2人の大切な約束

ちゅるちゅるめん

2人の大切な約束(脚本)

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〇教会の中
奏汰「『──ねぇ、柚葉ちゃんってば・・・こんな所勝手に入ってるのバレたら怒られるよ・・・』」
柚葉「『大丈夫よ!奏汰はホントに怖がりだなあ』」
奏汰「(柚葉ちゃんが怖いもの無しなだけだって・・・)」
柚葉「『・・・あのね、あたしは奏汰のことが好きなんだ。』」
奏汰「『え?!ほ、ホント・・・?』」
奏汰「『僕も・・・柚葉ちゃんのこと・・・大好き、だよ・・・』」
柚葉「『ホント?!良かったあ!じゃあ、あたし達、将来・・・』」
  ゴーン・・・ゴーン・・・ゴーン・・・ゴーン・・・
奏汰「『え・・・?何て言ってるの?柚羽ちゃん・・・鐘の音がうるさくてき聞こえないよ・・・!』」

〇葬儀場
奏汰「(・・・あっ・・・)」
奏汰「(・・・またあの夢か・・・寝てた・・・。)」
奏汰「(俺の名前は”村雲奏汰”、高校3年生、友達と呼べる存在が少ない陰キャだ。・・・今は幼馴染みの”春山柚葉”の葬式の最中だ)」
奏汰「(周りで泣いているやつが多くて、最後列のせいか、寝ていたのは気づかれていなかったみたいだ。)」
奏汰「(・・・悲しくない、訳じゃない。不運にも交通事故に巻き込まれた、可哀想で、大切な俺の幼馴染みだ。)」
奏汰「(──葬式も終わったし、そろそろ帰るか。)」
???「『おおい、奏汰君!』」
奏汰「(・・・!?誰だ!?)」
奏汰「(あ、なんだ、裕太さんか・・・)」
裕太「『久しぶり。柚葉の葬式に来てくれてありがとう。』」
奏汰「(彼は柚葉の3つ上の兄、裕太さん。見た目通りの好青年で、昔は俺とも遊んでくれた。)」
奏汰「『いえ、昔から仲良くしてくれたし、お礼なんて大丈夫ですよ。・・・こんなときに気にかけてくれて、ありがとうございます。』」
裕太「『っ・・・』」
奏汰「(裕太さんが悲しむのも無理はない。近所でも有名なくらいに仲の良い兄妹だったんだから。)」
裕太「『・・・気にしてくれて、ありがとう。ごめんね・・・僕がしっかりしなきゃいけないのに・・・。』」
裕太「『・・・あ、そうだ』」
奏汰「(・・・?裕太さんの顔が明るくなった)」
裕太「『これさ、柚葉に渡されてたんだ。自分になにかあったときに奏汰君に渡してくれって。』」
奏汰「『・・・?ありがとうございます。』」
裕太「『あ、できれば内容は家で見てくれるかい?僕を含め、奏汰君以外の誰にも見られたくないみたいなんだ』」
奏汰「『・・・わかりました。では、俺はこれで。』」
裕太「『うん、気を付けてね。じゃあね。』」
奏汰「(俺は手紙の内容が気になったが、裕太さんの言葉通り、家まで開けることはなかった。)」

