天使降臨(脚本)
〇雲の上
職業:天使の使い
職務:新たな天使候補探しと人間の更生
〇おしゃれなリビングダイニング
白咲察子「ふんふんふふーん」
白咲真知子「お母さーん、学校行ってくるね〜」
白咲察子「あら、真知子。ご飯は?」
白咲真知子「ん〜今食べたら朝ごはん? それともお昼?」
白咲察子「そうねぇ、一日の最初のご飯ってことで朝でいいんじゃないかしら?」
白咲真知子「・・・やっぱいい、中途半端な時間に食べると一日変な時間にお腹空いちゃうし。友達とどこかで食べるから」
白咲察子「あらそう? 行ってらっしゃい、気をつけてね」
白咲真知子「はぁい」
白咲察子「あらそういえば、真知子! お兄ちゃんは?」
白咲真知子「お兄ちゃんならとっくに出てるでしょ?」
白咲察子「そうじゃなくて、ご飯食べたのかしら?」
白咲真知子「え〜知らないよ。食べたんじゃないの? あの人、変なところで真面目だし」
白咲察子「あ、そう。食器も洗ってくれたのね。なんだか寂しいわ」
白咲真知子「はあ? 何言ってんの、そうやって教えたのお母さんじゃん」
白咲察子「そうだけど、子供にはいつまでも甘えて欲しいものなのよ」
白咲真知子「複雑な親心って感じ? でも、お母さん普段からお兄ちゃんに会おうとしてないじゃん」
白咲察子「そうかしら?」
白咲真知子「そうだよ〜時間合わせて会おうと思えば会えるのに。ま、それは私もだけど。けど、それで寂しいはなんか違うんじゃない?」
白咲察子「言われてみればそうかもしれないわね。今夜は久しぶりに会ってみようかしら。お父さんも誘って。真知子は? 今日は遅いの?」
白咲真知子「バイトもないし、早く帰ろうと思えばいくらでも。私は別にお兄ちゃんになんか会わなくてもいいんだけど」
白咲察子「まぁそう言わないで。たまにはいいじゃない。久方ぶりの一家団欒よ! 今夜はお鍋にしようかしら!?」
白咲真知子「あーはいはい、もう何でもいいけどさ。じゃあ、今度こそ行ってきまぁす」
白咲察子「はいはい、行ってらっしゃい」
白咲悟「なんだ、真知子は今出かけたのか」
白咲察子「あら、あなた。おそようございます」
白咲悟「ばか言え。おそようはお前だよ。俺は朝の散歩に行って、飯を食って、庭の手入れをしてたんだよ」
白咲察子「そうなんですか? それはそれは」
白咲悟「まあ、透と真知子が成人するまで誰より働いてくれたから、今となってはおそようくらい構わんがな」
白咲察子「あなただって今もまだ仕事に出てらっしゃるじゃありませんか──って、あら? 今日は、お仕事は?」
白咲悟「休みだよ。もう正社員じゃないからな。前にも同じようなこと言わなかったか?」
白咲察子「そうだったかしら? まぁいいわ。ねぇあなた。お休みなら今夜も予定はないわよね?」
白咲悟「なんだ藪から棒に」
白咲察子「久しぶりに透と真知子の顔、見ましょうよ。家族みんなで鍋パーティーしましょ?」
白咲悟「パーティー? 家族でもパーティーって言うのか・・・?」
白咲察子「家族も立派なパーティーじゃない。いろんな試練を一緒に乗り越えて来たでしょう?」
白咲悟「そっちのパーティーか・・・まぁ当時は文句ばっかりだったがな」
白咲察子「今となってはいい思い出よねぇ。2人とも大人になって、そういう困った時も恋人に頼るようになるんでしょうね・・・寂しいわぁ」
白咲悟「あ、あぁそうだな・・・?」
〇シックな玄関
その日の夜──。
白咲透「ただいま」
白咲真知子「おかえり〜。待ってたんだよー、今日は早かったじゃん」
白咲透「ん? うん、まぁな・・・」
白咲真知子「あ、なにその反応──もしかして!?」
白咲透「・・・・・・」
白咲真知子「やっぱり! ねぇ、ちょっとお母さん!?」
白咲察子「はいはい、何よ」
白咲真知子「お兄ちゃんが、また!」
白咲察子「あらぁ、またなの? ほんとあんたって子は、動物を拾ってくる子供みたいに、人を拾ってくるわねぇ〜」
白咲透「拾ってくるってそういう言い方やめろよ! 今回は俺が悪かったんだから、むしろこんな家で申し訳ないよ」
白咲真知子「何よー『こんな家』って!」
白咲透「なんだよ・・・そんな怒るなよ。怒るほどお前だって家にいないくせに」
白咲真知子「お兄ちゃんよりはいます〜」
白咲察子「もう〜やめなさいよ。それで? お客様はどこなの? 寒いんだから入れてあげなさいよ」
白咲透「それが・・・」
シロ「にゃぁぁん」
白咲真知子「・・・・・・!?」
白咲察子「・・・・・・!?」
十枝正次「あ、こら・・・す、すみません・・・」
白咲真知子「・・・・・・!?!?」
白咲察子「・・・・・・!?!?」
白咲真知子「(ひそひそ)なにこのイケメン──天使? 『天使さん』だ!」
白咲察子「(ひそひそ)あらぁほんとにいい男・・・そうね『天使さん』だわね! あぁ、私があと10歳若かったら──」
白咲真知子「(ひそひそ)いやぁ10歳じゃ足りないんじゃない?」
