タップ怪談

たいち

手術室の声(脚本)

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〇公園のベンチ
  これは、おれが大学の時の話です。
  その日は友人と宅飲みをしていて、近くのコンビニまで買い出しに行きました。
Wさん「おい二人ともあんまりはしゃぐなよ。 ふらふらじゃないか。」
Rさん「だいじょうぶですって全然酔ってませんから。 ねぇ~。」
Yさん「ねぇ~。」
Wさん「はぁ~、暗いから足元気を付けろよ。」
  おれとRは、まぁそれなりに酔ってたと思う。
  それにマナー的にあれだけど、酒を飲みながら歩いていました。
Wさん「マジで気付けろよ。」
Rさん「だいじょうぶだいじょうぶ。 ほんと、Wは心配性なんだk」
Rさん「うわっ!!?」
  ズデンッ!!!
  パリンッ!!!
Yさん「おいおい、大丈夫か?」
Wさん「ほーら、言わこっちゃない。」
Rさん「いたたたた... 大丈夫...ちよっと転けただけだから...」
Wさん「お、おい!腕!」
Rさん「うで...?」
Rさん「ひぃっ!?」
  右手首と肘の間、10cmくらいかな。
  アケビみたいにぱっくりと切れていた。
  たぶん、倒れた拍子にビンが割れて切ったんだろ。
Yさん「だ、大丈夫か!!? 痛くないか!?血出てんじゃねーか!!」
Rさん「だ、だいじょうぶ.‥ そんなに痛くはないし... 血もあんまり出てないから...」
Wさん「だけど、ガラスも刺さってるし... 傷の中にも破片があるな... これは病院行った方がいいな。」
Yさん「じゃあ、おれ救急車呼んで来るわ!」
Rさん「う、うん。ありがとう」

〇病院の廊下
  傷が深いのとガラス片が傷内部に残っていたので、すぐに手術をすることになった。
Wさん「おいおい、大丈夫か? お前の方が真っ青だそ。」
Yさん「すまん... おれ血とか苦手で...」
Wさん「外の空気吸ってきた方がいいんじゃないか? あとはおれがやっとくぞ。」
Yさん「いや、大丈夫... ここで待ってるよ...」
Wさん「そうか。 じゃあ、おれ手続きとか行ってくるわ。 あんまり無理すんなよ。」
Yさん「ああ、すまんな...」
Yさん「.........」
Yさん「R大丈夫かな... 簡単な手術とは云ってたけど...」
Yさん「はしゃぎ過ぎたなぁ...」
Yさん「.........」
  ギャァァァァァァァァッ!!!!!!!
  痛い痛い痛いっ!!!!!
Yさん「マジかよ... 簡単な手術って云ってたじゃんか...」
  イ"タァァァーーーーーーーイ"ッ!!!!!!
Yさん「.........」
Yさん「すまんR... やっぱムリ...」

〇大学病院
Wさん「大丈夫か?」
Yさん「あ、あぁ... もう手術終わったんだな。 大丈夫か?」
Rさん「うん。 何針か縫ったけど、あんまり目立たないようにしてくれたから大丈夫。」
Rさん「まぁ、しばらくは不自由だけど、一時的なものだからね。 ありがとう、心配してくれて。」
Yさん「そっか、ならよかったのかな。」
Rさん「っていうか、Yの方が大丈夫?」
Wさん「ははっ、普通逆だろ? なんでRに心配されてんだよ。」
Yさん「う、うるせぇなぁ!」
Rさん「ははははははっ!」
Yさん「そういやさ、手術中けっこう痛かったの? 外に聞こえるくらい声聞こえたし。」
Rさん「ん? わたし叫んでないよ?」
Yさん「いやいや、「いたーーいっ!」って叫んでたじゃん。 もう、病院中に聞こえるくらいでさ。」
Rさん「叫んでないよ。ってか、叫ぶわけないじゃん。」
Rさん「だって、手術するときは麻酔してたんだよ。 もう、なーんにも痛かったよ。」
Rさん「たぶん、他の部屋から聞こえたのを勘違いしてたんだよ。」
Yさん「Wは何も聞いてないのか?」
Wさん「なーんにも。 まさか、酔いと貧血で幻聴でも聞いたのか。」
Rさん「んふふふふ。 なに~、そんなに焦ってたの~」
Yさん「ま、まじかよ... いやぁ、あれぇ...」
  たしかに、おれは手術室から叫び声を聞いた。
  でも、Rの云う通り麻酔をするはずだから痛いわけがない。
  じゃあ、おれが聞いた声は何だったんだ。
  酔っていたから?幻聴?
  いや、たしかに聞いた。
  絶対幻聴じゃない。
  じゃあ、だとするとあの叫び声は...

次のエピソード:感触

コメント

  • 作品の世界に引き込まれるようでした。
    このようなスッキリしないところに、怖さと気持ち悪さを感じます。これぞ怪談って感じですね!

  • 病院の建物の中で、手術室というのは生死をさまよう場所でもあるため、私達の魂が行き来するところでもあるようで、彼らの幻聴ではないかもしれませんね。

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