な~んだ。よかったです!」
筒井信夫「ところで、君は親切な子かな?」
赤瀬ひとみ「親切? やさしい人ってことですか? それならわたし、やさしいです!」
赤瀬ひとみ「授業でわからないところをお友だちに教えたりするし、黒板も積極的に消してます!」
赤瀬ひとみ「信号でおばあさんが困ってたらお手伝いするし、えっと、みんなと仲が良いです!」
赤瀬ひとみ「あと、あと・・・応援が得意です! それと、えっと・・・」
筒井信夫「もういいよ。すごく偉いんだね」
赤瀬ひとみ「いえ! 当然のことですから!」
筒井信夫「君、いい子だってよく言われるだろう?」
赤瀬ひとみ「先生やお友だちから言われます。 でも、わたしなんてまだまだです!」
筒井信夫「その年で謙遜もできる・・・すばらしい」
筒井信夫「僕の家族にふさわしい、とってもいい子だ・・・」
赤瀬ひとみ「・・・え?」
〇怪しい部屋
赤瀬ひとみ「ん・・・・・・」
赤瀬ひとみ「あれ? ここ・・・どこ?」
筒井信夫「あ、よかった、目が覚めた・・・ 安物だったから心配したよ」
赤瀬ひとみ「あ、さっきのお兄さん・・・ですよね」
筒井信夫「ああ、そうだよ」
赤瀬ひとみ「ここってどこですか?」
筒井信夫「僕の家だよ そして君の家でもある」
赤瀬ひとみ「わたしの家? そうなんですか?」
筒井信夫「ああ、そうさ 僕と君と、まだ見ぬ家族のためのね」
赤瀬ひとみ「家族?」
筒井信夫「ああ、そうさ 君は今日から、僕の娘だ」
赤瀬ひとみ「・・・・・・・・・・・・」
赤瀬ひとみ「えーーーーーーーーーーーっ!?」
筒井信夫「突然のことだから、驚くのも無理はない・・・でも、」
赤瀬ひとみ「本当ですか!? わたしってお兄さんの娘なんですか!?」
筒井信夫「え・・・あ、そうだ、よ」
赤瀬ひとみ「すごい! すごいです! 衝撃の展開ですよ!」
赤瀬ひとみ「家族が変わっちゃうことなんてあるんだ~! すご~い!」
筒井信夫「いや、その・・・怯えたりしないのか?」
赤瀬ひとみ「どうして? すっごく楽しみ!」
筒井信夫(この子、誘拐されたって状況を理解していないのか・・・?)
筒井信夫「君、誘拐って知って・・・」
赤瀬ひとみ「あれ? ここにいるのってお父さんだけ?」
筒井信夫「お、お父さん・・・お父さんか・・・」
筒井信夫「お父さん・・・いい響きだ・・・ パパじゃないのがむしろ、良い・・・」
赤瀬ひとみ「お母さんはどこ?」
筒井信夫「お母さんは探してる途中だよ」
赤瀬ひとみ「すぐに見つけようよ! 玄関ってどこ? お父さん!」
筒井信夫(いつの間にかタメ口になっている・・・ 親子関係だからか・・・)
赤瀬ひとみ「あ!」
筒井信夫「ど、どうした!?」
赤瀬ひとみ「・・・・・・ねむい~」
筒井信夫「うわっ! 急にふらっとするな!」
筒井信夫「あ、あぶなかった・・・」
えへへ・・・お父さんあったかい・・・
筒井信夫(この子は・・・素直というにはあまりにも常識に欠けている・・・)
筒井信夫(警戒心もまったくない・・・本当にこの子を娘にしてもいいものか・・・)
筒井信夫「いや・・・もう決めたんだ 究極の家族をつくるって・・・」
筒井信夫「互いのすべてを無批判に愛せるような、究極の家族に・・・」
ふたりは眠った・・・
親子のように寄り添って。
異常者が自分より異常な人間に出会ったときにどのような行動に出てどのように対処していくのか、とても興味があります。それにしてもひとみちゃん、どんな家庭で育てられたんだろう。それとも生まれつきのサイコパスなのかな。
底抜けに明るくポジティブなひとみちゃんが素敵ですね!彼女の存在が、主人公にどう影響を及ぼしていくのか続きが気になって仕方ないです!
いわゆる普通によく聞くような誘拐ではないからより惹きつけられました。家族という概念をぶっ壊し、血筋ではなく選別して家族を作っていくという逆パターン、なかなかおもしろいです。