第7話 兄ではなく男として…嫉妬(脚本)
〇ステンドグラス
映画「Cross the line」
アリス「お兄様、愛してる」
アリス「カレンさんより私のほうがいいでしょ」
アンソニー「アリス・・・アリス!」
アリス「お兄様!」
〇テラス席
美由紀(何なの、あの映画)
絵里「美由紀、今日は付き合ってくれてありがとう」
絵里「あの映画、ずっと見たかったのよね」
絵里「「Cross the line」今すごい人気でしょ」
絵里「兄妹の禁断の愛にフィアンセもからんで・・・楽しかったね」
美由紀「ええ」
美由紀(兄妹の愛・・・なんてふざけた映画なの)
絵里「兄妹でっていうのはやっぱりあれだけど、アリスの兄への一途な思いもわかるなあ」
美由紀「そうね」
美由紀(どこが!)
美由紀(お兄様、お兄様って鬱陶しい女だったわ)
美由紀(そう、まるであの小娘のよう・・・)
絵里「フィアンセのカレンもよかったよね」
絵里「美人で上品そうに見えて、実はすごいことも平気な顔でやって・・・」
絵里「そういえば、美由紀ってどこかカレンに似てるよね」
美由紀「えっ!?」
絵里「冗談よ、冗談」
美由紀「もう、変なこと言わないでよね」
美由紀「・・・」
〇テラス席
絵里「あっ!」
絵里「私、用事があったんだ」
絵里「ごめん、美由紀。先に帰るね」
美由紀「えっ・・・」
美由紀「・・・」
美由紀「全く、人を誘っておきながら・・・」
美由紀(私もコーヒー飲んだら帰ろうかな)
美由紀「直樹さんも待ってるし♥️」
俊介「姉さん!」
美由紀「俊介くん?」
俊介「姉さん、ひとり?」
美由紀「え、ええ」
俊介「今少し時間ある?」
俊介「話したいことがあって」
美由紀「少しの時間ならいいわよ」
美由紀(真剣そうな顔して何の話かしら?)
美由紀(また私を求めてくるのかしら・・・)
美由紀(正直、直樹さんともうまくいってるし、俊介くんとはあまり顔を合わせたくないのよね)
俊介「実は姉さんに頼まれていたことなんだけど・・・」
美由紀(何の話?)
俊介「実はあの子・・・沙羅ちゃんのことはダメだったよ」
俊介「あの子を僕のほうに振り向かせることはできなかった」
俊介「ごめん姉さん」
美由紀(ああ、その話ね)
美由紀(確かにそんなこと頼んだわね)
美由紀「大丈夫、気にしないで」
美由紀「私のほうこそ変なこと頼んでごめんね」
美由紀(今となっては、あの小娘なんてどうでもいいのよ)
俊介「姉さん、ありがとう」
俊介「実はその子のことで相談があって・・・」
美由紀「えっ!?」
美由紀(小娘のことで相談?)
俊介「実は最近、その子に偶然会ったんだけど・・・」
俊介「・・・というわけなんだ」
美由紀「その子、沙羅ちゃんがキャバクラで働いていた?」
俊介「うん」
美由紀(あのお兄ちゃん大好き異常性癖小娘がキャバクラ??)
俊介「なんか雰囲気も以前と変わってて・・・」
美由紀「まあ、学生がキャバクラでバイトするのは別に珍しくもないしねえ」
俊介「そうなんだけど、そんな感じの子じゃないし、少し心配で・・・」
美由紀「心配?」
美由紀「俊介くん、沙羅ちゃんが気になるの?」
美由紀「好きなの?」
俊介「好き!? いや、そんな訳ないよ」
俊介「彼女はまだ学生だよ」
俊介「ただ、少し気になるだけで・・・」
美由紀(何よ)
美由紀(以前のように「俺が好きなのは美由紀姉さんだけ」とは言わないのね)
美由紀「わかったわ」
美由紀「今度沙羅ちゃんに会ったら、少し話を聞いてみるわ」
俊介「ありがとう、姉さん」
俊介「ごめんね、時間取らせちゃって」
俊介「それじゃあ、沙羅ちゃんのことよろしく頼むよ」
美由紀(何、小娘のことを頼んだらあとは用なしってわけ?)
美由紀(私よりあんな小娘がいいってわけ?)
美由紀(全く不愉快だわ)
美由紀(さて、小娘の話をどうするか?)
美由紀(どうでもいいけど、直樹さんに言っといたほうがいいかしら?)
