漏洩怪議 ろうえいカイギ

すずきひな

漏洩怪議 ろうえいカイギ(脚本)

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〇ボロい倉庫の中
ハッカー「カメラ 回ってますか」
ムーtuber「ああ バッチリだ スマホも 回してる」
ムーtuber「けどよ 嘘だろ?」
ムーtuber「アレ ぜんぶ 異星人かよ!? 人間にしか 見えねえ」
ハッカー「ええ 異星人です」
ハッカー「ハッキング データに よれば──」
ハッカー「あの男は A星人 商社タカタの 社長です」
ハッカー「あの男は  B星人 好戦的な 武闘派」
ハッカー「あの女は  C星人 争いを好まない 穏健派」
ハッカー「そして あの男が  D星人 この会議の 主催者で」
ハッカー「この地球で 最大勢力の 異星人です」
ハッカー「彼らは 協定を結び つかず 離れず 暮らしていた」
ハッカー「それが ここにきて 緊急招集です 気になりませんか」
ムーtuber「ああ けどよ なんでオレ なんだ? 警察とかさ ──あ」
ハッカー「ええ あそこに 警官が いますよね」
ハッカー「異星人が 警察と つながっていたら?」
ムーtuber「もみ消されちまう!?」
ハッカー「僕のような 一般人の声は か弱い」
ハッカー「ですが ムーtuberの あなたなら」
ムーtuber「任せろ 再生回数の 暴力 食らわせてやんぜ」

〇ボロい倉庫の中
D星人「みなさん 緊急招集に 応じていただき ありがとうございます」
A星人「前置きは いい 顔をあわせるのも リスキーなんだ さっさと 本題に入ってくれ」
D星人「では こちらを」
D星人「ある人間に D星人の正体を ネットに晒す と 脅されました」
  擬態の 解けた D星人
  弱点は 塩
B星人「へえ D星人って 塩が 弱点なんだネ」
B星人「だからかァ」
B星人「A星人さんの 商社が ここ数年 塩 買いまくってるの」
A星人「ハン 煽るなや 坊や D星人の 弱点なんぞ 興味ねえよ」
A星人「塩が ほしけりゃ 売ってやる ここ2年 ダブついてるわ」
B星人「フフ じゃ 脅した人間 口封じ しちゃいマス?」
C星人「まあ 心配ないのでは? こんな情報 晒されたところで どれだけの人間が 信じるかしら」
D星人「人間が 信じる 信じない は この際 案じていません 問題は──」
D星人「この中の 誰かが D星人の 秘密を リークした ということです」
  ・・・
D星人「私たちは それぞれの秘密を この場に 差し出し」
D星人「共有することで 不安定な関係を 落ち着かせてきた」
D星人「この写真は 前会議で撮影し 共有しあったもの」
D星人「つまり D星人を売った者が この中に いる」
異星人「ユルシガタイ ウラギリダ」
C星人「落ち着いて 擬態が」
D星人「失礼」
D星人「D星人としては 犯人を捜し出し 本日 この協議で しかるべき 制裁を 下されたい」
A星人「ハンッ 断る 犯人捜しなんぞ してみろ」
A星人「取返しの つかねえ ヒビが入るぞ」
C星人「あら C星人は 協力しますよ 私は 潔白ですので」
A星人「あ? 私は? 引っかかる 物言いだねえ」
B星人「B星人も かまわないヨ けどさァ」
B星人「疑われるって 傷ついちゃうよネ」
B星人「疑っといて 犯人いなかったら どーするの?」
B星人「せんそー ──しちゃうかもヨ?」
D星人「なるほど」
D星人「では 各々 弱点を ご開示 願いたい」
D星人「D星人だけが 弱点を 晒された現状 この協定は 不公平」
D星人「犯人を捜さず 問題を 解決するなら」
D星人「各々の 弱点を 今ここで 共有 願いたい」
B星人「くっくっく あーそれでかァ」
D星人「あーそれで?」
B星人「とんだ茶番だネ」
B星人「それで 招いたんだネ 人間を」
B星人「人間に オレらの 弱点も 晒すためにサ」
B星人「連行してくれ」

