地球戦士マモルンダー

町村英雄

エピソード1(脚本)

地球戦士マモルンダー

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〇高層ビル(看板あり)

〇屋上の隅
高島守「・・・・・・」
  下を見て身震いする高島。
  震える足を少しずつ前に出す。
「待て!」
高島守「!」
高島守「音無(おとなし)・・・」
音無圭一「いいか。高島(たかしま)。早まるなよ」
音無圭一「さっき下で見かけて、もしやと思ったんだ。 あまりに冴えない顔してたもんだから」
高島守「もう・・・こうするしかないんだ」
音無圭一「だから早まるなって」
音無圭一「いったいどうしたってんだよ?」
高島守「・・・同期だったお前にはわかるだろ?」
音無圭一「?」
高島守「こんな歳まで保険の営業しかしてこなかった男だ」
高島守「この大不況で新しい仕事なんかにありつけるわけがないってことくらい」
  足を前に出す高島。
高島守「家族のためなんだ。死なせてくれ」
音無圭一「馬鹿野郎!!」
音無圭一「自殺なんて馬鹿な真似する必要ないだろ!」
高島守「金だよ。金。免責期間は終わってるんだ」
高島守「今なら・・・俺にかけた多額の保険金が家族に渡るんだ」
音無圭一「お前、本気で言ってんのか?」
高島守「当たり前だろ! これが冗談に見えるのか!?︎」
音無圭一「・・・・・・」
高島守「皮肉なもんだな。 保険会社に勤めてたのがこんな時に役に立つなんて」
音無圭一「だからってそんなところから」
高島守「ここが本社ビルだからだよ」
音無圭一「?」
高島守「どうせなら、俺をこんな目にあわせた会社に面倒みてもらうのが筋だろう?」
高島守「俺の最後の悪あがきだよ」
音無圭一「そんなことして、誰が喜ぶんだよ」
高島守「・・・・・・」
音無圭一「お前のことを心配してる人がいるって。 なぜ、そう思わないんだ?」
高島守「俺のことを・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング

〇屋上の隅
高島守「音無・・・俺・・・」
音無圭一「いいからこっちへ来い」

〇ビルの屋上
高島守「音無、俺、間違ってたよ」
音無圭一「ああ、わかればいい」
高島守「お前は命の恩人だ。ありがとう」
音無圭一「水臭いこと言うな。同期だろ」
  高島を抱き寄せる音無。
音無圭一「本当、間に合ってよかった」
高島守「うあっ」
  音無を突き放す高島。
  音無の口の周りには血がべっとりとついている。
高島守「なっ」
音無圭一「久しぶりに新鮮な肉が食べられる」
高島守「お、音無? ど、どうしたってんだ?」
  肩を押さえながら後ずさる高島。
音無圭一「ここの所、いつも死体ばかり」
音無圭一「腹は満たされても、俺みたいな美食屋には臭いのなんのって」
高島守「だ、だから。何を言ってんだ? どうしちまったんだよ!」
サイレント「これでわかったか?」
高島守「ば、化物!」
サイレント「ひどいな。 巷ではサイレントなんて洒落た名前つけてもらってるんだぜ?」
高島守「だ、誰か! 助けてくれ!」
サイレント「おいおい冗談だろ? さっきまで死のうとしてたやつが何言ってんだ」
  高島に迫るサイレント。
サイレント「お前がそろそろ自殺を図るのはわかってたよ」
サイレント「思ってたよりも早かったけどな」
高島守「ど、どういうことだ?」
サイレント「俺が長年この会社で保険の仕事をしてるのはな、自殺予備軍をチェックできるからさ。 保険の掛け方で大抵の予想はつく」
  逃げようとする高島。
サイレント「おっと粋がいいねえ」
  高島を捕らえるサイレント。
サイレント「どうせ死ぬなら、俺においしく食べられて死ねよ」
高島守「や、止めてくれ!」
サイレント「安心しろ。家族には保険金が残るよ。 バラバラ殺人事件として処理されるからな」
高島守「あの事件! お前だったのか!」
サイレント「さあな」
サイレント「いただきます」
高島守「良子! 弘美! 愛菜! すまない」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 音無イケメン、と思ったらw

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