守りたい、この笑顔(脚本)
〇モヤモヤ
味噌「あの子・・・昔は、液体だったんです」
味噌「でも、体が固まって本体容器がいらなくなるって言葉に惑わされて・・・私、あの子に、」
味噌「にがりを・・・!」
〇シンプルなワンルーム
豆腐「この前のバスケ映画、面白かったな」
豆腐「ああいうの見ると、僕もやりたくなっちゃう」
友達1「今日天気いいし、バスケやらね?」
友達2「いいね、やろうやろう!」
豆腐「あはっ、みんなも同じ気持ちだったみたい」
枝豆「エイ!ヤア!」
〇川のある裏庭
炒り豆「姿勢が大事だ。重心を意識しろ!」
枝豆「ハイ!」
〇シンプルなワンルーム
豆腐「枝豆は、炒り豆じいちゃんと武術のトレーニングか。真面目にやってて偉いな」
〇おしゃれなリビングダイニング
豆腐(おからばあちゃんはテレビ見てる)
豆腐(父さんの事務所のアイドルが出てるのか)
豆腐(最近人気急上昇だよな。父さん、プロデュース上手いからなあ)
〇一階の廊下
豆腐(納豆と油揚げ兄ちゃんは出かけてるのかな)
豆腐(今日はお天気良くてあったかいもんね)
味噌「あら、豆腐。どこに行くの?」
豆腐「あ、母さん。 友達とバスケして遊ぶんだ」
味噌「へー、どこで?」
豆腐「中央公園だよ」
味噌「そう。いってらっしゃい」
豆腐「いってきます」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
女性「油揚げのハグって、ほんと癒される~」
油揚げ「いつでも呼んでよ」
油揚げ「あ、ちょっとごめん」
味噌「こちら味噌。豆腐外出。 中央公園でバスケ予定。尾行します」
油揚げ「OK、こちら油揚げ。至急向かう」
〇本屋
納豆「納豆、援護に入ります」
〇川のある裏庭
炒り豆「こちら炒り豆。道中整備する」
枝豆「枝豆グリーン、出動する!」
〇オフィスのフロア
醤油「醤油、ドローン出動」
〇おしゃれなリビングダイニング
おから「おから、モニタリング待機」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
女性「どうしたの?」
油揚げ「急用が入った。また埋め合わせするよ」
女性「もー、どうせまた別の女の子でしょ」
油揚げ「残念、男の子だよ」
女性「ええ、男の子まで守備範囲なのぉ?」
油揚げ「はは、またね!」
〇開けた交差点
油揚げ「タクシー!」
〇タクシーの後部座席
豆腐は、明るく優しい、俺の弟だ。
〇黒背景
彼には、身体的に重大な問題がある。
虚弱体質。
スタミナはあるが、強度がない。
非常に壊れやすい体。
そして、もうひとつの問題。
彼はメンタルも虚弱なのだ。
もし自分の体のことを知れば、恐怖で家に引きこもり、二度と外に出ないだろう。
〇タクシーの後部座席
そんなこと、絶対にさせない。
豆腐の自由も幸せも、俺たちが守ってみせる!
〇広い公園
醤油「ドローン、中央公園到達」
おから「周辺に危険要因、サッカー少年の集団を確認」
おから「この子たち、見覚えあるよ。カードが有効」
納豆「了解。納豆、フォローに入ります」
納豆「ねぇ君たち、カード落とした子はいない?」
男の子1「すげっ!!超レアカードじゃん!!」
男の子3「俺俺、俺落としました!」
男の子2「嘘つけ!」
納豆「このカードの裏に持ち主の目印がついてるんだけど、当ててみて?」
男の子3「えーと・・・シール!」
納豆「そうそう、どんなシール?」
〇広い公園
炒り豆「道中段差や側溝の保護、完了」
〇学校脇の道
味噌「お義父さん、ありがとうございます。 豆腐、もうすぐ公園到着します」
〇広い公園
豆腐「公園、久しぶりだなぁ! しばらく寒くて外に出なかったもんな」
〇バスケットボール場