〇ボロい倉庫の中
警官「はいはーい」
警官「コソコソ カメラを 回してたのでエ 逮捕 しちゃいましたァ」
警官「さて 誰の手引き かしら? 犯人 捜さないト!」
警官「ですよネ? D星人サン」
D星人「私は 知らない」
B星人「けどなァ オレらの弱点 晒して トクするの」
B星人「D星人さんの ほかに います?」
C星人「そんな」
A星人「くそ 顔 見られたぞ」
B星人「さささ 潔く 自首して くださいヨ」
D星人「知らない 知らない 知らない」
ハッカー「モメてます 逃げましょう」
ムーtuber「に 逃げるって どうやって?」
ハッカー「これです 塩です これを 食らわせて やります」
ハッカー「合図したら 出口に ダッシュです」
ムーtuber「お おまえは?」
ハッカー「僕には 拡散力がない」
ハッカー「ここを 生きて 出るのは あなたで なければ いけないんです」
ハッカー「カメラは 壊されましたけど ポケットの スマホ 動いてますよね?」
ムーtuber「あ ああ」
ハッカー「音声だけでも 拡散を」
ハッカー「頼みましたよ ヒーロー」
ハッカー「ウオオオッ」
警官「きゃああッ 塩が 目にイ」
ハッカー「いまですッ 走って!!!」
ムーtuber「くっそォッ」
ハッカー「くらえ タカタのうず塩だッ」
D星人「な なにをっ くっ ぐああ 塩が タカタのうず塩 がァ」
A星人「タカタのうず塩!?」
C星人「化学薬品を 一切使わず 天日塩 にがり だけで つくられた あの タカタのうず塩!?」
「なんという 贅沢非道ッ」
ハッカー「いけるッ!!! さすが タカタのうず塩ッ」
D星人「ぐああ タカタのうず塩 がァ」
  ・・・
  ・・・・・・
  ・・・・・・・・・
ハッカー「もう いいですよ 人間は 見えなく なりました」

〇ボロい倉庫の中
D星人「ふう しかし」
D星人「この塩は 実においしいですね」
ハッカー「これで 弱点は 塩だと 思いこんだはず」
ハッカー「嘘の 弱点を 拡散してもらえれば」
ハッカー「敵対異星人や 人間に 出くわしても 脅威には ならない」
D星人「そして あわよくば 倉庫にダブついてる 塩が 爆売れして ほしいですね 敵対異星人に」
D星人「秘密を 撮られたときは 冷ッとしましたが」
「逆手にとって ダブついた在庫を 売りさばこう だなんて まったく」
A星人「ワレ ナガラ」
「ナカナカ ノ」
C星人「メイアン ダッタ」
  6体の 異星人が
  重なりあい 1体に なる
異星人(正体)(ぷゥ 1人6役は いささか 気力が 削られますねエ)
異星人(正体)(ささ タカタのうず塩 大量発注 大量発注)
異星人(正体)(商品名 あれだけ連呼 しましたからねエ)
異星人(正体)(秘密の 拡散 タクサン シクヨロ でース!!)

コメント

  • 突然のCM感!!と思ったら始めからそういう計画だったんですね〜。すばらしい頭脳にまんまと騙されました。ムーtuberさんも無事に帰れたし、塩も売れるし、めでたしめでたしですね笑

  • 最後のオチが最高でした!笑
    異星人って本当は近くにいたりするのかなあ。でももしいても気づかれないように過ごしているから、きっと気づかないですよね。そんな想像するのも楽しかったです。

  • (笑)楽しいストーリーでした。最後の統合がまさかの。。。で、そういう落ちかぁとクスッとなりました。会話の内容もテンポがあってよかったです。

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