怜編(脚本)
〇渋谷駅前
終わらせないといけない仕事をやった後、怜さんと合流した。
森岡 涼恵「怜さん、すみません」
霜月 怜「大丈夫だよ、急に呼んだの俺だし」
彼は本を読んでいたらしい、持っていたそれをカバンに入れた。
森岡 涼恵「どこ行きます?」
霜月 怜「そうだね・・・」
霜月 怜「図書館に行っていい?」
森岡 涼恵「えぇ、いいですよ」
霜月 怜「じゃあ、行こうか」
私は怜さんの隣に行き、一緒に図書館に向かった。
〇綺麗な図書館
図書館に着くと、お互い読みたい本を取って席に座った。
霜月 怜「・・・・・・・・・・・・」
隣から覗き込むと、かなり真面目な顔をしている。
どうやら彼は心理学の本を読んでいるらしい。
それもそのハズ、彼は新人作家として活動しているのだ。
森岡 涼恵(この横顔、好きだなぁ・・・)
・・・そして、実は私の彼氏だったりする。
森岡 涼恵(頬とかつついたら気付くかな・・・?)
いたずら心が芽生え、つつこうと手を伸ばす。
しかしその前に怜さんと目があってしまった。
森岡 涼恵「あ、えっと・・・」
霜月 怜「何やってるの?涼恵」
口ではそう言いつつ、何をしようとしてたのか分かっていたのか逆につつき返されてしまった。
森岡 涼恵「うー・・・なんで気付いたんですか・・・」
霜月 怜「涼恵は分かりやすいからね」
霜月 怜「本当に可愛いなぁ」
ほかの人に迷惑にならないように控えめに話していると、ざわざわと周囲が騒ぎ出した。
霜月 怜「何があったんだろ?」
森岡 涼恵「あっち側から聞こえますね」
ほかの人達は巻き込まれたくないのか、気付いていないふりをしている。
二人でその騒ぎの場所に向かうと、女性がチャラそうな男性に絡まれていた。
チャラ男「なぁなぁ、俺と遊ぼうよー」
女性「あの、困ります・・・」
女性「私、友達と来ているので・・・」
チャラ男「いいじゃん、その子も呼べば」
困っている女性に割って入るように、私は立った。
森岡 涼恵「彼女、困っていますよ」
森岡 涼恵「それに、図書館はナンパするところじゃありません」
霜月 怜「ちょ、涼恵、あんまり煽らないで・・・!」
怜さんが止めに入るが、それより男が手を出す方が早かった。
チャラ男「なんだと・・・!?」
森岡 涼恵「きゃっ・・・!」
肩を押され、私は頭を本棚にぶつけてしまった。
霜月 怜「涼恵!?」
チャラ男「ふん、なめた口をきくからそんななんだよ」
その言葉を聞いたと同時に、怜さんの方から「ブチッ」と何かが切れた音が聞こえた。
森岡 涼恵(あ、やば・・・)
霜月 怜「ねぇ、君?」
チャラ男「な、なんだよ・・・」
霜月 怜「人の恋人飛ばしておいて、その態度はないよねぇ?」
・・・この人、普段が大人しい分キレると本当に怖いのだ。
森岡 涼恵(死んだな・・・)
心の中で手を合わせておく。
霜月 怜「とりあえず、警察かなぁ?あ、君余罪とかある?」
霜月 怜「覚悟はしておいてね?」
チャラ男「す、すみませんでした!!」
・・・どうやら脅しが効いたらしい、チャラ男は走って逃げてしまった。
霜月 怜「大丈夫?涼恵」
森岡 涼恵「えぇ、大丈夫ですよ」
怜さんの手を取って立ち上がりながら、私は答える。
霜月 怜「あんまり無茶しないでよ?」
霜月 怜「ああいう奴、何するか分からないんだから」
森岡 涼恵(いや、あなたが怖いから大丈夫だと思いますけど・・・)
とは、口が裂けても言えない・・・。
霜月 怜「今日はもう出ようか」
霜月 怜「おいしいものでも食べに行こう」
森岡 涼恵「そうですね」
森岡 涼恵「・・・結構目立ってますし・・・」
机に戻って片付けた後、私達は図書館から出た。
〇渋谷駅前
あの後、クレープを買って一緒に食べながら話していると夜になっていた。
霜月 怜「暗くなったね」
霜月 怜「そろそろ帰ろうか」
森岡 涼恵「そうですね」
はぐれないように手を繋いで、二人で駅の方向に向かった。
〇電車の座席
電車に乗ると、人が少なく偶然座ることが出来た。
霜月 怜「今日は疲れたね・・・」
森岡 涼恵「そうですね・・・」
森岡 涼恵「なんで私の行く先々でトラブルがあるんでしょう・・・?」
霜月 怜「君が首を突っ込むからね・・・」
霜月 怜「こっちからしたらひやひやするよ・・・」
森岡 涼恵「いつもすみません・・・」
霜月 怜「そこが君のいいところなんだけどね」
微笑みかけてくれる彼を見て、私は頭をその肩に乗せた。
霜月 怜「おっと、どうしたの?」
森岡 涼恵「たまには甘えてみようと思って」
霜月 怜「なるほどね」
そのまま、怜さんは私の肩に手を回した。
霜月 怜「・・・好きだよ」
森岡 涼恵「私も、好きです」
霜月 怜「改めて言うと、恥ずかしいね」
お互いの気持ちを確認しあいながら、私は優しい彼に身を預けた。