第一話『魔王勅命 ~優雅なる挑戦の始まり~』(脚本)
〇闇の要塞
『守備隊長』ラ・タイ「アレは──」
『守備隊長』ラ・タイ「カーフレッヒ様だ、開門せよ!」
〇闇の闘技場
『守備隊長』ラ・タイ「閣下、ようこそ」
『守備隊長』ラ・タイ「この度は──」
カーフレッヒ「挨拶はいい」
『守備隊長』ラ・タイ「──ハッ」
カーフレッヒ「少し遅れたね──悪いが案内を頼むよ」
『守備隊長』ラ・タイ「それでは、こちらへどうぞ」
〇洋館の廊下
『守備隊長』ラ・タイ「道を開けよ、カーフレッヒ様のお通りだ!」
「は、ハハーッ!」
カーフレッヒ「君たち悪いね、通らせて貰うよ」
下級魔族 ダイエッター「滅相も御座いません」
「──」
下級魔族 ダイエッター「あれがカーフレッヒ様」
下級魔族 ダイエッター「なんと美しい方だ」
下級魔族 モップ「ああ──肌の輝きが違う」
下級魔族 ダイエッター「それに」
下級魔族 モップ「ああ──なんだか」
下級魔族 ダイエッター「良い臭いが」
下級魔族 モップ「ああ──したな」
〇魔王城の部屋
『魔王』フィゥタレル「──何だ?」
魔族「四天王カーフレッヒ様の御成りです」
『魔王』フィゥタレル「そう──」
『宰相』ヤカマッシャモ「イヨオオオオオオッシイイイイッ!!」
『宰相』ヤカマッシャモ「トトトトトッ!」
『宰相』ヤカマッシャモ「トオオオオォセエエエエェイ!!」
『魔王』フィゥタレル(うるせぇ!?)
〇洋館の廊下
『守備隊長』ラ・タイ「それでは閣下、どうぞ中へ」
カーフレッヒ「ああ──ラ・タイ君、案内ありがとう」
『守備隊長』ラ・タイ「ハッ──」
『守備隊長』ラ・タイ「フフッ」
『守備隊長』ラ・タイ(その美にますますの磨きをかけたな)
『守備隊長』ラ・タイ(我が永遠のライバルよ)
〇魔王城の部屋
カーフレッヒ「陛下、御呼び立てにより」
カーフレッヒ「カーフレッヒ、参上致しました」
勇者の小姓 グティ「サメーーっ!?」
カーフレッヒ「おや?魔王城に人間の子供?」
『魔王』フィゥタレル「よく来たな──」
『宰相』ヤカマッシャモ「待っていましたぞおおオオオオォッ!!」
『宰相』ヤカマッシャモ「カーフレッヒ殿オオオオオォッ!!」
『魔王』フィゥタレル「うるさいぞ!少し黙っとけ!」
『宰相』ヤカマッシャモ「畏まりいいィィましたああッ!!」
カーフレッヒ「フカカッ」
カーフレッヒ「宰相殿は相変わらずご壮健ですな」
『魔王』フィゥタレル「元気過ぎるぞ」
カーフレッヒ「ところで魔王様」
カーフレッヒ「また勇者に討たれたと伺いましたが?」
『魔王』フィゥタレル「そうだクソッ、忌々しい勇者め!」
カーフレッヒ「勇者にちょっかいを出すのを止めては?」
『魔王』フィゥタレル「ヤられたままで終われるか!」
カーフレッヒ(何度も討たれてるのに懲りない方だ)
カーフレッヒ「それで、御呼び立ての用件は何でしょうか」
『魔王』フィゥタレル「ウム!魔王として命令だ!」
『魔王』フィゥタレル「四天王カーフレッヒよ、勇者を──」
カーフレッヒ「勇者とは戦いませんからね」
『魔王』フィゥタレル「グヌッ、何故だ!?」
カーフレッヒ「勇者に恨みも無ければ陛下に恩も無いので」
『魔王』フィゥタレル「お、恩ぐらい有るだろう!」
カーフレッヒ「ほぅ?例えば?」
〇海
『魔王』フィゥタレル「お前の領地は──」
カーフレッヒ「元から私の物ですね」
〇魔物の巣窟
『魔王』フィゥタレル「そうだ!四天王の称号をやったぞ!」
カーフレッヒ「ええ──要らないので返上しましょうか」
『魔王』フィゥタレル「いや待て、それには及ばない!」
『魔王』フィゥタレル(コイツとの不仲説が出たら魔王軍崩壊だ)
『魔王』フィゥタレル「引き続き四天王でいこう!」
カーフレッヒ「フカカッ──仰せのままに」
〇魔王城の部屋
カーフレッヒ「他に用が無ければ帰りますよ」
『魔王』フィゥタレル「え、あ、うん──」
『宰相』ヤカマッシャモ「ア゛イ゛ヤ゛アアアアアアァ!!」
『宰相』ヤカマッシャモ「シィバアアアアアァラクッッ!!」
