シークレット・オブ・ザ・デッド

小松朋喜

シークレット・オブ・ザ・デッド(脚本)

シークレット・オブ・ザ・デッド

小松朋喜

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〇怪しい部屋
女(必ず逢わせるから 待っていて)
  女はベッドで眠る中年女性に微笑むと
  注射器を力強く握りしめ
  部屋を出た

〇古生物の研究室
男「がぁ~~!!」
カル「くそ! なんて力だ!」
  暴れる男のゾンビを押さえつけるカル
  女が駆け付け注射器を打つと
  ゾンビは眠りについた
カル「ゾンビが・・・ 眠った!?」
女「みたいね・・・」
カル「次はどうすれば?」
女「待つしかない なにしろ人類初の人体実験 どうなるか・・・」
  腐敗している男の皮膚が
  ゆっくりではあるが
  生きた色味へ変わっていった
カル「これは!? 成功したのか!?」
女「意識が完全に戻らないうちは成功とは・・・」
男「う・・・ ここは?」
女「大丈夫!? ここがどこだかわかる!?」
男「・・・アン ・・・か?」
女「ジェフ! しっかりしてジェフ!」
ジェフ「う!」
女「ジェフ!!?」
カル「落ち着くんだ!」
  カルは女をジェフから離すと
  ジェフは再び眠りについた

〇シックなリビング
ジェフ「ごほ!」
  口から血を吐きすぐにそれを隠した
アン「どうしたの?」
ジェフ「いや・・・」
アン「ジェフ・・・あのね 伝えたい事が・・・」
  速報です
  医療研究所から開発中の薬品が漏れたとの情報が・・・
  テレビのニュースを聞き
  顔面蒼白になるジェフ
  その瞬間
  外から人々の叫び声や爆発音と共に
  聞いた事もない怪物の唸り声が鳴り響いた
  突如特殊部隊が部屋に突入し
  二人を外に連れ出そうとしたが
  ジェフは逃げ遅れゾンビに襲われる
アン「ジェフ!」

〇古生物の研究室
ジェフ「アン!」
  飛び起きるジェフ
  ジェフは見覚えのあるこの建物を探索する

〇廃墟の廊下
  抱き合っている
  カルと女
ジェフ(・・・)
カル「今日はもう疲れただろう 寝なさい」
女「ありがとうカル おやすみなさい」
  女は悲し気な表情で寝室に入る
カル(若いのになんて娘だ・・・ さすが・・・)
  バン!
  女の寝室から
  激しい爆発音が響き
  急いで女の寝室に向かうカル

〇殺風景な部屋
  盗み出した銃を握っているジェフの側に
  粉々に破壊された注射器と
  血だらけの女の亡骸があった
カル「なんて事を!?」
ジェフ「俺はお前のせいでこんな姿に ・・・なのにお前は他の男と」
カル「バカ野郎!!」
  バン!

〇荒廃したショッピングモールの中
  扉の錠を外すと
  大量のゾンビが流れこんできた
ジェフ「こいつら俺を仲間だと?」
  自害しようと
  銃を頭に突き付けた時
  灯りが漏れている部屋が目に映り
  引き込まれるように入っていく

