うつし世はゆめ

深山瀬怜

1-5「新しい友達」(脚本)

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〇事務所
  第5話「新しい友達」
市来榛斗「本当にすみませんでした!」
  六花を守るために魔法を使ったはいいものの、威力が強すぎて不良に全治3週間の怪我を負わせてしまった。
  紅羽の保護者として呼び出された榛斗は社会人として鍛え上げられた礼儀正しさで、何度も頭を下げていた。
先生「まあ今回は、彼が古井戸さんを攻撃したのが先だったということなので・・・」
市来紅羽「そうだよ! あのままじゃ危ないと思ったから!」
市来榛斗「ねぇ、手加減って言葉知ってる? 相手人間なんだよ?」
市来紅羽「・・・今まで吸血鬼ハンターとかそういう人しか相手にしてこなかったから」
市来榛斗「人間の中でもトップクラスに頑丈だからその人たち!」
市来榛斗「とにかく、病院送りにしたのは事実だからね?」
市来紅羽「次からはもうちょっと弱くすることにする・・・」
先生「うん、あのね、できれば人に魔法向けないでほしいかな?」
市来榛斗「一から十まで先生の言うとおりです」
市来紅羽「はーい・・・」
先生「向こうの親御さんも、事情が事情なので大事にはしないと言っているので、今日はこれで」
市来紅羽「いや、そこは大事にしてよ」
市来紅羽「だって今までお金は取られるわ、魔法の実験台にされるわだったんでしょ?」
市来紅羽「しかも、古井戸さん魔法使えないのに」
  怪異の全てが魔法を使えるわけではない。
  六花は魔法を使うための鉱石に巡り会えず、未だに魔法が使えないようだった。
市来榛斗「いや、大事にされると取ったばかりの紅羽のライセンス取り消しになるからさ・・・」
市来榛斗「そっちの問題に関しては、当事者に任せますってことで」
市来榛斗「そういうわけで、帰ろう」
市来榛斗「碧都がご飯作って待ってくれてるから」
市来紅羽「はーい・・・」

〇教室
  次の日、紅羽が教室に入ると、それまでざわめいていた教室が水を打ったように静かになった。
古井戸六花「あ、あの・・・市来さん」
市来紅羽「おはよう、古井戸さん」
古井戸六花「昨日は・・・その・・・すみませんでした」
市来紅羽「古井戸さんは何も悪くないよ」
市来紅羽「そもそもあいつが古井戸さんのことをいじめてたのが悪いし」
市来紅羽「私も・・・ちょっと加減をミスったし」
古井戸六花「市来さん、すごく強くてびっくりしちゃった」
古井戸六花「私は魔法使えないから・・・」
市来紅羽「あ、それなんだけど」
市来紅羽「何か榛兄が・・・あ、榛兄っていうのは私の、血は繋がってないんだけど一応お兄ちゃんなんだけど」
市来紅羽「榛兄が、もしかしたら古井戸さんに合うかもしれない鉱物があるって」
古井戸六花「えっ!?」
市来紅羽「でも可能性だから、もしかしたら違うかもしれないんだけど・・・」
市来紅羽「それでもよければ、今度榛兄の民警会社に来てほしいって」
古井戸六花「今までいろいろ試したけど駄目だったの・・・!」
古井戸六花「でも、もし魔法が使えるようになるなら・・・」
古井戸六花「だって私、怨霊としても雪女としても中途半端だから、魔法が使えないと・・・」
市来紅羽「もし魔法が使えるようになったら、昨日のあいつくらいの雑魚はすぐにぶっ飛ばせるようになるよ」
古井戸六花「ぶっ飛ばすまでは・・・いいかな・・・」
市来紅羽「それにしてもやっぱり学校めんどくさいね。ああいう奴もいるし」
古井戸六花「私は・・・勉強は好きだから」
市来紅羽「まじか・・・尊敬に値するわ」
古井戸六花「よかったら、勉強教えようか?」
市来紅羽「本当に? 正直赤点取る自信しかなかったから、教えてくれると嬉しい」
古井戸六花「いいわよ。じゃあ、私のことはこれから六花って呼んで」
古井戸六花「古井戸ってなんか・・・あんまりかわいくないし」
市来紅羽「わかった。じゃあ私のことも紅羽って呼んでほしいな」
市来紅羽「正直、まだ市来って苗字に慣れてなくて」
古井戸六花「わかった。じゃあよろしくね、紅羽」

〇研究所の中
  そして学校がない日曜日、六花は民間警備会社ハートピアの中にある研究室にやって来ていた。
古井戸六花「あ、あの・・・今日はよろしくお願いします!」
市来紅羽「そんな緊張しなくてもいいよ。 今日は私と榛兄だけだから」
古井戸六花「それで、私に合うかもしれない鉱物って・・・・・・」
市来榛斗「ちょっと寒いけど、こっちの部屋に来てもらえるかな」
  榛斗は六花と紅羽を研究室の奥にある、冷蔵室に案内した。
市来紅羽「うっ・・・まじで寒いじゃん」
古井戸六花「私は全然平気」
市来紅羽「そりゃ井戸の怨霊と雪女だもんね・・・」
市来榛斗「えーっと確かこのあたりに・・・あった」
市来榛斗「古井戸さん、これを持ってみてくれるかな?」
古井戸六花「は、はい!」
古井戸六花「こ、これ・・・何だかすごく体の奥から力が湧いてくるみたいな・・・!」
市来榛斗「それはアンタークチサイト。南極石とも呼ばれている」
市来榛斗「25℃以上だと液体になってしまうんだ」
市来榛斗「だからこの部屋で管理している」
市来榛斗「室温で液体になる鉱物だけど、こうやって瓶に入れておけば、その状態でも魔法は使えるはず」
市来榛斗「固体になってる時の方が強いけどね」
古井戸六花「でも・・・どうしてわかったんですか?」
市来榛斗「半分は雪女だと聞いたから、もしかしてと思ったんだ」
市来紅羽「すごいじゃん! 見直したよ榛兄!」
市来榛斗「えっ、これで見直すくらい評価低かったの?」
市来紅羽「だって榛兄の血、まじで美味しくなかったから」
古井戸六花「ふふ・・・なんだか本当の兄妹みたい」
古井戸六花「ありがとうございました。でも・・・これ、買うとなると結構高いですよね?」
市来榛斗「社長に許可は取った。その小さい瓶ならあげるって」
古井戸六花「本当ですか!?」
市来榛斗「一応、民警は人間と怪異が共存していくために協力するって名目で活動してるからね」
古井戸六花「ありがとうございます・・・!」
市来紅羽「よかったね、六花」
  こうして無事・・・かどうかは多少怪しいが、紅羽は新たな友人を得て、学校に通うようになった。

次のエピソード:1-6「紅羽のライバル」

コメント

  • とりあえずライセンス取り消しレベルの沙汰にはならなくてよかっ…た…かな…?笑
    六花ちゃんに合う鉱石見つかってよかったー!常温で液体になっちゃうなんてそんな鉱石があるんですね…不思議だ…なんか神秘的で、どう力になってくれるのかなと思うとエモいです☺️

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