カーフレッヒ「宰相殿、何か?」
『魔王』フィゥタレル「そうだ、本題を──」
『宰相』ヤカマッシャモ「実はアアアアアアアアァッ!!」
『魔王』フィゥタレル「大丈夫だ宰相!余はひとりで出来るもん!」
『宰相』ヤカマッシャモ「コレはァ!差し出がましいイイイ事──」
『魔王』フィゥタレル「勇者の強さの秘密を考えたのだ!」
〇謁見の間
思い出せばヤツらこの前の戦いで
『勇者』タダシ「うおーっ『家族』の為だーっ!」
『勇者』タダシ「そう思うと力がみなぎりますーーッ!」
『魔王』フィゥタレル「グヌッこれが『家族』を思う力!」
『聖女』オリヴィア・さん「喰らえ『家族』を思う気持ち入り魔法!」
『聖女』オリヴィア・さん「それはもうスゴい威力!」
『魔王』フィゥタレル「うわー『家族』って強いぞ負けたーっ!」
「やったー『家族』の絆の勝利だー!」
〇魔王城の部屋
『魔王』フィゥタレル「などと言っててな」
カーフレッヒ(わざとらしい程に家族を推してくる)
『魔王』フィゥタレル「つまりヤツらの力の源は──」
『魔王』フィゥタレル「家族というモノに違いない!」
カーフレッヒ「ハァ」
『魔王』フィゥタレル「なら、その力を我ら魔族も手に入れれば」
『魔王』フィゥタレル「我ら魔族は勇者より強くなるという事だ!」
カーフレッヒ「ハァ」
『魔王』フィゥタレル「コレこそが──」
『魔王』フィゥタレル「『魔王軍改造計画』」
カーフレッヒ「──そうですか」
『魔王』フィゥタレル「そして、この計画のキモである家族」
『魔王』フィゥタレル「その概念の掌握を、お前に──」
『魔王』フィゥタレル「四天王、カーフレッヒに命ずる!!」
カーフレッヒ「興味が湧かないので帰りますね」
『魔王』フィゥタレル「ま、待て待て!?」
『魔王』フィゥタレル「計画の概要だけでも聞いてくれ!」
カーフレッヒ「ハァ──」
カーフレッヒ「まぁ、聞くだけなら」
〇海
『魔王』フィゥタレル「お前の城に、50年居座る娘が居るだろ?」
カーフレッヒ「ええ」
「アルチュナですね」
『魔王』フィゥタレル「うむ、あの『我が娘』だが──」
カーフレッヒ「我が娘?」
カーフレッヒ「遠縁の者と記憶してましたが?」
『魔王』フィゥタレル「養子縁組というヤツでな、今は我が娘よ」
カーフレッヒ「フム」
『魔王』フィゥタレル「それでな、その我が娘アルチュナと」
『魔王』フィゥタレル「カーフレッヒ、お前が──」
〇魔王城の部屋
『魔王』フィゥタレル「結婚し、家族になるのだ!!」
〇魔王城の部屋
カーフレッヒ「結婚──ですか?」
『魔王』フィゥタレル「そうだ!」
『魔王』フィゥタレル「50年も同居して、嫌とは言うまいな!」
カーフレッヒ「嫌、というか」
カーフレッヒ「人鮫は群れ──家族を作る習性が無いので」
カーフレッヒ「結婚、家族──ピンと来ませんね」
『魔王』フィゥタレル「そこよ──カーフレッヒ」
カーフレッヒ「ほぅ?」
『魔王』フィゥタレル「お前の様な、家族を知らぬ魔族にこそ」
『魔王』フィゥタレル「この計画での伸び代が大きいハズなのだ!」
カーフレッヒ「フム」
カーフレッヒ(魔王様はこの件、引く気は無さそうですね)
カーフレッヒ(まぁ、魔王城に来る程度はヒマですし──)
カーフレッヒ「分かりました──アルチュナと結婚します」
『魔王』フィゥタレル「お──」
『魔王』フィゥタレル「おおッ!嬉しいぞ『我が息子』よ!」
『魔王』フィゥタレル「新たなる大公よ!」
カーフレッヒ「ハァ──大公?」
『魔王』フィゥタレル「コレでもう、我らは家族だ!」
『魔王』フィゥタレル「今後は我を父として敬愛するが良い!」
カーフレッヒ「え、父?──ハァ」
『魔王』フィゥタレル「あぁそうだ、それと──」
『魔王』フィゥタレル「家族を知る為に、教える者を用意した」
『魔王』フィゥタレル「オイ、こっちへ来い」
『宰相』ヤカマッシャモ「お呼びに預かりいいいいいぃッ!!」
『宰相』ヤカマッシャモ「恐⭐️悦⭐️至極うううううぅッ!!」