〇怪しい部屋
  アン!?
  ベッドに寝ている中年女性の顔は
  あの日最後に見た
  アンと同じ顔をしていた

〇ストーカーの部屋
  辺りをよく見ると
  アンとジェフの想い出の写真が
  至る所に貼ってあった
ジェフ(これは・・・)
  重そうに体を引きずったカルが
  部屋に入ってきた
カル「ゾンビ化すると皮膚は腐敗するが 体内の組織は傷つく事はない」
  むしろあらゆる病気は快復する
カル「お前が開発した薬品 お前が一番理解しているはずだ」
  お前の癌も完治しているだろう
ジェフ「なぜそれを!?」
ジェフ「・・・まさかお前」
  カルか!?
カル「わからなかったか? あれから20年以上は過ぎた」
カル「お前の肉体は20代のままだが 俺は40代のおっさんだ」
カル「安いSF映画みたいで笑えるだろ?」
ジェフ「・・・ぐ」
カル「お前は自分の癌を治すため 完璧な薬品を開発しようと試みた しかしうまくいかず」
  人類は地獄と化した
カル「アンに 自分の癌の事を言ってなかったんだな 俺はとっくに話していると思っていたが ・・・本当に お前という男は・・・」
  プライドが高いお前が
  彼女に秘密を打ち明けていたら
  違う未来もあったのかも・・・
カル「・・・いや」
カル「俺達はここに隔離された」
  残りの仲間は死んだ
  ゾンビになった奴もいれば
  おかしくなって
  殺し合いになった奴もいたりと
  
  色々だ
カル「その時のショックで」
  アンは今もまだ眠りから覚めない・・・
  お前がゾンビに襲われ目覚めるまで
  体感ではおそらく一瞬の事だったろう?
  
  だが・・・
  俺達には
  死にたい程
  長い時間が過ぎたんだよ・・・
  『なぜ俺を元に戻した!
  こんな事ならいっそ
  化物のままで・・・』
  
  一瞬でもそうよぎった自分に腹が立った
  彼女は
  お前の研究を受け継ぎ
  ワクチンを完成させた
カル「彼女は人類の希望だった」
  カルは写真を指さすと
  そこに映っていたのは
  赤ん坊を抱くアンだった

〇散らばる写真
  まさか・・・
  そんな・・・

〇ストーカーの部屋
ジェフ「うそだ・・・」
カル「ジェフ お前が殺した彼女は・・・」
ジェフ「やめろ!」
カル「お前とアンの・・・」
ジェフ「やめてくれ!」
  ジェフは目の前が歪み
  まともに立つ事ができなかった
ジェフ「・・・すまない」
カル「すまない? はは・・・」
カル「ふざけるな・・・」
  暗がりでわからなかったが
  カルの体は
  ゾンビに噛まれた
  無数の傷があった
カル「お前を殺したい」
カル「だが ミシェルが悲しむ・・・」
ジェフ「ミシェル・・・」
  カルはワクチンの研究書類を
  ジェフに投げつけた
カル「ミシェルが残した希望だ 情けないが俺にはさっぱりだが」
  お前には・・・
ジェフ「・・・カル」
カル「パパは私のヒーロー・・・」
カル「娘の・・・ ミシェルの口癖だった おかしいだろ?」
  あった事もない人間をそこまで・・・
ミシェル「パパはヒーロー」
  それだけが・・・
カル「あの娘の支えだったんだ」
  ジェフはアン
  そしてミシェルと暮す
  幸せな家庭を想像すると
  涙が落ちた
カル「ヒーローになれ」
  ジェフ
  カルは銃で自分の頭を撃ちぬいた
  静寂が押し寄せる世界の中心で
  ジェフは愛する者が残した薄い紙でできた
  希望を掴んだ
  時が止まっているはずの
  アンの目からは大量の涙が溢れていたが
  ジェフはそれに気づかなかった

〇散らばる写真
  なぜなら彼はもうすでに未来へと足を踏み出していたからだ

コメント

  • 悲劇と絶望で埋め尽くされる世界で、すっと一筋の光が差し込んだ、そんな雰囲気ですね。その光を追い求め続けられるか、絶望に飲まれるか、この後のストーリーが気になりますね。

  • 私たちは幸せでありたい、幸せになりたいと願いながらもなぜ過酷な道を選んでしまうのでしょうか。癌で死なずに済んでも、大切な人々を失ってしまったら生きている意味はあるのだろうか。ただのオカルト的なストーリーではなく、生きている意味を考えたくなる深いメッセージが込められていると思いました。

  • 悲しいお話しですね、とても悲しい。人間には絶対に避けれないことがありますが、最後までは自分の心でありたいでうよね、もう少しこのお話しを深く読んでみたくなりました。

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