1-4「紅羽、学校へ行く」(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
市来碧都「お、制服似合ってるじゃん」
市来碧都「今日から学校だっけ?」
市来紅羽「・・・うん」
市来紅羽「あんまり気は進まないけど・・・」
市来碧都「大丈夫だよ。きっと友達とかもできる」
市来紅羽「だといいけど・・・」
市来榛斗「学校行く前に、ちゃんと人工血液パック飲んどくんだよ?」
市来紅羽「あれ、マズいからやだ」
市来碧都「飲まないと学校でお腹空いちゃうよ?」
市来碧都「俺は人間の食事でも腹八分目くらいにはなるけど、紅羽はほぼ栄養にならないじゃん」
吸血鬼も人間と同じような食事を摂ることはあるが、基本的には嗜好品の扱いだ。
人間と吸血鬼が共存していくために開発された人工血液パックは、本物に比べると不味いという問題があった。
市来紅羽「まあ、前日に2時間しか寝てない人間の血よりはマシな味だけどね・・・」
市来榛斗「ねぇ紅羽、それことあるごとに言ってくるけど、そんなにマズかった?」
市来紅羽「うん」
市来榛斗「なんか微妙に傷つく・・・」
市来紅羽「まああれがなかったら死んでたかもしれないってのはあるけどさ・・・」
市来碧都「つまり、榛兄はいっぱい寝ろってことだな」
市来紅羽「いや、もし次があるなら別の人がいい」
市来紅羽「はぁ・・・それにしても美味しくないんだよなぁこれ・・・」
市来榛斗「ちなみにどんな人間の血なら美味しいとかあるのか?」
市来紅羽「人間の中で言うなら、毎日6時間以上の睡眠とバランスの良い食生活とストレスの少ない生活をしている人かな」
市来碧都「現代人、ほぼ全滅じゃないかなそれ・・・」
市来紅羽「人間以外なら、天使と悪魔の血は美味しいって聞いたことある」
市来榛斗「・・・それを味わえる吸血鬼って存在するのか?」
市来紅羽「いたから話が広まってるんじゃない?」
市来紅羽「時間だから、そろそろ学校行くね」
市来榛斗「かなりゴネてたのに、意外にあっさり行ったな」
市来碧都「確かに。まあ、行ってみたら案外楽しいってこともあると思うよ」
市来榛斗「じゃあ俺たちも仕事行くかぁ」
紅羽は学校に、榛斗と碧都は昼間の仕事へと向かった。
ここから三人の日常が始まっていく──と、そう簡単に事は運ばなかった。
第4話「紅羽、学校に行く」
〇教室
市来紅羽「市来紅羽です。よろしくお願いします」
家から徒歩十分の距離にある高校に編入した紅羽は、担任教師に促されて自己紹介をした。
吸血鬼であることを示す紅羽の赤い瞳を見て、控えめなざわめきが起こった。
市来紅羽「(別に取って食いやしないんだけどなぁ)」
人間から見れば、自分の血を吸いに来るかもしれない恐ろしい存在だ。
実際に、その昔は人間の血を吸い尽くしてしまうような吸血鬼も多かった。
恐れられるのは仕方ないことだと紅羽自身も思っていた。
先生「それじゃあ、古井戸さんの隣が市来さんの席だから」
市来紅羽「(古井戸ってすごい苗字だな・・・)」
古井戸六花「古井戸六花です。よろしくね、市来さん」
市来紅羽「・・・よろしく」
古井戸六花「ところで市来さんって、吸血鬼なんだよね?」
市来紅羽「そうだよ」
古井戸六花「私はお父さんが井戸の幽霊の末裔で、お母さんが雪女なの」
市来紅羽「それで苗字が「古井戸」なのか・・・」
古井戸六花「わかりやすいでしょ?」
古井戸六花「ご先祖様はすごい怨霊だったらしいけど、だんだん何恨んでたかも忘れちゃって弱体化してるけど」
市来紅羽「時間って残酷ね」
市来紅羽「でもそれで平和に暮らせてるなら別にいいのか」
古井戸六花「そういうこと。このクラスだと、人間じゃないのは私と市来さんだけだから、仲良くしてね」
市来紅羽「うん。よろしくね」
正直孤立する可能性も考えていたから、同じクラスに自分と同じ立場の六花がいたのは嬉しい誤算だった。
けれどこれが事件に繋がるとは、紅羽も六花も予想していなかった。
〇教室
市来紅羽「遅いなぁ、六花・・・」
市来紅羽「掃除、まだ終わらないのかなぁ・・・」
六花が放課後学校を案内してくれるというので、紅羽は教室で六花を待っていた。
六花は掃除当番があるというので、少し遅くなるのはわかっていたのだが、それにしても遅い。
市来紅羽「いや、さすがに終わってるでしょ」
市来紅羽「どんな広大なトイレ掃除してんのって話だよ」
もしかして約束を忘れて帰ってしまったのかもしれないと思ったが、教室に鞄は残っている。
試しに六花の班が掃除を担当していたトイレに行ってみたが、掃除はとっくに終わっているようだった。
市来紅羽「うーん・・・ストーカーみたいで嫌だけど、やってみるか」
運良く六花の荷物は傍にある。
それを使えば魔法で六花の居場所を探すことができる。
市来紅羽「・・・屋上に行く階段? どうしてそんなところに・・・」
市来紅羽「とりあえず行ってみよう」
〇屋上の入口
古井戸六花「あ、あの・・・すいません、今日は用事があって」
不良「ああん? お前いつからオレに対してそんな生意気な口聞けるようになったんだよ?」
古井戸六花「す、すいません・・・」
不良「お前らみたいなのはいるだけで迷惑なんだからさぁ、学校にいるのに金くらい払ってほしいよなぁ?」
古井戸六花「あ、あの・・・今日は持ち合わせがなくて・・・明日は必ず持ってくるので」
不良「いつでも持ってくるのが常識だろ?」
不良「しょうがねぇなぁ。 オレの魔法の実験台になってくれたら今日は見逃してやるよ」
古井戸六花「きゃあ・・・!」
不良「う、うわぁ・・・! 何だ!?」
市来紅羽「くだらないことする奴はどこにでもいるものね」
古井戸六花「市来さん!」
市来紅羽「古井戸さん、大丈夫?」
古井戸六花「あ、あの・・・私は大丈夫なんですが」
市来紅羽「ん?」
市来紅羽「ちょっと強すぎたか・・・」
古井戸六花「ちょっとどころじゃない気がするんだけど・・・」
市来紅羽「死んではないから大丈夫でしょ」
市来紅羽「肋骨2、3本折れたくらいじゃ人間死なないから」
古井戸六花「は、はぁ・・・」
市来紅羽「でもどうしよう・・・ とりあえず、先生呼ぶ?」
古井戸六花「・・・わ、私、呼んできますね・・・」
く、紅羽ちゃんつよい笑
シンプルにボコす手段は見ててスカッとするので好き…だけど、確かに死にはしないが割と大ケガだよ!?!?笑
六花ちゃん、助けてもらった事よりやり過ぎに驚いてるのがなんかちょっと面白かったです…笑
仲良くなれそうな友達もいてよかったけど、入学早々これは大事件ですな…😇
効果音が日常感を醸し出していて尚よかったです!