うつし世はゆめ

深山瀬怜

1-7「邪視」(脚本)

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〇カラフルな宇宙空間
  天使と悪魔の血は美味らしい。
  それが知られているということは、
  天使と悪魔の血を吸った吸血鬼が
  存在するということだ。
  血は吸血鬼に力を与える。
  人間の血だけでも、
  魔力量が増えたり、
  傷の治りが早くなったりする。
  ならば、天使や悪魔の血の場合は・・・
  第7話「邪視」

〇おしゃれなリビングダイニング
市来紅羽「だぁー! もう! 腹立つ!」
市来碧都「人工血液パックをヤケ飲みしてる・・・」
市来榛斗「吸血鬼の暴飲暴食ってこうなるってことだな・・・」
市来紅羽「あー! マズい!」
市来碧都「青汁のCMだよそれじゃあ・・・」
市来紅羽「そりゃちょっと、いや大分やばかったけど! あの言い方はないじゃん!」
市来紅羽「あの夢魔にはファーストキス奪われるし!」
市来榛斗「えっ、ちょっと待って、後半の方が聞き捨てならない」
市来榛斗「ファーストキスの相手はお兄ちゃんが認めた人にして?」
市来紅羽「今その話どうでもいいから!」
市来紅羽「いやどうでも良くはないけど、夢魔はノーカンでいいと思うし!」
市来碧都「・・・で、その子、白い軍服みたいなの着てたんだよね?」
市来碧都「ってことは多分、サーペンティンの子だよね」
市来榛斗「おそらくな」
市来紅羽「何そのサーペンティンって」
市来碧都「民警会社だよ、うちと違って大手の」
市来榛斗「おそらく民警会社の中では一番大きいな」
市来榛斗「所属するためにはかなり難しいテストをクリアしなければならない」
市来榛斗「強いのも納得だな」
市来紅羽「・・・まあ確かに強かったけど」
市来紅羽「魔法の出力とんでもなかったし」
市来紅羽「でも腹立つんだよなぁ・・・絶対あいつより先にあの夢魔捕まえてやる」
市来碧都「やる気なのはいいけど、もう俺ら全員顔見られちゃったから、前と同じ方法では接触もできないと思うよ」
市来榛斗「そうだね・・・罠を作ってみようか」
市来紅羽「罠?」
市来榛斗「あの夢魔は異常に強かった」
市来榛斗「おそらく何人もの人間の精気を溜め込んでいる」
市来榛斗「あの夢魔にとって美味しそうに見える餌を作って、食いついたところを叩く」
市来碧都「それだけだと昨日みたいなことにならない?」
市来榛斗「邪視を使って、あの夢魔の動きを止める」
市来紅羽「・・・まじで?」
市来榛斗「使えるでしょ?」
市来紅羽「使えるけど・・・人工血液だと、邪視は」
市来榛斗「俺でもいいし、碧都でもいいけど」
市来紅羽「じゃあ碧兄で」
市来榛斗「そんなに俺の血嫌い?」
市来紅羽「最初のがトラウマすぎて・・・」
市来碧都「俺はちゃんと寝たから大丈夫」
市来紅羽「で、邪視を使った後は?」
市来榛斗「倒すよりは生捕りにする方向で考えよう」
市来碧都「何であんなに人間の精気を集めてるかも聞きたいしね」
市来紅羽「餌のためじゃないの?」
市来碧都「夢魔一体に、あのレベルの精気は必要ない」
市来碧都「多分他の誰かに渡してるんだと思う」
市来榛斗「後ろに誰がいるのか、それを突き止められれば・・・サーペンティンを出し抜けるかもしれない」
市来紅羽「つまりリベンジマッチってことね」
  三人はそれぞれに魔法を使い、夢魔を誘き寄せる罠を作った。
  後は夜を待つだけ。
  しかしその前に、紅羽にはやらなければならないことがあった。

