1-2「悪魔と吸血鬼」(脚本)
〇雑踏
兄妹が共に暮らし始めたのは3年前。
そのとき東京では、
怪異が異常発生するという事件が起きていた。
第2話「悪魔と吸血鬼」
〇渋谷のスクランブル交差点
市来榛斗「君が・・・碧都くん?」
市来碧都「はい。苗字一緒ですね?」
市来榛斗「最初聞いたとき驚いたよ。 そこまでありふれた苗字でもないし」
市来碧都「家系図遡ってみたら繋がってたりして」
市来榛斗「そうかもな。えーと・・・君はダンピールなんだよね?」
市来碧都「そうですよ。ちょっと今他の仕事の関係でホストみたいな格好してますけど」
市来榛斗「いや、まあ服装については俺も・・・何で今日に限ってこの服なんだろうって思ってるけど」
市来碧都「話は聞いてます。結構手強いらしいから協力しろって」
市来榛斗「話が早くて助かるよ」
市来榛斗「この前先輩が乗り込んだんだけど・・・無言の帰宅になってしまって」
市来碧都「人が足りないってことですね。 びっくりしましたよ、仕事してたら急に呼ばれて」
市来榛斗「・・・仕事ってやっぱりホスト?」
市来碧都「そっちもヘルプです。基本何でも屋です」
市来碧都「そっちは何でそんな服なんですか?」
市来榛斗「シガーバーに潜入していて・・・」
市来碧都「なるほど。もうマフィアが来たのかと思っちゃった」
市来榛斗「それじゃあ、早速敵地に乗り込もうか」
市来榛斗「準備はできてる?」
市来碧都「この通り。バッチリですよ」
市来榛斗「エメラルドか。良いものを使ってるね」
人間も吸血鬼などの怪異も、魔法を使うときは、己の魔力を鉱物に込める。
魔法を使うには、その者が持つ魔力に馴染む鉱物を使う必要があるが、大人になってもそれと出会えない者もいる。
人に仇なす怪異と戦う榛斗たちは、自分の魔力と馴染む鉱物と出会えた幸運な存在であると言えた。
市来碧都「榛斗さんはトパーズですか。そっちも結構いいもの使ってますね」
市来榛斗「そう、これ結構高かったんだよ?」
市来碧都「じゃあ、その力を見せてもらいましょうか」
市来榛斗「そっちこそ。じゃあ行こうか」
〇廃ビルのフロア
狼「ガルルルルルル・・・」
市来榛斗「人狼の類かな、これは」
市来碧都「なかなかですね。じゃあ俺も!」
市来榛斗「ちょっとオーバーキルすぎない?」
市来碧都「生き返ってきたら嫌じゃないですか。 人狼って丈夫だし」
市来榛斗「まあそうなんだけど・・・」
人狼や吸血鬼などが集まり、人間を殺して自分達の世界を作ろうとしていた組織があった。
榛斗たちは二人でそのアジトの一つに乗り込んだのだが、思いの外簡単に敵が片付いていくことに榛斗は疑問を抱いていた。
市来榛斗「先輩が殉職するレベルで手こずった相手とは思えないんだよな」
市来碧都「先に誰か乗り込んじゃってたとかですかね?」
市来榛斗「だとしたら相当強い人だけど・・・」
市来碧都「とりあえず奥に行ってみましょうか」
〇怪しげな祭祀場
市来碧都「何というか・・・あからさまに怪しい祭壇が」
市来榛斗「・・・変だな」
市来碧都「変って?」
市来榛斗「俺は、怪異が集まって人を滅ぼそうと画策しているって聞いていたんだけど・・・」
市来榛斗「祭壇なんて使うのは、人間側なんだよ」
市来榛斗「もちろんダンピールみたいな存在の可能性はあるけど」
市来碧都「んー・・・つまり、首謀者は人間?」
市来榛斗「人間が怪異を使って人に害をなそうとしている、とかだろうな」