豆腐「みんな、お待たせー」
友達1「おー、豆腐!」
友達2「これで全員だな!」
油揚げ「お、我が弟じゃーん」
豆腐「油揚げ兄ちゃん!」
油揚げ「バスケすんの?俺も入っていい?」
豆腐「みんな、いいかな?」
友達1「いいっすよー」
友達2「じゃあ、始めるよー」
油揚げ「うぉりゃあっ!」
友達2「すげー!豆腐の兄ちゃんジャンプ高ぇ!」
〇バスケットボール場
油揚げ「豆腐!」
油揚げ「ガードするから、ゴール狙え!」
豆腐「うんっ!」
豆腐「やったー!」
友達1「次いくぞ!」
油揚げ「あっ、まずい!」
〇広い公園
枝豆「枝豆グリーン、参上」
枝豆「俺の正義のショットが軌道をそらすぜ!」
油揚げ「枝豆、よくやった!」
枝豆「母さんの新作スリングショット、すごくいいよ!サポートは任せて!」
油揚げ「間違えて豆腐に当てるなよ」
枝豆「枝豆グリーンの腕を信じろ!」
〇バスケットボール場
豆腐「あー、楽しかった!」
友達1「またバスケやろうぜー」
油揚げ「次やるときはまた俺も混ぜてな!」
友達2「はーい! お兄さんパス回し上手いから楽しいっす!」
豆腐「じゃあ、またねー」
〇広い公園
炒り豆「ミッション完了だな」
味噌「私たちは一足先に帰りましょう」
醤油「こちらは帰宅を見届けたら撤収する」
おから「お疲れ様」
納豆「父さんもおからばあちゃんも、お疲れ様」
枝豆「豆腐兄ちゃん!」
豆腐「あれ、枝豆も公園で遊んでたの?」
枝豆「うん、一緒に帰ろう」
〇おしゃれなリビングダイニング
味噌「みんなのおかげで、今日も豆腐は無事でした」
味噌「私の過ちのせいで、大変な思いをさせて・・・」
油揚げ「気にすんなよ、母さん」
納豆「私たち、やりたくてやってるから」
おから「豆腐くんは、味噌さんのお陰でいい子に育っているよ」
枝豆「俺、豆腐兄ちゃん大好き!」
醤油「これからも豆腐がのびのび過ごしてくれるのが私たち大豆家の幸せだ」
炒り豆「わしの固さを分けてやりたいが、それが叶わぬ以上、これからも守ってやるぜ」
炒り豆「この輝く頭にかけてな!」
味噌「みんな、ありがとう・・・!」
豆腐「はー、いい湯だった」
豆腐「母さん、泣いてるの!?」
味噌「あ・・・ ちょっとテレビドラマで感動しちゃって」
豆腐「そうなんだ。母さん優しいからな」
枝豆「豆腐兄ちゃん、遊ぼう!」
豆腐「いいよ、何する?」
枝豆「トランプ!」
豆腐「じゃあ、みんなも一緒にやろうよ!」
〇綺麗な一戸建て
〇教室
水戸 光子「あれ? 納豆ちゃん、何か落ちたよ」
水戸 光子「・・・ネギ?」
納豆「あ、水戸さん、ごめんなさい」
水戸 光子「なんでネギ?」
納豆「私、くさいから・・・」
水戸 光子「におい消しでネギ持ってるの? ネギも結構におわない?」
納豆「私のにおいとは、相性がいいの」
水戸 光子「そんなに気になるにおいかな?どれどれ」
納豆「あっ・・・」
水戸 光子「確かに独特のにおいはするけど、私は好きかも」
納豆「そ、そう?でも嫌いな人もいるから」
水戸 光子「それでいつもみんなからちょっと離れてるの?」
水戸 光子「でも私は近づいて大丈夫だよ、仲良くしよ!」
納豆「うん」
〇住宅街の道
水戸 光子「でさ、その時先生が~」
納豆「あ、私の家、あそこだから」
水戸 光子「そうなんだ」
〇綺麗な一戸建て
水戸 光子「結構大きいね」
納豆「8人家族だからね」
水戸 光子「すごい、うちの倍だ!」
納豆「あ、豆腐兄」
豆腐「納豆、お帰り」
納豆「どこか行くの?」
豆腐「いや、猫の声が聞こえた気がして」
納豆「猫?」
醤油「ただいま」
豆腐「父さん、お帰り」
水戸 光子(な、何?この二人の組み合わせ)
水戸 光子(お父さんも素敵だけど、やけにお兄さんが引き立って見える・・・!)