〇おしゃれなリビングダイニング
市来紅羽「昨日の睡眠時間は?」
市来碧都「6時間、たっぷりと」
市来紅羽「朝食も昼食もちゃんと食べてる。 健康状態にも問題はなさそう」
市来碧都「献血の問診かな?」
市来紅羽「不味い血飲みたくないんだもん」
市来碧都「榛兄の、そんなにトラウマに・・・」
市来紅羽「人間の血飲んだのもあれがほぼ初めてだったもん」
市来紅羽「生まれたときから人工血液パックで」
市来碧都「で、俺は合格?」
市来紅羽「気は進まないけど、今のままじゃ邪視は使えないし」
市来紅羽「碧兄が天使だったら良かったんだけどなぁ」
市来碧都「いや、でも天使の血飲むのってなんか怖くない?」
市来碧都「俺も半分吸血鬼だけどさ、人間の血も結構抵抗あるのに」
市来紅羽「人間の血、飲んだことあるの?」
市来碧都「昔、大怪我して死にかけた時に一回だけ」
市来碧都「俺は人間の食事でもある程度栄養になるから」
市来紅羽「そう。でも・・・貧血には注意してね」
  紅羽は意を決して、
  碧都の首筋に噛み付いた。
  人工血液パックとは違う、
  温かいものが喉を潤していくのを感じた。
市来紅羽「・・・大して美味しくはないね」
市来碧都「榛兄よりはマシみたいな顔をしている・・・」
市来紅羽「一回飲んでみるといいよ、前日の睡眠時間2時間の人間の血」
市来紅羽「いや、あれで助かったから本当は文句言っちゃダメなのかもしれないけど」
市来碧都「でもさぁ、人間の血を飲んだ方が強くなるんだろ?」
市来紅羽「そうだね。多分この前のあの子は・・・少なくとも人工血液パックだけで生活してるわけじゃなさそう」
  そうでなければ説明できない魔力量だった。
  けれど、人間との共存を望む民警が
  人の血を吸っているのは矛盾している。
市来紅羽「(でも、人間の血を吸ったら、あの悪魔にも太刀打ちできるかもしれない・・・)」
  あの悪魔をいつか完全に倒すこと。
  それが紅羽が民警になる道を選んだ理由だった。
  けれど、普通の吸血鬼は
  悪魔には敵わないこともわかっている。
市来碧都「紅羽?」
市来紅羽「・・・強くなりたい」
市来碧都「紅羽は十分強いよ。それに俺たちだっている」
市来碧都「この前は割と役立たずだったけど、今度はあんなことないようにするから」
市来紅羽「・・・うん、ありがとう」

〇華やかな広場
夢魔「ここに美味しそうな匂いを感じたのだけど・・・」
市来榛斗「引っかかったな、夢魔め!」
市来榛斗「この前の借りと紅羽のファーストキスは返してもらう!」
市来碧都「後半の私情がすごい」
市来碧都「シスコンかな?」
夢魔「くっ・・・けれど無駄よ」
夢魔「また夢を見たいのかしら?」
市来紅羽「そうはさせないよ」
夢魔「なっ・・・!」
夢魔「くっ・・・これは・・・邪視か・・・!」
市来紅羽「そう。大人しく捕まりなさい!」
市来紅羽「あと私のファーストキス奪ったこと反省してよね!」
市来碧都「え、そこ?」
市来紅羽「いいから早くやっちゃって! 邪視も長い間は使ってられないんだから」
市来碧都「りょーかい」
夢魔「・・・・・・」
市来榛斗「よし、これで・・・あとは社長に引き渡せば何とかしてくれるって言ってたから」
市来紅羽「ふう・・・よかった」
市来榛斗「目の方は大丈夫か?」
市来紅羽「今日はあの目あっためるやつつけて寝るわ・・・」
  こうして巷を騒がせていた夢魔は無事に捕まった。
  しかし、話はこれだけでは終わらなかった。

次のエピソード:1-8「VS吸血鬼」

コメント

  • 榛兄さんずっと妹のファーストキスが奪われた事に拘ってておもしろいwwいや、そのくらい妹のことを他の繋がりなくても大事に思ってる事は尊いけど…そして本人にとっても大問題なのはわかるけど…でもやっぱり仕事中に私情含まれ過ぎてて面白い😇そして冷静にツッコミ続ける碧都さんも面白い😇
    初の人間の血がそんなに不味かったらそれはトラウマになりますね…←
    吸血鬼に血を喜ばれる人間、全員健康に違いない😇

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