境界の守人

あまくに みか

境界の守人(脚本)

境界の守人

あまくに みか

今すぐ読む

境界の守人
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇街中の公園
ひかり「救護班!」
ひかり「急いで!!」
唯「痛い・・・ 助けて・・・」
ひかり「私のミスで・・・」
ひかり「ごめんね、唯」

〇テクスチャ
  ”道祖神”
  路傍に立ち、悪いものから内側を守る
  境界の守人

〇怪しい研究所
ひかり「・・・」

〇一軒家の玄関扉
ひかり「本日より異動してきました 東野ひかりです」

〇一軒家の玄関扉
  ・・・

〇一軒家の玄関扉
ひかり「あの!! サヤさんいらっしゃいますか!!」

〇一軒家の玄関扉
サヤ「はいはいはーい」
サヤ「あたしが、サヤだよ〜 あなたは?」
ひかり(この人が? 同じ術師とは思えないけど・・・)
ひかり「その前に、あなたがサルメの術師だという証を見せてください」
  ひかりは左腕を差し出す
  手首には、両の羽を広げた鶴の紋章と28の数字がある
サヤ「ホラ、満足?」
  サヤは服をめくって、鎖骨にある紋章を見せた
ひかり「8?」
ひかり「あなた、序列8位なんですか?」
ひかり「そんな感じなのに!?」
サヤ「どんな感じよ」
サヤ「ひかり、だっけ?とりあえず、よろしくね〜」
サヤ「あ、ちなみに序列とか、くだらない数字気にしないから。普通に接してね」

〇西洋風の部屋
ひかり「サヤさん」
サヤ「なあに?」
ひかり「私はここで、なにをしたらいいでしょうか?」
サヤ「ここはね、聞き屋さんだよ〜」
ひかり「メンタルラボと聞いてきたのですが」
サヤ「めんたるらぼ?」
サヤ「ひかり、人事にうまいこと騙されちゃったんじゃない?」
ひかり「そんなはず──」
サヤ「まあまあ」
サヤ「今はお客さんいないから、テキトーにすごせばいいよ」

〇怪しい研究所

〇怪しい研究所

〇西洋風の部屋
ひかり「あの、いつお客さんは来るんですか!?」
サヤ「わー!!」
サヤ「大きな声だすから、やられちゃったじゃん!!」
ひかり「私は、なにもしないなんて出来ません!」
ひかり「確かに、私は相棒に怪我を負わせました」
ひかり「だからここに、とばされたのもわかります」
ひかり「けど、あなたみたいになりたくない!!」
ひかり「くだらない数字って、あなたは言いましたけど」
ひかり「私はそのくだらない数字が、目標なんです!!」
サヤ「ふーん」
サヤ「ね、ひかり」
サヤ「コーヒー飲む?」
ひかり「・・・」
ひかり「苦いのは・・・苦手です」
サヤ「まあまあ、座って」
ひかり「・・・」
サヤ「聞き屋らしく、話を聞こうじゃないか」
ひかり「・・・」
ひかり「先ほどは、すみませんでした」
サヤ「あたしもさ、くだらないって言って悪かったよ」
サヤ「それで、ひかりは序列1位を狙ってるの?」
ひかり「1位じゃありません」
ひかり「私は──」
ひかり「ポジションゼロになりたいんです」
サヤ「ゼロねぇ」
ひかり「サロメの術師の中で最強の存在で」
ひかり「絶対の存在」
サヤ「知ってるよ〜」
サヤ「あいつは、性格が悪いから やめときなって〜」
ひかり「私の目標を、そんなふうに言わないでください!!」
ひかり「強くなって」
ひかり「たくさんの悪鬼を祓って」
ひかり「平和を守りたいんです!!」
サヤ「ひかりはさ」
サヤ「さっき、ここでなにをすればいいかって聞いたよね?」
ひかり「はい。私に出来ることならなんでも──」
サヤ「ないよ」
サヤ「ひかりはむいてないと思う」
ひかり「どうして!?」
サヤ「知りたい?」

〇手

〇西洋風の部屋
ひかり「悪鬼の気配!?」
サヤ「きたね」
サヤ「お客さんだよ」
サヤ「ひかり」
サヤ「道祖神はなんのためにあるか、知ってる?」
ひかり「初歩的な質問です」
ひかり「あちら側からくる悪鬼から守るためです」
ひかり「サロメの術師は歩く道祖神」
ひかり「悪鬼を祓い、人々の世界を守る!!」
サヤ「模範的な回答だね」
サヤ「でも気がづいた?」
サヤ「ここにも道祖神が置かれているんだ」
サヤ「ちょうどこの真下にね」
サヤ「だからここは、あちらとこちらの境界にあるんだ」
サヤ「宵になると、お客さんがやって来るよ」

