〇ブリーフィングルーム
的山ミイコ「違うわ！ 私は犯人なんかじゃない！」
藤山コウゾウ「しかし、現場に落ちていたカードのＩＤは君のものだ！ それに、スパイ疑惑もあったのだろう！」
的山ミイコ「そんなのはただの誤解よ！ 偶然！ そう偶然じゃない」
　　キレ気味に『偶然』説を主張するミイコ。
　　当然ながら、偶然なわけがないのは明白だ。しかし、このままでは埒が明かない。
的山ミイコ「証拠！ 偶然じゃない証拠！ 答えてみなさいよ！」
　　アラシは、「はぁ」とため息をつき、スーパーコンピューター・シリクサに指示を送る。
高野アラシ「シリクサ。カードの表側を読んで」
的山ミイコ「え!? あ、いや、ちょっと！」
シリクサ「承知しました」
的山ミイコ「承知しないで！ というか、推理の余地もなくそういうことしないでよ!?」
的山ミイコ「これ、ミステリーじゃなかったの!? もう少し尋問があったりとかないわけ!?」
高野アラシ「時間もページ尺もないんです！」
的山ミイコ「なに、その冷たい対応!? というか、やめて！」
　　前回までのドＳキャラはどこへやら、ミイコは完全に取り乱している。
シリクサ「名前の欄に『かがみみこ』」
シリクサ「プロフィールには『20歳の新人です！ 仲よくしてくださいっ☆』と書かれています。どうやら、名刺のようですね」
高野アラシ「念のために聞きますけど、この名刺、ミイコさんのものなんじゃないですか？」
的山ミイコ「ち、違うわ！ 私はミイコ！ で、こっちはかがみみこ！ ぜんぜん名前が違うじゃない！」
藤山コウゾウ「なるほど、ミイコの源氏名が『みこ』ちゃん！ もう少し捻りがほしいな！ はっはっは！」
的山ミイコ「だから違うってば！」
シリクサ「あのですね」
的山ミイコ「何!?」
シリクサ「抵抗しても無駄ですよ。 名刺からミイコさんの指紋がばっちり検出されています」
的山ミイコ「・・・ばっちり？」
シリクサ「はい、それはもうキレイに」
高野アラシ「ミイコさん」
大野タツノスケ「・・・白状するんだ」
的山ミイコ「あああああ、もう！ もうわかってるわよ、抵抗しても無駄だって！」
高野アラシ「ミイコさん。答えてください。 どうしてあなたのＩＤがこんなところに落ちていたのかを！」
的山ミイコ「・・・わかったわ。 もう抵抗しても無駄みたいだもの。 教えてあげる」
的山ミイコ「・・・防衛軍基地の近くに繁華街があるのは知っているわね？」
高野アラシ「は、はい」
的山ミイコ「そこに最近、そう・・・三か月ほど前かしら。新しいお店ができたのよ」
大野タツノスケ「!!」
藤山コウゾウ「ふむ！ エッチなお店か！」
的山ミイコ「違うわよ！」
藤山コウゾウ「おう、すまん！ で、そのエッチなお店がどうしたって!?」
高野アラシ「あの。 エッチなお店に興味があるのはわかりましたから、ミイコさんの話を聞きましょうよ」
藤山コウゾウ「うむ！ 話してみろ！」
的山ミイコ「で、その新しいお店はちょっとしたコンセプトの・・・いわゆるコスプレガールズバーなんだけど・・・」

〇スナック
　　私・・・そこで働いてるのよ

〇ブリーフィングルーム
高野アラシ「・・・あの、色々つっこみたいんですが。 どうしてコスプレバーでバイトなんかしているんですか!?」
藤山コウゾウ「それほどまでにお金に困っていたのか！」
的山ミイコ「別にお金には困っていないわ。 ただ、私の唯一の趣味が、そのコ・・・プ・・・なの」
藤山コウゾウ「なに!? 聴こえんぞ！ もっと大きな声で！」
的山ミイコ「ああ、もう！ 趣味がコスプレなのよ！ 悪い!?」
高野アラシ「ええっ!?」
的山ミイコ「なによ！ こんな堅物な女がコスプレなんておかしいわよね、滑稽よね！」
的山ミイコ「あー、いいわよ！ 罵りなさいよ、ほらほら！」
高野アラシ「いや、別に趣味趣向は否定するつもりはありませんが・・・どうして隠していたんですか」
的山ミイコ「簡単な話よ。公務員はバイト禁止でしょ？ 地球防衛軍の制服がかわいいから、この職場を選んだのに」
的山ミイコ「クビになんてなりたくないもの」
高野アラシ「そもそも、この職場を選んだ動機からそれだったんですか・・・」
的山ミイコ「当り前じゃない。 それ以外に、なんのメリットがあってこんな職場にいると思ってるの!?」
高野アラシ「そこは嘘でも『正義のため』とか言ってほしかったですね・・・」
的山ミイコ「・・・まぁ、隠していたとはいえどっちの職場にも満足はしていたわ。 あの男にバレるまでは」
高野アラシ「・・・え？」

〇スナック
　　数日前──
　　コスプレガールズバー『ＮＹＡＮ☆ＮＹＡＮ』
　　その日もいつも通りコスプレをしながら働いていたの
的山ミイコ「いらっしゃいませぇ～☆」
　　バレるはずがない。だって、基地の人間がこんなおたくっぽいお店に来るはずがないと思っていたから。だけど・・・