白咲透「十枝さん。騒がしくてすみません。母の察子と妹の真知子です」
十枝正次「いえいえ、賑やかで良いご家庭ですね」
白咲透「そう言っていただけると・・・。ごほん。こちらが、今日付でうちの社に異動になった十枝正次さん」
白咲真知子「真知子です、よろしくお願いします」
十枝正次「よろしくお願いします」
白咲真知子「──ところでどうしてうちなんかに?」
白咲透「・・・お前、うちなんか、『なんか』って!」
白咲真知子「うるさい」
白咲透「いや、実はさ──」
白咲察子「んもう、続きは中に入って話しましょうよ。ほらほら、その仔猫ちゃんも連れてきて?」
白咲真知子「あ、ちょっとお母さぁん。っていうか、この子どうしたの?」
十枝正次「それが、道中で見かけたんですが、ここまでずっと僕について離れなくなってしまって。外でお別れしようと思ったんですが──」
白咲真知子「あぁ猫ちゃんにも好かれちゃったんですね、納得です!」
白咲透「・・・・・・お前なぁ」
〇おしゃれなリビングダイニング
白咲察子「さあさあ、どうぞ。こちら座って? 今日は鍋パーティーですから、たくさん召し上がってね」
十枝正次「すみません、ありがとうございます」
白咲透「へぇ、珍しい。いつも冷蔵庫見ると誰かの残り物しかないのに」
白咲真知子「それはお兄ちゃんの帰りがいつも遅いから」
白咲察子「そんなことより、十枝さん──だったかしら? どうしてうちに来ることになったの?」
白咲透「あぁ、それがさ──」
〇白いアパート
白咲透「──空いてない?」
管理人「空いてないねえ」
白咲透「え、あ、いや、ちゃんと手配したはずなんですけど──?」
管理人「でも、空いてないものは空いてないねぇ」
白咲透「そんな・・・」
上司「あぁ? 十枝の社宅の部屋が手配されてない? 知らねえよ。お前のミスだろ? お前でなんとかしろ!」
白咲透「えっ!? あ、いや、課長、課長──!?」
十枝正次「・・・・・・」
白咲透「す、すみません、十枝さん。僕の不手際で──」
十枝正次「え? あぁ、いえ。気にしないでください。ホテルかどこかとって、泊ま──」
白咲透「あ、い、いえ! あのその、それはたぶんいろいろまずいので──あ、そうだ。うちに、うちに来てください」
十枝正次「主任のご自宅にですか? 失礼ですが、ご実家だったと思いますが──?」
白咲透「(でも、ホテル代なんて経費で落とせないし、かと言って俺が出すにもいずれ限度があるし・・・それこそ課長にバレたら・・・)」
十枝正次「・・・わかりました。主任がそれで良いと仰るなら。なるべくご迷惑おかけしないようにしますから」
白咲透「・・・ほ、本当ですか!? そんな迷惑だなんて気にしないでください! あ、ひとつあるとすれば──」
十枝正次「えっ? な、なんでしょう──?」
白咲透「──『主任』はやめてください。十枝さん、今は異動してきたばかりですけど、僕より年上だし、いずれ『上』に行かれるんですから」
十枝正次「いえいえ──それに『白咲さん』のお家にご厄介になるのに、『白咲さん』ではややこしくなりませんか?」
白咲透「・・・う、た、確かに」
十枝正次「かと言って、『透さん』とお呼びする関係ではないですし、まだ──」
白咲透「(・・・まだ?)」
白咲透「あ、う、じゃ、じゃあ──」
十枝正次「はい」
白咲透「しゅ、『主任』で・・・いいです・・・」
十枝正次「はい」
〇おしゃれなリビングダイニング
白咲真知子「ふうん。つまりお兄ちゃんのミスってこと?」
白咲透「はっきり言うなよ・・・落ち込んでんだから・・・」
白咲真知子「あはは、すみません。十枝さん。不束者の兄で──」
十枝正次「いえいえ。お兄さんは優秀な方ですよ。うちの社で総務部と言えば、出世コースですから」
白咲真知子「そ、そうなんですか!?」
十枝正次「ええ」
白咲悟「十枝くん、お酒は飲めるのかい?」
十枝正次「ええ、強くはありませんが──」
白咲悟「なら、少しでいいから付き合ってくれ。息子は酒が飲めないんでな」
十枝正次「喜んで」
白咲透「父さん、ほどほどにしとけよ?」
白咲悟「わかっとるわかっとる」
白咲透「ほんとかよ」
こうして白咲家に新たな家族が増えた夜。
この日を境に、白咲家では
様々なトラブルが起き始める。
十枝正次こと『天使さん』は、
果たして、本当に
『天使』なのだろうか──?
それとも──?
爽やかなイケメンすぎて逆に怪しい天使さんですね。一緒についてきた白猫ちゃんも気になる。これから白咲家にどんな事件が起きるのか興味津々です。
爽やかに登場した天使さんの正体がとても気になります! 主人公の家族それぞれ癖の有る感じが、物語により惹きつけられる気がします。
白咲家の家族みんな、キャラが立って親しみやすい感じですね。そんな家族に加わる天使さん、彼が加わったことでどんな変化が訪れたのか、続きが気になるヒキですね!