醤油「あ、しまった。 お友達がいたのか」
醤油「こんにちは、私はこれで」
水戸 光子「は、はい」
納豆「えーと、大丈夫だった?」
納豆「うちの父さん、一緒にいる人を引き立てるのが得意なんだけど、豆腐兄との相性が良すぎて」
納豆「あまり一般人の前で豆腐兄と並ばないようにしてるんだよ」
水戸 光子「な、何それ?」
豆腐「あっ!猫、いた!」
納豆「どこ?」
豆腐「木の上!」
〇木の上
〇綺麗な一戸建て
豆腐「降りられなくなってるんだ」
豆腐「僕、助けてくる」
納豆「待って!私が行く」
豆腐「ダメだよ、スカートなのに」
納豆「でも、ほら、豆腐兄サンダルじゃん」
水戸 光子「あ、私アンダー穿いてるから大丈夫ですよ!」
水戸 光子「行ってきます!」
納豆「光子ちゃん!」
〇木の上
水戸 光子「ほら猫ちゃん、大丈夫だよ~」
水戸 光子「納豆ちゃん、猫ちゃん受け取って」
〇綺麗な一戸建て
納豆「うん、わかった」
納豆「良かったね、猫ちゃん」
猫「ふんふんふん」
納豆「きゃ!?舐めっ・・・ いたた、舌がザラザラする!」
〇木の上
水戸 光子「あはは、猫ちゃんも納豆ちゃんのにおい好きなんじゃない?」
納豆「えぇ~?」
水戸 光子「じゃあ、私は降り」
水戸 光子「あっ!」
〇綺麗な一戸建て
豆腐「危ない!」
納豆「豆腐兄、ダメっ!」
「キャー!!!」
「豆腐────っ!!!」
「あああ──」
「────」
「──っ!!!!!」
水戸 光子「・・・え?」
「とうふうう」
「うううう」
「ううう!!!!!」
水戸 光子「な、何これ、嘘・・・!」
油揚げ「豆腐が・・・壊れた」
納豆「やだ、やだ、豆腐兄」
枝豆「嫌だあああ!!!」
水戸 光子「ごめん、なさ・・・」
おから「いや、まだだ!」
おから「みんな、ちょっと待っといで!」
味噌「お義母、さん?」
おから「早く、豆腐くんをこの布の中に集めるんだ!」
おから「急いで!」
「わかった!」
おから「よし!全部入ったらしっかりまとめるんだ!」
おから「想いをこめてしぼるんだよ!」
おから「よし、いいだろう。開くよ」
豆腐「あれ?僕、どうしたの?」
「豆腐ううう!!」
「良かったあああ!!」
豆腐「え、え?」
おから「ちょっと肌のきめは粗くなったけど、 後遺症もなさそうだね」
【おからばあちゃんの豆知識】
木綿豆腐は豆腐を一度崩してから固めます
水戸 光子「・・・・・・」
納豆「光子ちゃん」
水戸 光子「納豆ちゃん・・・?」
納豆「誰にも言わないでね。特に豆腐兄には」
水戸 光子(それは・・・私が落ちて、ああなって、こうなったこと?)
水戸 光子「言えないよ!!」
醤油「豆腐、痛いところはないか?」
豆腐「う、うん。そういえば、納豆のお友達が木から落ちて・・・お友達は大丈夫だった?」
水戸 光子「だ、だ・・・」
水戸 光子「大丈夫じゃないです~!!」
納豆「豆腐兄、光子ちゃんは混乱してるみたいだけど、体は大丈夫だから心配しないでね」
豆腐「そうなんだ。 とりあえず、怪我がないなら良かった」
豆腐「猫を助けてくれてありがとう」
水戸 光子「も・・・情緒がめちゃくちゃ・・・」
水戸 光子「でも」
水戸 光子(お父さんブースト抜きにしても、この人)
水戸 光子(見てるとなんだか癒される)
水戸 光子「この笑顔、守りたい」
納豆「でしょ?」
豆腐「なんか、よくわからないけど」
豆腐「みんなありがとう!」
今度こそ、この笑顔を守り抜く。
二度と原型を崩さないという思いを胸に
私たちは手を取り合う。
頑張れ、大豆家+α!
水戸 光子「え、君も?」
猫「にゃん♪」
え、豆腐くん。グシャッの後どんな感じになってたんでしょう😱私も家族と一緒に青ざめましたw
面白かったです。大豆一家、もう忘れられそうにないです。
豆腐くんが潰れるところの音とエフェクトが妙にリアルでした😂
木綿にはなってしまいましたが、生きていてよかったですす……!
こうやって、どんどん親衛隊が増えていきそうですね😊
大豆ネタがふんだんに盛り込まれていて楽しいですね!
豆腐メンタル&ボディとは前途多難過ぎますが、持前の愛嬌で乗り越えて行くのでしょうか。
ボーボボのところ天の助を思い出してしまいました(笑)