うらない訪問販売員

佐佐木麗菜

第4話 不幸、トラブル回避のお力になります(脚本)

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〇シックなカフェ
宇利杉瓜夫「おはようございます。お店は開いていますかな?」
古屋辰郎「おう、おはよう。入りな、ついでにコーヒーご馳走してやるよ」
宇利杉瓜夫「実は小林様と約束をしておりまして・・・」
古屋辰郎「その話なら聞いてるよ。小林くんもすぐに来るだろう。ほらよ、コーヒー」
宇利杉瓜夫「ありがとうございます。ああ、いい匂いですねぇ、眠気も吹っ飛びそうだ」
古屋辰郎「・・・・・・」

〇ファンシーな部屋
  スマホの着信音が鳴る。
  待っていた辰さんからのメールだった。
  宇利杉が来るんじゃないかと警戒して、弘子の家にいたが杞憂ですんだようだ。
小林啓介「よし、宇利杉のヤツが店に来たか・・・それじゃ、行ってくるよ弘子」
篠田弘子「大丈夫、啓介? やっぱり警察に通報したほうが・・・」
小林啓介「警察は後でちゃんと呼ぶよ。だから心配するな」
小林啓介「それより、お前は家を出るんじゃないぞ、いいな」
篠田弘子「・・・わかった。気をつけてね」
  俺はカフェ『ジャック』へと向かう。
  正念場はここからだ。

〇シックなカフェ
  『close』の札が下がったドアを開いて中へと入る。
  俺の顔を見て、辰さんがホッとしたような顔を見せた。
古屋辰郎「小林くん、宇利杉さん今眠ったところだよ」
  辰さんの言う通り、宇利杉はカウンターの席で突っ伏すように眠っていた。
  規則正しい寝息が聞こえてくる。
小林啓介「ありがとう、辰さん」
古屋辰郎「本当に大丈夫なのか? お客さんのコーヒーに睡眠薬とか、普通に犯罪だからヒヤヒヤしたよ」
小林啓介「変な事させてすみません・・・でもこうでもしないと捕まえられないと思って」
  用意周到で気配なく人に近づける男だから、少しでも悟られたら逃げてしまうかもしれない。
小林啓介(もしかしたら、何かの罪に問われるかも・・・でも)
小林啓介(この男だけは野放しにしちゃいけない!)
  それから俺達は用意したロープで宇利杉の手足を縛った。
  しっかりと固く結んだから、ほどけることはないだろう。
  宇利杉を床に転がして、俺はようやく安堵の息をついた。
  これで計画はほぼ完了したようなものだ。
古屋辰郎「それじゃ、連絡を入れてくるよ」
小林啓介「お願いします、辰さん」
  最後は辰さんが警察に通報をして、その間、俺は宇利杉が逃げないように見張る。
  警察が来ればミッションコンプリートだ。
小林啓介(案外、あっけないものだったな・・・)
宇利杉瓜夫「・・・はて、これはどういうことですかな?」
小林啓介「なっ・・・!? お前、もう起きたのかよ!」
宇利杉瓜夫「どうも穏やかな状況ではないようですねぇ。理由をお聞かせ願えますかな」
小林啓介「・・・宇利杉、もう観念しろ」
宇利杉瓜夫「観念とは? それよりも縄をほどいてくださると助かるのですが・・・」
  落ち着けと自分に言い聞かせる。
  起きはしたが、まだ宇利杉の縄まではとけていない。
  油断さえしなければ、奴がここから逃げることはまずできないはずだ。
小林啓介「とぼけんなよ! お前が・・・」
小林啓介「お前が綾音さんを殺した犯人だろ!」
  ありったけの声で叫んでやる。
小林啓介「お前が俺に見せた綾音さんが殺される瞬間の動画は、お前が撮ったやつだろう!」
宇利杉瓜夫「いえいえ、あれは私の占いによるものです。写真を通して過去の映像を・・・」
小林啓介「デタラメ言うな! お前の占いはただのインチキだ!」
小林啓介「仕組みはわかってるんだ! 事前に調査した個人情報をさも占いで当てたかのように見せて騙す」
小林啓介「それから綾音さんを殺して恐怖と不安にかられた俺や弘子に高額な占いを売りつける」
宇利杉瓜夫「・・・・・・」

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