14面 レジからレジへ(脚本)
〇未来の店
葵星羽「レジどーするんだろ?」
江藤鉱「3レジですか?」
葵星羽「ちゃんとやるんだったら 呼ばれるかもしれないから」
江藤鉱(レジ閉めな・・・)
江藤鉱(俺やってもいいけど さっき1つやったし)
江藤鉱(でも珠未さんとかかわりたい・・・)
江藤鉱(って、どっちみち 人少ないからかわんねーか)
──速足で先行く珠未さん、
江藤鉱(今日はちょっと 髪薄いっていうか隙間あるな)
江藤鉱((セットしてか疲れてるのかしらん))
珠未さん置いていった
カート転がしながらついてって
後頭部じーっと見てたら
ボーンッ
大花さんか、俺の後頭部、
バレーボールくらいのぶつけられた感じ
痛くないけどクラクラするていをとったり
──納豆パック4、5個落ちてて、
江藤鉱(誰か食べて放置?)
江藤鉱(店内でー?)
江藤鉱(・・・レジに入ってんの折中安樹さんか)
〇事務所
──タイムカードきるかな、
としたところ、グッと後ろから押されて
折中珠未「おはよー」
江藤鉱「あ、折中さん、何するんすか 鳩尾うったでしょー」
お返しにパンチを打ったんだけど、
折中さん手荷物持ってて
空いてるところって、
ちょっときわどいとこやっちゃったな
左腿のつけねくらい。
折中珠未「わたしは舞台の台本 読まないといけないのー」
〇川沿いの原っぱ
江藤鉱「やぶ蚊とかすごそうっすね」
折中珠未「蚊の、タオルとかで振ったら」
折中珠未「散ってくれるっていう 習性に期待するしかないね」
江藤鉱(ちゃんと散ってくれりゃいいんだけどな)
江藤鉱(ほんと草むら藪の中に入って 折中さんとどこ来てんだ)
江藤鉱(やぶ蚊一匹が大きくて 口ん中入ったり最悪だ)
〇勉強机のある部屋
──っていうのを夢記す。
布団の中、掛け布団かぶって
その中地に紙当ててか記す。
毛布に記してるのか、
刻みつけるっていうか
大変なやり方になっちゃってるな。
江藤鉱(こんな下手じゃないんだけど)
江藤鉱(目で文字確かめてるから進まんのか 手感覚でいいかもしれん)
江藤鉱(折中さんが書いたら もっと上手く書けるのかな)
〇備品倉庫
──備品倉庫前で占い
折中珠未(もらった日、怖くなったけど)
折中珠未(・・・・・・)
つけた方がいいって
思ってくれたかな 指輪
時間度外視してお勧めする──
江藤鉱(いや、5分しかないけど)
江藤鉱(占い師って 自分と結びつけたいだけじゃんな)
江藤鉱(・・・いいんだろうか)
折中珠未「助けてっ」
江藤鉱「どうしたんすか?」
珠未さん、真顔で
地球儀を頭の上に抱えたような
重荷あるのかな
江藤鉱(そりゃいくらでも助けになるけど)
黒いピストン、
ヘアスプレーの発射口取ったようなの
それがスプリング状になって
珠未さんの頭部、顔を覆う
被さって、ヘアー整えてあげるの
浅黒いコウモトロン
毛硬質変化人間か
〇撮影スタジオ
──珠未さんをマッサージする。
始めて、肩甲骨から肩にかけての
同じ施術繰り返しすぎちゃったけど
折中珠未「ちょっとっ」
と、ためらって強張ってたのが
押すごとに力抜いて任せてくれて
で、他のところ、腰・・・
と、左の腰上、掌底圧ちょっとしたら
折中珠未「今の姿勢だときつい」
自分で横になってくれて、
座った姿勢だと負担かかるみたい
寝てくれた方がこっちもやりやすい
・・・珠未さんは、最初の母指圧で、
江藤鉱「ほらこっちー」
江藤鉱(右、いや左も凝ってんな)
江藤鉱(押し方しかし上手くないな)
江藤鉱(もっと指の腹でやらないと いけないのに爪っぽくなって)
江藤鉱(目つぶって集中しようとかしてな)
江藤鉱「うん、ほぐれたらシフト入るでいいよ」
江藤鉱(肌のプチプチも引っ込むでしょ 何箇所か点々としてる)
〇未来の店
江藤鉱(安樹さんとレジ交代か)
男同士でね、在り高とって
信じてる人にホワイトデーを
江藤鉱(・・・なんてね)