美由紀(でも、直樹さんが心配して小娘のところに戻ったりしたら・・・)
美由紀(どうするか・・・)
美由紀(そういえば、さっきの映画の中で・・・)
〇壁
映画「Cross the line」
カレン「アリス、本当に目障りな女ね」
カレン「だけど、アンソニーの前ではそんな態度は見せちゃダメ」
カレン「逆に大人のやさしさを見せておいたほうがいいわね」
〇ステンドグラス
アンソニー「アリスがまた問題を起こした!」
アンソニー「もう許せない!」
アンソニー「きつく叱っておかないと」
カレン「アンソニー、アリスを怒らないで」
アンソニー「しかし・・・」
カレン「私、アリスのことを本当の妹のように思ってるから」
カレン「私がアリスと話をしてみるわ」
カレン「お願い。だから、アリスを怒らないで」
アンソニー「カレン・・・」
アンソニー「君は本当にやさしいね」
アンソニー「やっぱり僕には君しかいない」
アンソニー「カレン、愛してるよ」
カレン「アンソニー・・・」
〇おしゃれなリビング
直樹「沙羅がキャバクラで働いている!?」
美由紀「ええ」
美由紀「昨日、沙羅ちゃんを知ってる友人からその話を聞いて」
直樹「何でそんなことを・・・」
直樹「学費も生活費も十分に送ってるのに」
直樹「バイトをするならするで他にもあるだろうに」
直樹「厳しく言ってやらないとダメだな」
美由紀「・・・」
美由紀「直樹さん」
美由紀「沙羅ちゃんを怒ったりしないで」
直樹「えっ・・・」
美由紀「直樹さんと離れていろいろ不安なのかもしれないわ」
美由紀「私、沙羅ちゃんのことは本当の妹だと思ってるから」
美由紀「私も沙羅ちゃんの相談にのるわ」
美由紀「だから、沙羅ちゃんを責めないで」
直樹「美由紀・・・」
直樹「君は本当にやさしいんだね」
美由紀「そんなことないわ。沙羅ちゃんのことが心配なだけよ」
美由紀「あなたの・・・ううん。私たちの大事な妹だから」
直樹「美由紀、ありがとう」
直樹「君と一緒にいられて本当によかった」
直樹「美由紀、愛してる」
美由紀「もう直樹さんったら」
美由紀(やった♥️)
美由紀(あの映画と同じになったわ)
美由紀(あの小娘も役に立つことがあるのね)
〇豪華なリビングダイニング
沙羅(そろそろ行かないと遅刻しちゃう)
ピーンポーン
沙羅(誰かな?)
沙羅「お兄ちゃん!」
沙羅「どうしたの、急に」
直樹「沙羅、何だその格好は?」
沙羅「これからバイトで・・・」
直樹「何でキャバクラなんかで働いているんだ?」
沙羅(お兄ちゃん、知ってるの?)
直樹「お前は学生だろ」
直樹「学費も生活費もちゃんと送ってるだろう」
直樹「何でそんな夜の店なんかで働いているんだ?」
直樹「バイトするならするで別の・・・」
沙羅「うるさい!」
沙羅「そんなの私の勝手でしょ」
沙羅「勝手に家を出ていったお兄ちゃんなんかに言われたくない!」
直樹「おい、沙羅」
〇本棚のある部屋
直樹「沙羅」
沙羅「私けっこう人気あるんだよ」
沙羅「私を指名してくれるお客さんはみんないい人だし」
沙羅「私と楽しそうに話をしてくれるし、私を大事にしてくれる」
直樹「それは本当にお前を大事に思ってのことじゃない」
直樹「それはお前が・・・お前の体が目的なだけだ」
沙羅「お兄ちゃんはどうなの?」
直樹「何?」
沙羅「お兄ちゃん、ひょっとして私が他の男の人に人気があるから嫉妬してるの?」
直樹「何だと・・・」
沙羅「お兄ちゃんも他の人と同じでしょ?」
沙羅「お兄ちゃんも私の体が目的なんでしょ?」
沙羅「私とここで過ごしたことが忘れられないんでしょ?」
直樹「沙羅、お前何を言って・・・」
沙羅「お兄ちゃん」
沙羅「私と「Cross the line」しよ♥️」
直樹「何!?」
沙羅「お兄ちゃん、私たちもう一線を越えてるんだよ」
沙羅「だから、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ」
直樹「沙羅、お前何を言ってるんだ・・・」
沙羅「お兄ちゃんが私を求めてくるなら、私は毎日だって・・・」
沙羅「お兄ちゃん」
直樹「沙羅、お前いったい・・・」
沙羅「お兄ちゃん、しよ♥️」
直樹「沙羅・・・」
直樹「沙羅・・・」
直樹「ハッ!」
直樹「沙羅、いい加減にしろ!」
〇モヤモヤ
映画「Cross the line」
アリス「いまやお兄様は、私を妹としてではなく女として意識している」
アリス「お兄様、私たちはもう後戻りできないのよ」
〇本棚のある部屋
沙羅「いまやお兄ちゃんは、私を妹としてではなく女として見ている」
沙羅「お兄ちゃん、私たちはずっと一緒だよ・・・」
劇中映画と並行して進む展開がオシャレですね😆
彼女たちどちらも常軌を逸してきて…どうなる?