うつし世はゆめ

深山瀬怜

1-3「大体成り行きで」(脚本)

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〇綺麗な会議室
  第3話「大体成り行きで」
紅羽「ここは?」
市来榛斗「民間警備会社ハートピアだよ。民間警備会社は知ってるよね?」
紅羽「人に悪さをする怪異を捕まえたり倒したりする人たちでしょ?」
紅羽「会社の名前ダサいけど」
市来碧都「ストレートだねえ」
市来榛斗「俺たちはこの会社に登録されてるメンバー。まあ会ったの今日が初めてなんだけど」
紅羽「・・・あそこにいた人間たちは、怪異を集めて人を攻撃しようとしてた」
紅羽「私たちは眠らされてあの場所に連れて行かれたの」
紅羽「でも私たちは人間の言うことなんて聞かないし、うまくいかないと思ってたら・・・」
紅羽「顔を隠した変な人が来て、「悪魔を喚べばいい」って言って・・・」
市来榛斗「実際に喚んでみたら、悪魔がそこらにいた人間も怪異も皆殺しにしはじめたってところかな」
紅羽「・・・うん」
紅羽「うまいこと逃げられたのもいるかもしれないけど・・・私の仲間はみんな・・・」
市来碧都「そういえば君って、このあと行くところあるの?」
紅羽「仲間たちと一緒に暮らしてた廃墟はあるけど・・・もう誰もいないし」
市来榛斗「・・・それなら、うちに来る?」
市来榛斗「部屋余ってるんだよね」
紅羽「部屋って余るものなんだ」
市来碧都「榛斗さん、優秀だから結構稼いでるみたいですもんね」
市来碧都「あと実家が金持ちって」
市来榛斗「なんか妙に詳しいな・・・」
市来碧都「いろんなところフラフラしてるんで、顔は広いんだ」
市来碧都「ちなみに俺も今は家なき子ー」
紅羽「子ではなくない・・・?」
市来碧都「でも家なき大人っていたたまれないじゃん!」
市来碧都「俺が悪いわけじゃないんだよ! ただちょっと破壊されちゃって」
市来榛斗「え・・・破壊って何、どういう状況・・・?」
市来碧都「この前家の前で怪異とバトルしたら、勢い余って家まで壊れて」
市来碧都「そこからずっとネカフェとかで生活してる」
市来榛斗「・・・何というか・・・二人とも、うちに来る?」
紅羽「行っていいの、おじさんの家?」
市来榛斗「おじさ・・・お兄さんと言いなさいよそこは」
市来榛斗「家主俺なんだから!」
市来碧都「まあまあ、いいじゃん」
市来碧都「榛斗さんと俺、苗字も同じだし、何ならこの三人で兄妹ってことにしてさ」
市来榛斗「まあ・・・部屋も余ってるし、それでいいかぁ・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
  成り行きで、三人は一つ屋根の下で生活することになった。
  本当の兄妹ではないが、養子縁組を使って戸籍上も兄妹になった。
  その方が何かと都合が良かったのだ。
  人間の市来榛斗、
  ダンピールの市来碧都、
  吸血鬼の市来紅羽。
  三人の共同生活はこうして始まった。
市来榛斗「二人とも、うちで暮らすことが正式にきまったということで」
市来紅羽「パーティーする?」
市来榛斗「どうしてそうなる・・・」
市来紅羽「前にいたところは、メンバー増える度にパーティーしてたから」
市来榛斗「とんだパリピ集団だな・・・いや、厳密にはピープルではないだろうけど」
市来紅羽「まあ大体人間の姿してたし、ざっくりピープルでいいんじゃない?」
市来榛斗「それはそれとしてだな。 うちで暮らすからには、紅羽にはちゃんと学校に行ってもらう」
市来紅羽「えー・・・嫌なんだけど」
市来碧都「まあ嫌だよね、学校。 でも実はちゃんと勉強しないと民警のライセンス取れないんだよ」
市来紅羽「そうなの!?」
  紅羽は榛斗たちと同じように、民間警備会社で働くことを希望した。
  しかしそこで働くには、国が交付するライセンスが必要なのだ。
市来紅羽「え、どうしよう私わりと馬鹿な自信ある!」
市来榛斗「そこに自信持たないで・・・」
市来紅羽「民警って強ければいいと思ってた・・・」
市来榛斗「実は脳筋なの? まあ運転免許の学科試験レベルだからそこは安心して良いんだけど」
市来榛斗「紅羽の年齢でライセンスを取得する場合、学校に通っていることっていう規則もあるんだ」
市来紅羽「何そのわけわかんない規則・・・」
市来紅羽「ていうか私、今後100年くらい見た目変わらないはずなんだけど、今から年齢ごまか せないの?」
市来榛斗「もう戸籍出しちゃったんで駄目です」
市来紅羽「いや、一応前いたところからも学校は行ってたんだけど・・・三日で飽きたっていうか・・・」
市来榛斗「最悪籍だけおいてあればいいとは言われたけどな」
市来榛斗「とはいえ、高校生の間は学校の試験で赤点取るレベルになっちゃうとライセンス取り消しになるし・・・」
市来紅羽「うへぇ・・・自信ない・・・」
市来碧都「ま、まあ期末テストとかそういうのだけなんとかなればいいらしいから!」
市来碧都「俺たちも勉強見てあげるし!」
市来紅羽「それなら、まあ・・・」
市来榛斗「それから、ライセンス取得にあたって、魔法に使う鉱石の登録も必要になる」
市来榛斗「実際に仕事で使うものになるから、あまり馬鹿高いものでなければ新調するのもいいと思う」
市来榛斗「ちなみに使ってるのって何の石だっけ?」
市来榛斗「手続きでバタバタしてて見せてもらうの忘れてた」
市来紅羽「これだけど・・・」
市来榛斗「まじか・・・」
市来碧都「これって辰砂だよね?」
市来紅羽「そうだけど、何か変なところある?」
市来榛斗「硬度2だからねそれ・・・攻撃全振りになってるというか・・・」
市来紅羽「攻撃は最大の防御って教えてもらったけど」
市来榛斗「その人も脳筋なの?」
市来榛斗「碧都と俺はそこそこ防御力もある方なんだけど・・・まあしばらくは三人で動くことになりそうだからいいか」
市来紅羽「あと、純血の吸血鬼だから、血の魔法も使えるよ」
市来榛斗「ああ、そういえばそういうのもあった」
市来榛斗「辰砂はそこまで高くはないから新調もできるけど・・・どうする?」
市来紅羽「このままこれ使うよ。・・・前にいたところでお世話になった人狼からもらったものだから」
市来榛斗「・・・そうか」
  紅羽が民警になりたいと言い出したのは、倒せなかったあの悪魔のことがあるからだろう。
  悪魔は扉を使ってあの部屋に封印されたままだ。
  家族のように暮らしていた仲間を殺された恨みは消えないだろう。
  目的ははっきりしている。だからこそ危ういと榛斗は感じていた。

次のエピソード:1-4「紅羽、学校へ行く」

コメント

  • 戦闘で誤って自宅破壊はすごい😇それは場所が悪かったですね…でもこの世界なら割とあるあるなのかなと思いまし…あるあるなのかな…?←
    とにかく家なき子と大人に居場所が見つかってよかったです…。
    そんな突然家なくなるのも大変だけど、この三人がいるところは和むので好き😇
    でもこれから警備会社の資格取得に向けて動いていく紅羽ちゃんが、どうなるのかハラハラします…学業と二重の意味で…((

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