『魔王』フィゥタレル「お前じゃない!」
『魔王』フィゥタレル「出てこい味噌っかす」
勇者の小姓 グティ「へへッ、どうもお呼びに預かりました」
勇者の小姓 グティ「味噌っかすでございます、ハイ」
カーフレッヒ「あぁ、さっきの人間」
『魔王』フィゥタレル「勇者襲撃後、城の中で捕まえた盗人だ」
勇者の小姓 グティ「いや~、えっへへ」
『魔王』フィゥタレル「卑しい盗人でも人間」
『魔王』フィゥタレル「我々魔族よりも家族の概念を知っている」
『魔王』フィゥタレル「コイツに家族を教えさせる」
カーフレッヒ「なるほど──では、持ち帰りますね」
『魔王』フィゥタレル「うむ──罪人だし殺しても大丈夫だぞ」
勇者の小姓 グティ(大丈夫じゃねーッ!?)
〇魔王城の部屋
勇者の小姓 グティ(このサメ──凄く良いニオイだ)
勇者の小姓 グティ(旨そうなニオイ)
『宰相』ヤカマッシャモ「計画どおおりいいいいいぃッ!!」
『魔王』フィゥタレル「馬鹿、聞こえたら台無しだ!」
『宰相』ヤカマッシャモ「コレは、失敬いいいいいッ!!」
『魔王』フィゥタレル「まぁこの計画はお前のお陰だ」
『魔王』フィゥタレル「アルチュナを義理の娘としヤツと結婚」
『魔王』フィゥタレル「家族の大切さを覚えさせ──」
『魔王』フィゥタレル「義父となった我を助けさせる!」
『魔王』フィゥタレル「奴の力があれば勇者も──」
『宰相』ヤカマッシャモ「イチコロよおおおおおぉッ!!」
『魔王』フィゥタレル「これぞ魔王軍改造計画の真の目的だ!」
〇闇の要塞
〇黒
〇水中
勇者の小姓 グティ「凄え!」
勇者の小姓 グティ「俺、水の中で息している!」
カーフレッヒ「我が魔法、喜んで貰えましたか?」
カーフレッヒ「ほら、見えて来ました」
勇者の小姓 グティ「うわ、スゴい」
〇海底都市
勇者の小姓 グティ「アレが」
カーフレッヒ「ええ、我が城です」
勇者の小姓 グティ「デカい──魔王城の何倍だ」
〇黒
〇貴族の応接間
勇者の小姓 グティ「中は空気があるのか」
勇者の小姓 グティ(魔王城より豪華だけど)
勇者の小姓 グティ(海中だから宝の持ち逃げは無理か)
カーフレッヒ「以前は中も水で満ちていたのですが──」
???「カーフレッヒ~~!」
アルチュナ「待ってたぞ!」
勇者の小姓 グティ「生へそ魅惑のオネイサン!」
カーフレッヒ「あぁ、アルチュナ、今戻りました」
アルチュナ「待ちわびたぞ!」
アルチュナ「あーーん!」
アルチュナ「がじがじ」
アルチュナ「あぐあぐ」
勇者の小姓 グティ「食いやがったーー!?」
アルチュナ「うむ!やはり思った通り」
アルチュナ「この酒とカーフレッヒはよく合うのじゃ!」
カーフレッヒ「あぁ、先日届いた献上品ですね」
アルチュナ「ぷはあッ!うまいのじゃ!」
勇者の小姓 グティ「生きてた!?」
カーフレッヒ「このように──水中だと酒が飲めないので」
カーフレッヒ「アルチュナが来てから水を引きました」
勇者の小姓 グティ(スルメの様に噛まれてる)
アルチュナ「うまー」
勇者の小姓 グティ(旨いのか──この四天王は)
〇貴族の応接間
アルチュナ「ふぅ、余は満足じゃ」
カーフレッヒ「そうそう、アルチュナ」
アルチュナ「うむ~」
カーフレッヒ「貴女、私と結婚です」
勇者の小姓 グティ「ひでぇプロポーズだ!?」
アルチュナ「結婚──」
アルチュナ「って、なんじゃ?──旨いのか?」
カーフレッヒ「私と一緒に居る事ですね」
アルチュナ「結婚は旨いのじゃ!」
アルチュナ「ところで──」
アルチュナ「その味噌っかすは何じゃ?」
カーフレッヒ「魔王様が、彼から結婚と家族を教われと」
アルチュナ「教わる?」
アルチュナ「かじる以外に何かするのか?」
勇者の小姓 グティ「むしろかじんねぇっす」
アルチュナ「え~、じゃあ結婚無しなのじゃ」
勇者の小姓 グティ「そんなっ!?」
〇魔王城の部屋
『魔王』フィゥタレル「失敗したら──」
〇貴族の応接間
勇者の小姓 グティ(マズい!)