〇学校の屋上
  ──1週間後
奏汰「(柚葉の葬式後のせいで、まだ学年中が大騒ぎだ。・・・あいつはいろんなやつに好かれてたからな。)」
奏汰「『静かに食べれる場所がいまだにここしか無いなんてな・・・』」
奏汰「──仲の良い友達のいない俺は一人で昼食を食べていた」
???「やぁ、久しぶりだね。また1人なの?」
奏汰「──!?」
奏汰「聞きなれた声に、俺は驚いた」
柚葉「『どうしたの?』」
奏汰「『どうしたのって・・・え?なん・・・え?』」
柚葉「『あははっ!口パクパクさせておもしろーい!』」
奏汰「(死んだはずの柚葉が・・・生きている・・・?そんなはずは・・・)」
柚葉「『あ、私、生き返ってはないからね。そこまでの奇跡は起こんないよ。』」
奏汰「・・・さすがにそこまではダメだったか」
柚葉「『もー、そんな顔しないでよ。私がいなくなって寂しいのかな?』」
奏汰「『・・・』」
柚葉「『そういえばさ、あの手紙見た?お兄ちゃんに頼んだはずなんだけど。』」
奏汰「『・・・まだ、見てないよ。』」
柚葉「『・・・そうだと思った。』」
奏汰「『・・・すぐに見た方が良かったか?』」
柚葉「『んー、どっちでも良い感じだったかな。なんなら捨ててもらっても構わなかったし。』」
奏汰「『・・・まぁいいよ。帰ったら読むから。』」
柚葉「『・・・ありがとう。』」
奏汰「『・・・?』 ─彼女の悲しげな顔を、俺は理解できなかった」
柚葉「『じゃあ・・・待ってるね。』」
奏汰「『・・・え?ちょっとまっ・・・』」
奏汰「──いきなりいなくなった・・・。あいつが死んだときときと同じじゃないか。てか・・・」
奏汰「『待ってるってなんだ・・・?』」
奏汰「─そんなことを考えながら俺は放課後、家に急いで帰った」

〇一人部屋
奏汰「家に帰って俺は手紙を取り、読んだ」
  子供の頃の、あの場所に来て。入ったらすぐ右の部屋に入って、着替えてから式場に入ってね。
奏汰「・・・?あの場所・・・って・・・」
奏汰「なんとなく、場所の想像はついていた。だが・・・あの場所はもう使われていないはずだ」
奏汰「『行くだけ行ってみるか』」
奏汰「父さんは帰ってくるのが遅い。母さんとは俺が小さいときに離婚したそうだ。だから外に出ても問題ないだろう」
  俺は急いで準備をした

〇綺麗な教会
奏汰「──ここだ」
奏汰「やはり、誰にも使われている様子はない。確かここは、1ヶ月後から取り壊しが行われるそうだ」
奏汰「──本当にここであってるのだろうか。彼女はここに居るのだろうか」
奏汰「そんな不安に教われながら、俺は中に入った」

〇ウェディングドレスショップ
奏汰「入って右ってここだよな・・・なんで花嫁の衣装部屋なんだよ」
奏汰「やはりここではなかったのだろうか・・・」
奏汰「(・・・あ)」
奏汰「(あいつの字で書かれた手紙と・・・新郎用のタキシードだ)」
  これを着てから式場に入って。着方は多分知ってるよね?・・・心の準備も忘れずに
奏汰「良かった、彼女はここにいたのだ。 ・・・というか、俺にこれを着ろと?友達も彼女もいない俺にこれに袖を通せと?」
奏汰「(仕方ない、折角だし着てやるか。)」
  ──俺は初めて、タキシードに袖を通した。
奏汰「・・・これで合ってるだろうか。というか、彼女は死ぬ前に前もってこれを準備していたのか?」
奏汰「・・・真相を彼女に確かめるためにも、行くしかない」
  俺は少し怖くなりながらも、扉を開けた

