場末ノZ

山本律磨

Purgatorium(Ⅳ)(脚本)

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〇空
  『どこ逃げやがった!』
  『見つけねえとマジ前歯折られるぞ!』
  『それくらいで済めばいいけどよ!』
  『くそが!』

〇入り組んだ路地裏
「・・・」
マリア「もっとくっつかないと。見つかるでしょ」
武藤「これくらいですかね?」
マリア「もっと。照れてる場合じゃないでしょ」
武藤「いえ別にそういうわけじゃ・・・」
マリア「まあ、君にそんな感情ないか・・・」
武藤「・・・」
マリア「・・・」
武藤「寒いですか?」
マリア「え?」
武藤「震えてるから」
マリア「・・・」
武藤「そろそろ出ましょうか?」
マリア「マンション、張られてるかも」
武藤「・・・」
マリア「盗撮されてたんだ」
武藤「じゃあ教会に」
マリア「監視もされてた」
マリア「井戸端会議のおばさん。守衛の人。ずっと私のこと見てたし」
マリア「神父さんも信じられない。この町は塚越のものだから」
武藤「考え過ぎです」
武藤「ではお友達の所とか」
マリア「巻き込みたくない」
武藤「奏太さんなら」
マリア「だから巻き込みたくないのよ!ヤクザの女なのよ私!」
武藤「・・・」
マリア「寒いし・・・」
武藤「もっとくっつきますか?風邪ひきますよ」
マリア「・・・」
武藤「照れてる場合じゃないですよ」
マリア「・・・大嫌い」
武藤「そうですか」
マリア「こんな町、大嫌い」
「・・・」
マリア「ねえ、何か喋って」
武藤「え?」
マリア「変な雰囲気になっちゃうじゃん」
マリア「喋って」
武藤「ええと・・・」
武藤「昆布が海の中で出汁を出さないのは・・・」
マリア「そういう話じゃなくて」
武藤「・・・」
マリア「例えば暁ルナの話の続きとか。よく怒られたって・・・」
武藤「はい。そうですね・・・」

〇CDの散乱した部屋
  『二人きりの家で』
  『肩よせあって』
  『とても暖かくて』
  『でも、とても窮屈で』
  『母さんは多分、もっと窮屈で』
  『だから、いつも怒られて』

〇CDの散乱した部屋
  『窮屈で』
  『怒られて』

〇CDの散乱した部屋
  『窮屈で』
  『怒られて』

〇CDの散乱した部屋
  『窮屈で』
  『怒られて』

〇CDの散乱した部屋
  『窮屈で』
  『怒られて』

〇白
  『10歳の時に、保護されました』

〇実家の居間
  『それからは、親戚の家をたらい回しにされて』

〇おしゃれなリビングダイニング
  『どこに行っても、腫れ物に触るような感じで』

〇クリスマス仕様のリビング
  『こっちはこっちで誰にもなつかなくて』

〇簡素な一人部屋
  『大人になるまで結局そんな感じで』
  『あ、大人になる途中はこんな感じで』
  『まあその、どこに行っても』

〇学校の廊下
  『何をやっても・・・』
マリア「おーい」

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