〇西洋風の部屋
ひかり「唯!!」
サヤ「やっぱり悪鬼を呼び込んじゃったね」
ひかり「呼び込んだ?」
ひかり「どういうことですか!?」

〇西洋風の部屋
唯「う・・・ううっ」
ひかり「今、祓ってあげるから!!」
サヤ「だめ、祓わないで!」
ひかり「なに言っているんですか!?」
ひかり「唯が苦しんでいるんですよ!?」
ひかり「私はサロメの術師です 悪鬼を祓うのが仕事です!」
サヤ「だから、聞き屋にむいてないって言ったの」

〇西洋風の部屋
  サヤの身体が光った
  首の後ろに、新たな紋章が現れた
  鶴の紋章と数字は──
  0(ゼロ)
ひかり「ポジションゼロ・・・」
ひかり「速い!!」
サヤ「ハイ、結界を張ったよ」
サヤ「これでゆーっくりお話できるね」
ひかり「話?」
ひかり「悪鬼から話を聞くっていうんですか!?」
サヤ「もちろん、ここは聞き屋さんだからさ〜」
サヤ「キミ、その人間にとり憑いて楽しい?」
唯「・・・」
サヤ「あたしはキミを祓わない ただ、あちら側に帰って欲しいだけ」
サヤ「悪鬼はね、人が呼び込むんだよ」
サヤ「心の中のダークな部分がね」
サヤ「でも、それって普通でしょ」
サヤ「明るい部分もあれば、暗い部分もある」
サヤ「それが唯、あなた自身なの」
唯「私」
唯「ごめんね、ひかり」

〇西洋風の部屋
唯「私、嫉妬してた」
唯「本当は、弱い自分を認めたくなかっただけ」
唯「ひかりは、どんどん先にいっちゃうから」
唯「怖くて」
唯「私が怪我した時」
唯「ひかりの足を引っ張れてよかったって、思っちゃった」
ひかり「唯」
唯「ごめんね、ひかり」
ひかり「唯のせいじゃない」
ひかり「私がちゃんと話を聞かなかったから」
サヤ「”聞くことは、向き合うこと”」
サヤ「ねえ、日本神話にでてくる悪いことする神様は、邪神っていわれるけど」
サヤ「「悪役」じゃないんだよ」
サヤ「太陽の神様だって、いきすぎれば人に災いをもたらすでしょ」
サヤ「善か悪か」
サヤ「それだけであたしは判断したくないわけ」
サヤ「だから、あたしは祓わない」

〇西洋風の部屋
サヤ「キミ、わかったら帰んな」
サヤ「残念だけどここから先は、キミが住む場所じゃないんだ」
サヤ「こちらは人の住む場所」
サヤ「あちらが、キミたちがいていい場所 大昔、そう決めたじゃない」
ひかり「悪鬼が、去っていく・・・」

〇怪しい研究所

〇西洋風の部屋
ひかり「本日より、本格的に異動してきました」
ひかり「東野ひかりです」
ひかり「よろしくお願いします」
サヤ「回復した相棒と仕事に戻ったんじゃないの?」
ひかり「じ、実は・・・」
ひかり「私も、聞き屋をやりたくなりました」
ひかり「それに」
ひかり「一つ教えてください」
ひかり「8位だと思ったら、0でした」
ひかり「あなたは、何者なんですか!?」
サヤ「あたし?」
サヤ「あたしは、あちら側とこちら側が混ざった存在」
サヤ「半神なの」
サヤ「だから0番なんだよ」
サヤ「人じゃないから」
サヤ「存在しないゼロ」
サヤ「普段は、ただの聞き屋さん」
サヤ「もっと話、聞いてくれる?」
ひかり「はい」
サヤ「じゃあ、コーヒー飲む!?」
ひかり「ミルク多めで」

コメント

  • 美少女の術師たちと道祖神という組み合わせがミスマッチのようでありながら、ストーリーの世界観にしっかりとはまって独特の雰囲気が素敵です。境界の守り人サヤがあちら側の存在も否定することなく対処する姿がかっこいいですね。

  • 表紙がかっこよかったので、ずっと読んで見たかったのですが、中身もかっこいいお話でした。これ詰め込むのに2000字は辛いですね。楽しかったです。

  • 世界観や設定がしっかりとしていて、スッとお話しに入り込めました。敵を祓わないで気持ちを聞いてあげるという手法も素敵ですね!

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