市来碧都「・・・で、その首謀者はどこに?」
市来榛斗「・・・奥に行ってみるしかないか」
嫌な予感がしながらも、二人は奥へと進んでいった。
祭壇はいくつか用意されていたが、そこには怪異も人もいなかった。
市来榛斗「これだけたくさんの祭壇があって、怪異があの弱い人狼だけっていうのは変な話だ」
市来榛斗「もっとうじゃうじゃいてもおかしくないのに」
市来碧都「あとはこの向こうだけですね」
市来榛斗「・・・開けてみよう」
〇血しぶき
市来榛斗「こ、これは・・・」
血を流した人狼。
倒れた吸血鬼。
そして血まみれの人間たち。
あまりにも凄惨な光景に、2人は息を呑んだ。
市来碧都「いったい、何が・・・」
市来榛斗「強い怪異を手なづけようとして、返り討ちにあったのかもしれない」
市来碧都「あ、危ない!」
急に飛んできた魔法に驚きながらも、碧都が魔法で盾を作ったおかげで避けられた。
誰かがこちらに気付いて攻撃しているのか。
けれど様子を窺うと、どうも違っているようだった。
市来碧都「あれは・・・!」
市来榛斗「こいつら、何てものを喚び出してたんだ・・・」
禍々しい姿のそれは、人間たちの間では「悪魔」と呼ばれていた。
怪異の中でも最も人間に敵対的で、凶悪な存在。
そしてその悪魔と対峙していたのは、一人の少女だった。
紅羽「・・・・・・っ」
市来榛斗「あの子強い・・・けど悪魔相手じゃ」
市来碧都「ていうかもうだいぶボロボロだよね!?」
市来榛斗「あの子を連れて、一旦ここを離脱しよう」
市来榛斗「悪魔はあの扉の外には出られないはずだ」
市来碧都「りょーかい」
〇怪しげな祭祀場
市来碧都「ふぅ・・・何とか逃げられたね」
紅羽「何で逃げたの?」
紅羽「戦ってたのに!」
市来榛斗「・・・君がいくら強くても、俺らが三人束になってかかっても勝てる相手じゃなかった」
紅羽「でもあいつは、私の仲間も殺した! だから・・・!」
少女はそう言うなり、その場に倒れこんだ。
市来碧都「君も、もう限界だろう。幸いにもあの悪魔はこの扉の外には出られない。ここは引こう」
紅羽「・・・死んでもいいから、あいつを倒したかった」
市来榛斗「そういうことは言うもんじゃない」
市来榛斗「吸血鬼は人間の血があった方が傷の治りも早いだろう」
市来榛斗「少しだけ、飲むといい」
少女はためらいながらも榛斗の首筋に噛み付いた。
紅羽「うへぇ・・・不味い・・・寝不足の人間の血の味がする・・・」
市来碧都「えっ、寝不足なの?」
市来榛斗「昨日は2時間しか寝てない」
市来碧都「それは寝不足だね」
市来碧都「寝不足の人間の血って不味いんだ・・・」
紅羽「不味いよ! 1日6時間は寝てほしい」
市来碧都「そうなんだ。俺ダンピールだけど、人間の血ほとんど飲んだことないから知らなかった」
市来榛斗「と、とりあえず味に文句つけられるくらいは元気みたいだし、一旦安全な場所に行こうか・・・」
老眼酷いし
血は苦手だけど
2話まで読みました❤️
時間置いてまた読みますね❤️☺️
初対面の二人が、たまたま二人とも若干癖のある格好していたところで笑いました笑
たまたま直前の仕事がそういう関係だったからだけど…なんか面白かったです笑
鉱物に魔力が込められるのエモい…!
怪異側が人間の文明を模してくるのって、闇を感じるというか好きです…
そして寝不足の人間の血は不味いという新知識を得た(たしかに不味そう←)
この三人でヤバそうな悪魔をどうするのか楽しみにしてます😇