勇者の小姓 グティ「大丈夫!噛み放題です!」
アルチュナ「なら良いが──結婚は何をするのじゃ?」
勇者の小姓 グティ「え~と、一緒に過ごして、ご飯食べたり」
アルチュナ「それだけか?」
勇者の小姓 グティ「後は──子供ができたり」
アルチュナ「こども?」
勇者の小姓 グティ「ハイ、子供──」
勇者の小姓 グティ(あれ?コイツらって)
勇者の小姓 グティ(子供できるのか?)
???「とと様~!」
カーフレッヒ「どうしました?」
おた姫「とと様が人間を連れて来たと聞いて」
カーフレッヒ「ああ、彼です」
勇者の小姓 グティ「海底に実る果実!」
おた姫「これが人間」
おた姫「──なんだろう」
おた姫「スゴく、味噌っかすって感じです」
勇者の小姓 グティ「閣下、この方は誰ですか?」
カーフレッヒ「私とアルチュナの娘です」
勇者の小姓 グティ「へえ~娘さん」
勇者の小姓 グティ「──え?」
勇者の小姓 グティ「産まれたーー!?」
おた姫「味噌っかすさん、私人間に興味があるの」
おた姫「これ」
勇者の小姓 グティ「コレは──日常系マンガのモンタン」
おた姫「私、この人間の書いた本が好きなの」
おた姫「でも分からない所が多くて」
おた姫「色々聞きたいの」
勇者の小姓 グティ(コレだ)
勇者の小姓 グティ「俺がノンタンを解説します!」
おた姫「本当?やったー!」
勇者の小姓 グティ「ウヒョ!?密着果実絞め!」
カーフレッヒ「──」
カーフレッヒ「グティ君、オタから離れなさい」
「え~っ」
勇者の小姓 グティ(コレは──父親の嫉妬?)
勇者の小姓 グティ(家族愛の脈ありか!)
勇者の小姓 グティ「閣下、この本に描かれてる行事は家族を理解するのに──」
カーフレッヒ「オタは皮膚から毒が出ます」
勇者の小姓 グティ「へ?」
カーフレッヒ「オタは制御出来ないので」
カーフレッヒ「君は今、毒まみれです」
グティ「あばばばば」
おた姫「味噌っかすさーん!」
カーフレッヒ「やれやれ」
カーフレッヒ「──スライム君、毒を抜いてあげなさい」
おた姫「丸のみ!」
幼体魔族(スライム)「モゴモゴ」
幼体魔族(スライム)「ぺ!」
幼体魔族(スライム)「僕好みの味じゃ無いね」
おた姫「死んだの?」
カーフレッヒ「これこれ、とどめを刺す気ですか」
カーフレッヒ「焦らずとも良い」
カーフレッヒ「優雅に挑戦するのです」
〇貴族の応接間
かくして始まる挑戦の日々──
〇朝日
魔王軍は──生まれ変わる!
家族の概念がないだけで既に家族だったのですね😀
ヤカマッシャモのテンションに持ってかれました🤣
そしてサメって美味しいのかが気になってしまいました。近所のスーパーにモウカザメが売ってるのですが、今度買ってみようかな🫠
あれ、家族がテーマだったはずだよな…?と読み進め、なるほどそういうことでしたか💡登場人物多いですがそれぞれキャラが濃くて、とても楽しく読ませていただきました!
ここから人間たちの行事を通して、家族らしく…なっていくのかしら?カーフレッヒの父親ぶり、見てみたいようなそのままの淡々とした姿でいてほしいような、複雑な気持ちです😂
声量に笑ってしまいました(笑)
キャラが多い&濃すぎるなかでも不思議と存在感がゆるがない主人公(サメ)…ツッコミがおいつかない!と思いながら楽しく読ませていただきました。