〇ホストクラブ
　　「Cross the line」第２部スタート・・・
鈴木（早く来ないかなあ）
沙羅「鈴木さん！」
鈴木「沙羅ちゃん！」
沙羅「来てくれたんだ。ありがとう♥️」
鈴木「沙羅ちゃん・・・」
鈴木（かわいい。何てかわいいんだ。天使だ・・・）

〇ホストクラブ
店長「部長さん、もうすぐ来ますから」
部長「おう、早めに頼むよ」
店長「お待たせいたしました」
部長「沙羅ちゃん！」
沙羅「部長さん、今日も来てくれてありがとう」
部長「沙羅ちゃんに会うためなら毎日でも来るよ」
沙羅「うれしい♥️」
部長「今日は部下を連れてきたんだよ」
沙羅「そうなんですね」
部長「おい、そんな端っこにいないでこっちに来い」
？？？「は、はい」
？？？（部長、こういう店が好きだよな）
？？？（正直、自分はあんまり・・・）
部長「沙羅ちゃん、こいつだよ」
沙羅「こんにちは、はじめまして」
俊介「ど、どうも・・・」
俊介「えっ！」
沙羅「沙羅です。よろしくお願いします」
俊介「君は・・・」

〇ホストクラブ
部長「どうした、そんな驚いた顔して」
部長「沙羅ちゃんのかわいさに見とれちまったか？」
俊介「い、いえ」
部長「沙羅ちゃん、こいついい男だろ」
沙羅「はい。素敵な方ですね」
部長「しかも若いのに仕事もできる」
沙羅「すごいですね」
部長「で、当然女にもモテる」
沙羅「そうでしょうね」
部長「ところがこいつ、女子社員が飲みに誘っても全然行かないんだよ」
俊介「そういうのはあまり好きじゃなくて・・・」
部長「俺が若いときはもっと女と遊んでたぞ」
沙羅「部長さん、今も遊んでますよね」
部長「その通り！」
部長「で、こいつにもっと女に興味を持ってもらうために、沙羅ちゃんのところに連れてきたんだよ」
沙羅「ありがとうございます！」
俊介「・・・」
部長「沙羅ちゃんは本当にかわいいよなあ」
部長「沙羅ちゃん、俺と「Cross the line」しないかい？」
沙羅「「Cross the line」？」
部長「知らないのかい？　今流行りの映画に出てくる言葉なんだよ」
沙羅「そうなんですか？」
部長「要は男と女として「一線を越える」ってことだよ」
沙羅「もう部長さんったら」
沙羅「でも、部長さんは奥様がいらっしゃるじゃないですか」
部長「うちは亭主関白だからね」
部長「女房には文句なんて一切言わせないよ」
部長「ん？　電話？」
部長「まずい。あいつからだ」
部長「おう、どうした？」
部長「今どこにいるって？　若い女性の声が聞こえる？」
部長「いやあ、実は若い連中に頼まれて、キャバクラに連れて行ってやってるんだよ」
部長「俺はもっと静かに飲みたいって言ってるのに。まったく最近の若い奴は」
部長「おう、わかってるよ。今すぐ帰るよ」
部長「・・・」
俊介「部長、奥様からですか？」
部長「うるさい」
部長「沙羅ちゃん」
沙羅「はい」
部長「・・・というわけで、「Cross the line」はまた今度だ」
部長「こいつは置いていくよ」
部長「金は払っておくから、お前はこの後も沙羅ちゃんと楽しく飲んでろ」
俊介「えっ・・・」
部長「それじゃあ、沙羅ちゃん。また来るよ」
沙羅「ありがとうございました♥️」
俊介「あの、沙羅ちゃん。いつからここで・・・」
沙羅「直樹さん、飲みましょう」
俊介「えっと・・・」
沙羅「また来てくれるとうれしいなあ」
沙羅「そのときは私を指名してね」
俊介「沙羅ちゃん・・・」

