うつし世はゆめ

深山瀬怜

1-6「紅羽のライバル」(脚本)

うつし世はゆめ

深山瀬怜

今すぐ読む

うつし世はゆめ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇雑踏
  三人が兄弟として暮らし始めて半年。
  紅羽も無事赤点を免れ、今日も夜の仕事に勤しんでいた。
  第6話「紅羽のライバル」

〇渋谷のスクランブル交差点
市来紅羽「で、今日の仕事なんだっけ?」
市来榛斗「最近夜の街に現れる夢魔を見つけてほしいって話だ」
市来紅羽「夢魔・・・ってなんだっけ?」
市来碧都「基本は男の夢の中に入って、気持ちいい夢を見せて精気を奪っていく存在だね」
市来紅羽「夢の中に現れるやつをどうやって見つけるの?」
市来榛斗「それが、例の夢魔は人間に化けて、堂々と人を誘惑しているらしい」
市来榛斗「要は夜のお仕事をしている女性に紛れているっぽいんだけど」
市来榛斗「さすがに高校生連れて来るのは迷ったんだけど・・・俺ら二人だとやられる可能性も」
市来碧都「基本的には男性を狙ってるらしいからね」
市来紅羽「で、その夢魔はどうやって探すの?」
市来榛斗「基本的には勘」
市来紅羽「ねぇ、二人とも私の勘に頼りすぎじゃない?」
市来紅羽「吸血鬼のことレーダーか何かだと思ってる?」
市来碧都「化け方が上手いと俺でも探せないからさ」
市来紅羽「しょうがないなぁ・・・」
市来紅羽「うーん・・・これがその夢魔なのかはわからないけど、あっちの方に何かいる」
市来榛斗「じゃあ、とりあえず気をつけて行ってみようか」