〇教会の中
柚葉「『・・・ありがとう、覚えててくれたんだね。嬉しいよ。それにタキシード似合ってる。』」
奏汰「『・・・俺たちが小学生のとき、両家でここの近くの公園に遊びに来ていた。』」
奏汰「『そして、俺はお前に連れられてここに来た。・・・約束は、覚えていないが・・・。』」
柚葉「え!?嘘!?じゃあ良くここがそうだって分かったね?」
奏汰「『最近、良くここが良く夢で出ていた。そこで・・・俺たちは・・・』」
奏汰「・・・言葉が詰まって、言葉にできない。覚えてはいるのに・・・」
柚葉「『無理に、言わなくて良いよ。分かってるから。』」
奏汰「『・・・あと、なんでお前はこれらを用意することができた?・・・死ぬことを分かっていたとしか考えられないんだが・・・』」
柚葉「『いや、私が死ぬことは予想外よ。たまたまここが取り壊されるってことを知ったから、閉館してから準備したの。』」
柚葉「『・・・ここで、奏汰と結婚式をしたくて。』」
奏汰「『・・・え?』 ──俺は頭が追い付かなくて、うまく話せなかった」
柚葉「『・・・分からない?昔、ふたりで告白しあったじゃない・・・私、ずっと・・・』」
柚葉「『奏汰のこと好きだった。・・・ずっと結婚したかった。』」
奏汰「──知らなかった。いや、ここに来るまで予想はしてた。そうだと思いたくなかった」
奏汰「──俺も、ずっと彼女のことが好きだったから・・・死んだということを信じたくなかった」
奏汰「─俺もお前が好きだって言いたい。言いたいが・・・俺たちが結ばれることはない。それが・・・辛い」
柚葉「『え・・・どうしたの?どうして、そんなに悲しそうな顔をするの・・・?』」
奏汰「言う、しかない。俺は決意した」
奏汰「『俺も、お前が好きだ。だから・・・お前が死んで、結ばれなくなったのが、凄く辛い。両想いだったって分かって・・・辛い。』」
柚葉「『っ・・・あ・・・』 ──どうしよう、私のせいだ・・・私が勝手に死んで、勝手な行動をしたせいで・・・奏汰が悲しんでいる」
奏汰「『そんなに悲しい顔をしないでくれ。・・・今からだって遅くはない。』」
柚葉「『奏汰・・・でも・・・私のせいで・・・』」
奏汰「『柚葉のせいじゃない。・・・悪いのは・・・飲酒運転をしたあいつだ。』」
奏汰「『・・・だから今、俺たち2人が結婚式を始めよう』」
柚葉「『・・・うん』」
柚葉「──新郎奏汰」
柚葉「あなたはここにいる柚葉を 病める時も健やかなる時も、 富める時も貧しき時も、 妻として愛し敬い、 慈しむ事を誓いますか?」
奏汰「『誓います』」
奏汰「──新婦柚葉」
奏汰「あなたはここにいる奏汰を 病める時も健やかなる時も、 富める時も貧しき時も、 夫として愛し敬い、 慈しむ事を誓いますか?」
柚葉「『誓います』」
柚葉「『・・・えっと、キスって・・・できるのかな』」
奏汰「『・・・分かんないけど、やってみようか。』」
柚葉「『・・・え?』」

〇教会の中
柚葉「『お互いに、触り合えたんだ・・・知らなかった。それに・・・今凄く幸せ。』」
奏汰「『ははっ・・・俺も。』」
奏汰「『なぁ・・・』」
奏汰「『・・・えっ?』」
柚葉「『あー・・・幸せなせいなのかな。これが成仏ってやつなのかな・・・』」
奏汰「──彼女のからだが足元からゆっくり消えていっている」
奏汰「『えっ・・・いや、待ってくれ!』」
柚葉「『ごめん、私知ってたの。幸せになれば成仏するって・・・』」
柚葉「『きっと、会ったあとに結婚式なんてしなければずっといられたのにね・・・』」
奏汰「『そんな・・・ことっ・・・無いっ・・・俺は柚葉と結ばれて、キスできて・・・幸せだ。・・・なのに・・・。』」
柚葉「『・・・ありがとう。でも、これでお別れだ。』」
奏汰「彼女は俺を抱き締めた」
柚葉「『最後に・・・愛してるって言って・・・もう1回だけキスして・・・』」
奏汰「『あぁ・・・俺はずっと柚葉だけを愛している。他の女なんて要らない。』」
奏汰「『・・・』」
奏汰「『だからっ・・・いなくならないでくれっ・・・。』」
柚葉「『・・・手、出して。』」
奏汰「『・・・え』」
奏汰「──彼女は、俺の左薬指に指輪をつけた。彼女についているものと同じものだった」
柚葉「『これを捨てないでね。・・・私はあなたのここにずっといるから・・・』」
奏汰「『分かった・・・。ずっと持っている。・・・あっ待って!』」
柚葉「『ありがとう。ずっと見守ってるから。』」
奏汰「彼女の体は顔しか残ってなかった」
柚葉「『愛してる』」
奏汰「『・・・あっ』」
奏汰「『・・・うっ、うあぁぁぁぁあああ!』」
奏汰「『ああぁぁあぁ!・・・っう、うあああっ・・・』」
奏汰「──彼女は消えた。彼女の着ていたドレスと俺と同じ指輪だけを残して」
奏汰「──俺は気がついたら寝ていた。目覚めたのは知らない家だった」

