ドクター・ギャンブル

YO-SUKE

第四話「臓器移植(後編)」(脚本)

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〇豪華な社長室
  草ケ部と加賀見がソファに座っている。
草ケ部雄大「驚いた・・・ 外観と内装が全然違うじゃないか」
加賀見勝「表はカモフラージュですよ。 ここはVIP専用の病院です。 一流の大学病院以上の設備が揃ってますよ」
  笹岡重信(ささおかしげのぶ)が
  入ってくる。
笹岡重信「待たせたな」
草ケ部雄大「! 笹岡大臣・・・?」
加賀見勝「ええ。先生も当然ご存じですよね?」
草ケ部雄大(知らない奴なんていない。 日本の副総理だぞ)
草ケ部雄大(しかし加賀見の奴・・・いったい どんな人脈を持ってやがるんだ──)
笹岡重信「君が今回の執刀医か」
草ケ部雄大「草ケ部と申します。今回は笹岡大臣の体に ご負担をかけないよう──」
笹岡重信「御託を並べるな。 君と私は利害が一致している」
笹岡重信「君は金がほしい、 私は手術を成功させたい。それだけだ」
草ケ部雄大(くっ、このジジイ・・・)
加賀見勝「大臣。予定通りオペは来週の日曜日、 19時ということで大丈夫ですか?」
笹岡重信「問題ない。約束の報酬もその日までに 現金で用意させよう」
加賀見勝「ありがとうございます」
笹岡重信「ところで草ケ部といったか、君には オペ当日までは見張りを付けさせてもらう」
草ケ部雄大「見張り?」
笹岡重信「私も何かと追われる身なのだ。 特に最近は警察の犬が嗅ぎまわっている」
草ケ部雄大(こいつ・・・裏で何をやってるんだ)
加賀見勝「それでは、診察室のほうへ。 草ケ部先生には笹岡大臣のカルテなども ご覧いただきますので」

〇遊園地の広場
  ベンチに座って、
  険しい顔をしている草ケ部。
草ケ部雄大(手術自体はたいした難易度じゃない。 三時間もあれば終わるだろう)
草ケ部雄大(さっさと終わらせて借金を返せば、 また元の生活に戻れる──)
草ケ部真美「パパ~! お馬乗ってきたよ」
草ケ部雄大「お馬?」
草ケ部英恵「メリーゴーランドよ。 見ててくれなかったの?」
草ケ部雄大「あ、ああ。見てた見てた、良かったな」
草ケ部英恵「あなた疲れてる? やっぱり遊園地なんて 連れ出して悪かったかしら」
草ケ部雄大「いいんだ。久しぶりに家族団らんを 楽しんでいるんだから。 俺も息抜きが出来て嬉しいよ」
草ケ部雄大(チッ・・・家にいると気が滅入るだけだ。 またあいつらが来るかもしれないし──)
草ケ部真美「ねえ、パパ。あそこにいるオジサンって、 パパの知り合い?」
草ケ部雄大「!」
  真美が指差す方を見ると、
  黒い帽子を被った男がこちらを見ている。
草ケ部雄大(くっ・・・笹岡の言ってた見張りか。 こんなところまで──)
草ケ部真美「なんかパパのほうをチラチラ見てるなと 思って」
草ケ部雄大「さあ・・・知らない人だ。 それよりママとアイスでも買ってきなさい」
草ケ部真美「うん! やった!」
  真美が駆け出し、英恵がその後を追う。
  それを見て、黒い帽子の男が
  草ケ部のところに近づいてくる。
草ケ部雄大「笹岡大臣の使いだよな? なんの用だ?」
黒い帽子の男「事情が変わった。手術を早めたい」
草ケ部雄大「! なぜだ?」
黒い帽子の男「警察のガサ入れがあるかもしれない」
草ケ部雄大「なんだと!?」
黒い帽子の男「手術は今夜だ。できるか?」
草ケ部雄大(ふざけやがって・・・! もし手術中に ガサ入れがあったらどうする気だ)
草ケ部雄大「いまは家族もいる。すまないが──」
黒い帽子の男「追加報酬は一千万を出してもいいと 言われている」
草ケ部雄大「っ・・・!」
黒い帽子の男「安心しろ。警察には見つからないように 手は打ってある」
草ケ部雄大(そんなもん信用できるか。 だが手術を少し早めるだけで 一千万か・・・)
草ケ部雄大(どうせやることには変わりないんだ。 だったら──)
草ケ部雄大「わかった。例の雑居ビルに向かう」
黒い帽子の男「いや、あそこは危険だ。 既に別の場所を用意している」
草ケ部雄大「別の・・・?」

〇手術室
  草ケ部が入念に手を洗っている。
草ケ部雄大(くそっ・・・! まさか自分の病院で オペをすることになるとは)
加賀見勝「先生。調子はどうですか?」
草ケ部雄大「加賀見! お前、何考えている。 こんなところで手術して、 もしバレたら──」
加賀見勝「大丈夫ですよ。 強力な味方がいるんですから」
高田「草ケ部くん、調子はどうだ?」
草ケ部雄大「せ、先生・・・! どうしてここに」
草ケ部雄大(加賀見・・・! 嵌めやがったな! まさか俺を失脚させるのが目的で!)
草ケ部雄大「あ、あの! これは──」
高田「はっはっはっ。驚いたか。実はね、 笹岡大臣と僕は古くからの知り合いでね」
草ケ部雄大「なっ!?」
高田「今回の手術についても、一切の記録を 残さないようにするから安心したまえ」
草ケ部雄大「な、なぜそこまで──」
高田「笹岡大臣のためだと思うかね? 確かに彼は旧友だが、僕は彼よりも君に 貸しを作っておきたい。今後のためにな」
高田「教授という立場を維持するのも大変なんだ」
高田「君のように優秀な若手が私を 推してくれると医局でもやりやすくなる」
草ケ部雄大「・・・なるほど」
高田「分かってくれるね?」

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