farewell killer

Owl

第1章 001 「いつもの仕事」(脚本)

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〇入り組んだ路地裏
  この章ではクトゥルフ神話TRPG『dropout despair』のネタバレを含みます。
  時刻は22時
  太陽が沈み、光のない場所は暗闇に包まれる時間
  その暗闇の中で、一人の人間・・・「ターゲット」を追い詰めた頃だった。
  目の前にいる暴力団の下っ端である男は、もうまともに戦うことは出来そうにない。
漁 恭弥「いい加減、諦めたらどうだ?」
ヤクザ「テメェ、すぐに殺さねぇと思ったら・・・『遺書屋』か!?」
  満身創痍の男は、ギラついた眼で漁恭弥(スナドリキョウヤ)を睨み付ける。 それは、まだ生を諦めていない眼だ。
漁 恭弥「なるほど、『遺書屋』のことを知ってんなら話は早い」
漁 恭弥「──さっさと片付けよう」
  抜き身の刃が街灯に照らされキラリと反射する。
ヤクザ「俺はまだ・・・死ぬわけにゃ行かねぇんだよ!!」
  そういうや否や、男はこちらに向かって拳を振りかぶりこちらに向かってくる。
ヤクザ「ウッ・・・ぐ────・・・」
  峰打ちで男を無力化する。さすがにこれ以上は死んでしまう。もとより、こちらに走り向かってくることさえ難しいほどだったのだ。
  "窮鼠猫を噛む"とは、まさにこの事だろう。
漁 恭弥「さて、要件はひとつだ」
  懐から1枚の白紙とペンを取り出し、それを男の目の前に差し出した。
漁 恭弥「『遺書屋』のことを知ってんなら、あとは分かんだろ?」
  地面に伏した男には、抵抗の意思は無い。そして、死期を悟った眼をこちらに向けた。
ヤクザ「ほらよ!」
  震える手で、何とか書き上げられたそれを受け取る。
ヤクザ「・・・・・・これを、長に届けてくれ」
  それだけを言って、口を閉じた。その姿はササッと殺せと言っているようだ。
  恭弥は出来上がった遺書を一瞥し、そのまま懐へとしまう。
漁 恭弥「確かに受けとった。きちんと届けるから安心しろ」
  血塗れた刀身を拭い、鞘へと収める。事切れた男を放置してその場を後にした。

〇飲み屋街
  裏路地から少し出れば、チラホラと店が立ち並ぶ所まででてくることができた
漁 恭弥「戻った」
「おかえり〜 どうだった?」
  スマホを見ていた顔を上げて、恭弥を笑顔で迎える男。
  恭弥の恩人であり、”相棒”でもある『大和しらべ』(ヤマトシラベ)だ。
漁 恭弥「いつも通り。 あとはお前の仕事だけだな」
大和 しらべ「りょーかい じゃ、とりあえず戻ろうか」
  近くに停めてある車へ向かうべく歩を進める。

〇繁華な通り
  ──2人が街を通る際、そこにはネオンと街灯の光が街を照らし出している。
  街の中心は非常に賑やかで、酔っ払ったサラリーマンや奇抜な髪型と服装で出歩く若者。

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