第7話「最高の相方」(脚本)
〇居酒屋の座敷席
オフ会初参加のトワは、
当然のことながら皆の注目の的だった。
しかもイケメンとくれば、
女性プレイヤーが放っておくはずがない。
トワ「悪い、俺は悠とも話をしたいんだ・・・」
ギルメン「あー、ごめんごめん」
ギルメン「愛するお嫁さんと リアルで初対面だもんね!」
「ごゆっくり~♪」
悠「いいの? オレなんかを優先して・・・」
トワ「問題ない。 今日は悠に会うために参加したんだから」
悠(トワを独占するのは気が引けるけど、 彼もそう言ってくれているんだから 気にしなくていいよな?)
悠(女子たちから圧を感じるんだけど・・・)
〇居酒屋の座敷席
〇居酒屋の座敷席
悠(う、うん。見なかったことにしよっと!)
悠「オレもずっと会いたかったんだよ。 本物のトワとこうして話が出来るなんて 夢みたいだ」
トワ「あれからもう3年か。 初めて会った時のことは覚えてるか?」
トワ「当時の俺はカッコ悪かったな」
トワ「可愛い女の子に いいところを見せようと思って、 突撃したにも関わらず・・・」
トワ「あっさりと返り討ちに遭ったわけだからな」
悠「しかもその「可愛い女の子」の中身は 男だったし!」
トワ「そうだな。 あの時は「騙された!」って思ったね」
〇男の子の一人部屋
オレとトワの出会いは3年前に遡る。
当時オレは専門学校を卒業したばかりで、
卒業を機にオンラインゲームである
「MKC」を始めたんだ。
今までは学生時代の友人たちと
携帯ゲーム機版の「MK」を
プレイしていたんだけど、
卒業後はなかなか
遊べなくなっちゃったからね。
悠「・・・これでよしっ、と」
早速クライアントをダウンロードし、
自らのパソコンにインストールした。
そして1週間の無料お試し期間を使って、とりあえずログインしてみたんだ。
〇西洋の城
プレイ開始後数十分で、
オレは今まで未プレイだったことを
激しく後悔した。
やはり携帯ゲーム機とパソコンでは
グラフィックの精度が違うし、
ミッションの数も格段に多い。
「MK」はロビー・ルーム制の
小規模オンラインRPGだったけど、
「MKC」は大規模オンラインRPGだ。
道往くキャラクターがNPCではなく、
中身のあるプレイヤーだという点が
当時のオレにはとても新鮮だった。
〇暗い洞窟
オレは好奇心の赴くままに探検し、
気がつけば当時最高難易度を誇っていた
ダンジョンの中に迷い込んでいた。
†悠†(やばっ。 流石に太刀打ちできそうにないや)
†悠†(と、とりあえず逃げよう!)
〇地下広場
〇怪しい実験室
†悠†(ううっ、何とか高台に逃げたけど、 オレが上層階に潜んでいることに あいつらは気づいてる!)
†悠†(諦めて去ってくれればいいのに・・・)
†悠†(うーん・・・)
†悠†(そ、そうだっ! エリアチャットで救援要請すればいんだ!)
†悠†「初心者なんですけど、 ダンジョンに迷い込んでしまいました。 誰か助けて下さい~!」
トワ「大丈夫かい、お嬢さん?」
†悠†「すみません、あの敵が強くて ここから下りられないんです」
トワ「よしっ、俺に任せてくれ」
〇地下広場
トワ「今だっ!!!」
トワ「あ、あれ? 全然ダメージが入ってない・・・」
トワ「・・・て、撤退~!」
〇怪しい実験室
トワ「すまん、返り討ちにあった」
†悠†「ええぇぇぇー!?」
トワ「実は俺も初心者なんだ・・・」
†悠†「じゃあ、ベテランプレイヤーが 助けに来てくれるのを一緒に待とうよ」
トワ「そうしよう・・・」
〇地下広場
サングリア「おーい、大丈夫かーい?」
サングリア「敵は全て始末したから、下りておいで~」
結局オレたち2人は、
通りがかったサングリアさんたちに
助けられた。
これが縁でオレとトワは
揃って《MKカフェ》に加入し、
コンビを組むようになった。
いつかギルドのトップ陣に
追いついてやる。
そう誓い、オレたちは2人で
切磋琢磨してきたんだ。
〇居酒屋の座敷席
悠「今のトワは頼りになるよ。 オレも安心して無茶できるし、 最高のパートナーだね」
トワ「そうだな。 悠の火力はすごいが、 ヘイト管理ができていないからな」
トワ「・・・というか、する気がないだろ?」
悠「・・・ばれてた?」
【魔導士】は瞬間火力が高い分、
気をつけないとヘイトを稼いでしまい、
敵の攻撃標的になってしまう。
そしてオレは自他共に認める火力バカだ。
トワががっちりヘイトを
稼いでくれることをいいことに、
いつも気兼ねなく魔法をぶっ放している。
他の戦士職と組む時は
もう少し遠慮しているんだけど・・・
トワが戦士職の時は
気にしないことにしている。
トワ「言っておくが、俺も悠にヘイトが 飛ばないよう、 それなりに気を遣っているんだぞ?」
トワ「もう少し労わって欲しいな」
悠「あはは、ゴメンよ」
笑って誤魔化したが、
本当は笑い事じゃないよな。
トワだからこそ、
安心して全力を出せるんだ。
面と向かって礼を言うのは
恥ずかしかったので、
オレは心の中でこっそり「ありがとう」と
お礼を言った。
トワ「まったく、お前にはかなわないよ・・・ その笑顔を見たら、 怒るに怒れないじゃないか」
そう言いながら、
トワはオレの頭を撫でた。
少しくすぐったかったけど、
嫌な気はしなかった。
〇居酒屋の座敷席
サングリア「はいはーい。 そろそろ終了のお時間でーす!」
サングリア「速やかに目の前の食べ物・飲み物を 片付けて、撤収するよー!」
悠「しまった! 話に夢中になってて、 ほとんど料理に手を付けてない!」
トワ「俺もだよ・・・」
サングリア「とりあえず今、残っている分だけでも 食べちゃって~」
2人で慌てて目の前の料理を
つまんだけれど、
結局ほとんど食べられなかった。
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悠くんとトワさんの会話の様子が楽し気ですね!きっと見ていたギルメン女子たちも”お楽しみ”だったのではと邪推しますw こんな人柄のいいメンバーばかりのオフ会って憧れますね!