〇ネオン街
  人の欲望が渦巻く歓楽街。
  そこは夢魔にとって絶好の狩場だった。
男「あーなんか今日はもう一軒行きたい気分だなぁ」
女「お兄さん、よかったらうちの店に来ない?」
男「お姉さん、キャッチ? そういう店はぼったくり多いからなぁ」
女「ふふ、お金はいらないわよ」
  女は男の頬に手を伸ばし、その唇を奪う。
  歓楽街では人が多く歩いているはずなのに、
  二人に注意を払う人はいなかった。
男「うっ・・・なんだ・・・? 体から・・・力が・・・」
女「うふふふ・・・ねぇ、気持ちいいでしょう・・・?」
女「もっといい夢を見せてあげる・・・」
男「あ、ああ・・・」
市来榛斗「そこまでだ!」
市来碧都「なんていうか・・・びっくりするくらい堂々とやってたね」
市来碧都「まあでも、一応他の人には気付かれないようにしてるのか」
市来紅羽「おじさん、大丈夫? 多分すぐ動くと倒れちゃうから、そこで休んでて」
  紅羽が襲われていた男を、近くにあったコンビニに適当に押し込む。
  飲み物でも飲んで少し休憩すれば、奪われた精気も回復するだろう。
市来榛斗「最近このあたりで人を襲っている夢魔はお前だな?」
市来榛斗「何が目的だ?」
夢魔「目的なんて・・・私はただ、食事をしているだけ」
市来碧都「夢魔の食事にしては随分と節操がないよね?」
市来碧都「本人も気付かない程度に少しだけもらうのが夢魔だと思ったんだけど」
夢魔「それは人間と共存するためにやってきたこと」
夢魔「でも、餌と共存するなんて私は嫌」
夢魔「あなたたちにも、いい夢を見せてあげる・・・」
  夢魔は紫水晶のペンダントトップに触れ、魔法を繰り出した。
市来碧都「嘘だろ・・・!?」
  碧都は夢魔の攻撃を防ぐための防御結界を張るが、それは易々と破壊されてしまった。
市来榛斗「くっ・・・今までどれだけの人間の精気を吸えばこうなるんだ・・・」
夢魔「あら、二人とも仲良く眠っちゃったわね」
夢魔「民警の味はどんな感じかしら・・・」
市来紅羽「えっ、ちょっと待って、なんで二人ともやられてるわけ?」
市来紅羽「仕方ない、こうなったら私だけで・・・!」
夢魔「あら、随分と可愛らしい攻撃ね」
市来紅羽「っ・・・結構強いね」
夢魔「威力を強くしても無駄よ」
夢魔「あなたももう、夢の中にいるんだから・・・」
市来紅羽「っ・・・いつの間に・・・」
夢魔「あなたが不用意に二人に近付いたのがいけないのよ」
市来紅羽「くっ・・・でも、これが夢なら、そこから出られれば・・・」
  紅羽は夢を壊すための魔法を放とうとする。しかしその直前に夢魔に顎を掴まれ、無理矢理唇を奪われた。
市来紅羽「・・・っ、何で・・・」
夢魔「女夢魔が男だけを襲うと思ったら大間違いよ」
夢魔「女同士だからこそわかることだってあるわ・・・」
市来紅羽「そういう問題じゃない!」
市来紅羽「返してよ私のファーストキス!」
市来紅羽「うう・・・力が抜け・・・」
夢魔「えっ・・・きゃああっ!」
百瀬蛍「ちっ・・・逃げられたか」
市来紅羽「えっと・・・助けてくれてありがとう」
  急に現れた少女の魔法によって、夢魔は退けられた。
百瀬蛍「あなた、吸血鬼なのよね?」
市来紅羽「そうだけど」
百瀬蛍「随分と弱い吸血鬼もいたものね 夢魔ごときに後れを取るなんて」
市来紅羽「よ、弱いって・・・ちょっと!」
百瀬蛍「あなたみたいに弱い奴が民警やってても、何の意味もないのよね」
市来紅羽「なっ・・・!」
百瀬蛍「それじゃあ私はあの夢魔を追うから、あなたはそこで伸びてる二人を何とかしておいて」
市来紅羽「あ、ちょっ・・・待っ・・・!」
市来紅羽「行っちゃった・・・」
市来紅羽「ていうか! やばかったのは確かにそうだけど! あの言い方はなくない!?」
  紅羽は怒り心頭だった。
  けれどあの夢魔に負けそうになっていたのは事実だ。
市来紅羽「(弱いのを認めるしかないのが、悔しい・・・!)」
  久しぶりの敗北の味だった。
  あの日、紅羽の全てを奪った悪魔に
  手も足も出ずに負けて以来だ。
市来紅羽「(あの子くらい強かったら、あの悪魔にも勝てたかもしれないのに・・・)」

〇謎の施設の中枢
  ―民間警備会社サーペンティン本部―
百瀬蛍「すみません、例の夢魔ですが・・・逃げられてしまいました」
天堂斎「あれは逃げ足が速いようだからね。そこまで自分を責める必要はない」
百瀬蛍「・・・あと、市来紅羽に会いました」
天堂斎「ということはあの会社も動いているんだね。彼女の印象はどうだった?」
百瀬蛍「夢魔の罠に簡単に引っかかってました。取るに足らない存在です」
天堂斎「蛍は手厳しいね。だが、彼女は悪魔と交戦して、しばらく死なないでいることができた」
天堂斎「純粋な攻撃力を考えれば、強い方だと言えるね」
百瀬蛍「ですが、私たちの相手になるほどではありません」
百瀬蛍「彼女は、本当に美味しい血の味を知らないから」
天堂斎「ふふ、そうか」
天堂斎「引き続き、あの夢魔の追跡を頼むよ」
天堂斎「あれを捕らえられたら、君にはご褒美をあげよう」
百瀬蛍「ありがとうございます──天使様」

次のエピソード:1-7「邪視」

コメント

  • 天使…天使だと?!ついに天使側の勢力っぽい方々が出てきましたね…わくわく😇
    結構接戦でバトってるように見えたけど夢魔に負けちゃったか紅羽ちゃん…悔しい…😇(男性二人はもっと早めにやられてたのでバトってたのは普通に強いが)
    効果音バチバチでかっこよかったです!

成分キーワード

ページTOPへ