〇本棚のある部屋
奏汰「──ここは・・・」
裕太「『おはよう、奏汰君』」
奏汰「『え、裕太さん?!』」
裕太「『うん、1週間ぶりだね。柚葉のメモを見て教会に行ったら奏汰君はドレスと指輪の近くで倒れてたから驚いたよ。』」
奏汰「『柚葉のメモ・・・?』」
裕太「『とりあいず朝御飯にしよう。学校は奏汰君のお父さんに連絡して休みにしてもらったから。』」
奏汰「『・・・ありがとうございます。』」
  ──食後
裕太「『さて、じゃあなんであの場所に倒れていたか教えてくれないかな?』」
奏汰「『・・・今から俺が言うことを信用して、誰にも言わないことを約束してくれますか?』」
裕太「『分かった、信じるし、口外もしないよ。』」
奏汰「『ありがとうございます。』」
奏汰「─そこから俺は、昨日の昼に死んだ柚葉と再開したこと、夜にあったことを話した」
奏汰「『・・・それから、俺は気がついたら裕太さんの部屋で寝ていました。・・・信じてくれますか?』」
裕太「『正直、君以外に言われたら信用できない話だよ。』」
奏汰「『じゃあ・・・』」
裕太「『うん、信じるよ。それに、柚葉のメモのこともあったしね。』」
奏汰「『あの・・・気になっていたんですが、柚葉から裕太さんへのメモってなんだったんですか?』」
裕太「『あぁ、良い忘れていたね。柚葉からのメモはこれだよ。・・・読むかい?』」
奏汰「『あ、はい!ありがとうございます!』」
  お兄ちゃんへ
  私の葬式の1週間後の夜に、ここの教会に来て。きっとそこには奏汰がいると思うから。お願いします。
奏汰「俺は驚いた。まさかその後のことも考えていただなんて。・・・どこまで俺を驚かせたら気が済むんだろう」
奏汰「『・・・これが俺の話を信じるきっかけになったって事ですかね?』」
裕太「『そう、察しが良いね。だから、奏汰君が柚葉と会って、結婚式をしたことも信じるよ。』」
奏汰「『・・・ありがとうございます。あの、ドレスとタキシード、それと指輪ってどうなりました?』」
裕太「『大丈夫、ちゃんととっておいてあるよ。でも実家のどこに置くんだい?』」
奏汰「『それは・・・』」
裕太「『じゃあ、奏汰君が一人暮らしするまで僕の家に置いておこうか。仏壇の近くに飾っておくし、家の鍵も渡すから自由においでよ。』」
奏汰「『良いんですか?』」
裕太「『もちろん。だって僕は奏汰君の”義兄さん”だからね。』」
奏汰「『・・・!あ、ありがとうございます!』」
裕太「『うん、やっと笑ってくれたね。・・・折角だし、柚葉のお墓参りでもしようか?』」
奏汰「『是非行かせてください。一旦家に帰って用意してきます!』」
裕太「『わかった。あ、あと奏汰君の服っぽいのも置いてあったんだけど、どうする?』」
奏汰「『あ、じゃあ持ち帰っちゃいます。』」
裕太「『了解、ちょっと持ってくるから。』」
奏汰「『あの、この服はどうすれば・・・』」
裕太「『あ、そうだね・・・。じゃあそれも洗濯するから。服も貸すよ。』」
奏汰「『・・・何から何までありがとうございます。』」
裕太「『じゃ、行こう。』」