〇本棚のある部屋
沙羅「今日も疲れた」
沙羅「でも、１人で家にいるのはさびしいし」
沙羅「お店で働いているときはさびしさを忘れられる」
沙羅「たまに変なお客さんもいるけど、みんな私と楽しそうに話をしてくれる」
沙羅「そういえば、俊介さんが来てたな」
沙羅「指名客になってくれるといいな」
沙羅「・・・そろそろ寝ようっと」
沙羅「今日もお兄ちゃんの部屋で寝るんだ」

〇本棚のある部屋
沙羅「・・・」
沙羅「お兄ちゃん。さびしいよう・・・」

〇イルミネーションのある通り
美由紀「きれい・・・」
美由紀「来てよかったね」
直樹「そうだね」
美由紀（直樹さんと２人で過ごすクリスマス）
美由紀（すごく幸せ♥️）
美由紀（この幸せがこれからずっと続くのね）
直樹（去年まではクリスマスはいつも沙羅と過ごしてたなあ）
直樹（最近沙羅と連絡を取ってないけど、元気でやってるかな？）
直樹（今日はどうしてるんだろう？）
直樹（１人で家でさびしくしてたりしないよな）
美由紀「直樹さん？」
直樹「・・・えっ!?　ごめん、ごめん」
美由紀「大丈夫？」
直樹「うん。最近忙しくて、ちょっと疲れてるだけだよ」
美由紀「じゃあ、そろそろ帰りましょう」
美由紀「聖なる夜はベッドの中で直樹さんと愛し合いたい♥️」
直樹「美由紀、外でそんなことを・・・」
美由紀「だって本当のことだもん」
美由紀「早く帰ろう」
直樹「うん」
直樹（沙羅・・・）

〇おしゃれな大学
真紀「沙羅はカレンとアリス、どっち派？」
沙羅「?」
真紀「沙羅。カレンとアリス・・・っていうか、「Cross the line」を知らないの？」
沙羅「「Cross the line」？」
沙羅（あっ、この前お店で部長さんがそんなこと言ってたかも）
真紀「超人気映画なのよ」
真紀「カレンとアリスはその映画のヒロインの２人」
真紀「カレンはアンソニーのフィアンセ」
真紀「アリスはアンソニーの妹」
沙羅「フィアンセと妹!?」
真紀「そして、アンソニーと妹のアリスはある日・・・」
真紀「許されざる禁断の愛「Cross the line（一線を越える）」をしたのよ」
沙羅「・・・」
真紀「びっくりでしょ」
真紀「やがてフィアンセのカレンもそのことを知る」
真紀「そして、アンソニーを巡って２人が・・・」
沙羅「そんな映画があるんだ」
真紀「沙羅も今度観てみるといいわよ」

〇映画館の座席
沙羅「映画館に来ちゃった」
沙羅「映画館に１人で行くなんてはじめて」
沙羅「いつもお兄ちゃんと一緒だったから・・・」

〇ステンドグラス
アンソニー「アリス、やめるんだ」
アリス「お兄様、あの夜のことを忘れたの？」
アリス「２人で愛し合ったあの夜のことを・・・」
アンソニー「それは・・・」
アリス「私たちはもう一線を越えているのよ、お兄様」
アリス「今さら引き返せないわ」
アリス「だから今夜も・・・」
アンソニー「アリス、やめろ。やめるんだ」
アンソニー「やめろ、アリス。アリス、アリス・・・」
アリス「お兄様・・・」

〇モヤモヤ
アリス「最後に勝つのは私」
アリス「私は絶対に勝つ」
アリス「勝つためには、邪魔をする奴を徹底的に排除するしかない」
アリス「そのための方法なんて、いくらでもあるんだから」

〇映画館の座席
沙羅「・・・」
沙羅（「最後に勝つのは私」 「邪魔をする奴は徹底的に排除してやる」 　か・・・）