〇墓石
奏汰「『ここが柚葉の墓・・・』」
裕太「『じゃあ、線香とか買ってくるから待っててね。』」
奏汰「『分かりました。』」
奏汰「(・・・昨日会ったことが、まるで夢だったかのように信じられないな・・・。)」
???「現実だよ、奏汰」
奏汰「──柚葉だ 後ろから声がした。振り向きたい。顔をまた見たい・・・だけど」
奏汰「『どうしたの?』」
柚葉「振り向いてはくれないんだ?」
奏汰「『うん、君を見たら、裕太さんもいるのに、きっと泣いてしまう。』」
柚葉「そっか・・・じゃあ、次から1人で来たときははちゃんと私と面と向かって話そう」
奏汰「『もちろん。・・・約束だよ』」
柚葉「ふふっ、うん。約束よ!」
裕太「『お待たせ、なんだか楽しそうな顔をしてるね?』」
奏汰「『そうですか?・・・なんでもありませんよ。』」
裕太「『そっか。じゃあ手を合わせて・・・。』」
奏汰「・・・柚葉はこれを見て何を考えているんだろうな。 ──!?」
奏汰「・・・誰かに頬にキスされた気が・・・」
裕太「『・・・よし、あれ?どうかした?』」
奏汰「『・・・いえ、なんでも。』」
裕太「『そう?じゃあ行こう。・・・またね、柚葉』」
奏汰「『また来るよ。』」
柚葉「ふふっ、私からのちょっとしたプレゼント、奏汰気づいたかな?」
柚葉「『まぁ、さすがに気づいてるか。』」
柚葉「『この大切な約束、ちゃんと守ってね。私の”旦那さん。”』」
  ──10年後
奏汰「『柚葉、いる?』」
柚葉「『いるよー』」
奏汰「『午前だけで仕事が終われたんだ。大切な結婚記念日だし、良かったよ。』」
柚葉「『あ、ありがとう・・・嬉しいな。』」
奏汰「『今年はこの花が流行っているみたいなんだ。写真、飾っておくね。』」
柚葉「『わあっ、ありがとう!綺麗!』」
奏汰「『・・・』」
柚葉「『どうしたの?』」
奏汰「『いや、成仏したはずなのに、なんでこんなに話せているんだろうって思って。』」
柚葉「『あー、えっと・・・』」
奏汰「『?』」
柚葉「『・・・あれ成仏じゃなかったみたい。』」
奏汰「『え?そうなの?あんな風に体が消えていったから本当に成仏したのかと・・・。』」
柚葉「『んー、とりあいず細かいことは分かんないや。こうやって話せてるし、とりあいずは良いんじゃないかな?』」
奏汰「『うん、そうだね。じゃあ一緒にお菓子でも食べようか。1回お供えしとくね。』」
柚葉「『わあっ、ありがとう!』」
「『いただきます』」
柚葉「『美味しいね、このお菓子。』」
奏汰「『あぁ、知り合いに教えてもらった店で買ったんだ。・・・って、あ!』」
柚葉「『どうしたの?』」
奏汰「『その知り合い達と昼約束してるの忘れてた・・・。』」
柚葉「『えー?今日結婚記念日なのに?』」
奏汰「『年末で、俺以外空いてるのがこの日だけだったんだよ・・・。』」
柚葉「『わかった。じゃあまた来てね?』」
奏汰「『あぁ、約束だ。』」
柚葉「『うん!』」
柚葉「『ねぇ、ちょっと。』」
奏汰「『ん?何──』」
「『・・・』」
柚葉「『ねぇ・・・愛してる。』」
奏汰「『・・・俺も、愛してる。』」

コメント

  • 実際に、生者と死者が結婚する「冥婚」(死後婚)の風習は存在しますね。神話では冥婚した夫婦に子供も生まれてるから驚きです。生きている時も二人は近くにいたのに、柚葉が死んで初めて二人の思いが確かめられて結婚できたというのはなんとも皮肉で切ない話でした。

  • ここまで思いが残ってしまうと逆に未練が残って成仏出来なさそう…。
    でも成仏せずに少しでも会話ができるのであれば、二人にとってはこれは幸せなことなんだろうなあ。

  • 成仏しなくて良かったと言えるのか分かりませんが、もはや墓場に住んでいる夫婦ですね。よく書けている力作だと思います。
    TapNovelの場合は通常の小説と違って、会話文のカギカッコを省略しても大丈夫ですよ。
    地の文のときは、吹き出しの種類を変えると、セリフとの区別がつきやすくなるかも。

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