ドクター・ギャンブル

YO-SUKE

第三話「臓器移植(前編)」(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
  草ケ部が暗い顔で食事をしている。
草ケ部英恵「味付け、濃かったかな?」
草ケ部雄大「え? あ、そんなことないよ」
草ケ部英恵「そっか、なんか晴れない顔してるなと 思ったから」
草ケ部雄大「そんなことないよ」
草ケ部雄大「一晩で三千万も借金を抱えたなんて 言ったら、この妻はなんて思うだろう」

〇広いベランダ
  煙草を吸いながら、
  ぼんやり空を見ている草ケ部。
草ケ部雄大「あの日、加賀見が俺に持ち掛けた仕事は、 違法な臓器移植――すなわち闇手術だった」
草ケ部雄大「海外の人身売買によって買われた臓器を、 政治家のジジイに移植するだけで、 五千万円がもらえるという」
  庭に置いてある高級車に目をやる。
草ケ部雄大「医師になってから、 この家を買い、高級外車も買った」
草ケ部雄大「余った金は好き放題、 ギャンブルに費やした。 俺にはもう貯金なんてほとんどない」
草ケ部雄大「返済の期日は一ケ月・・・ 今の生活を変えず、三千万なんて借金を 返せるあてはない。だが──」
草ケ部雄大「闇手術なんて、もしバレたら一発アウトだ」
草ケ部雄大「医師会を追放され、 ブタ箱で何年も過ごすことになる。 簡単にできるわけないだろ・・・!」

〇総合病院
  病院の外壁前に看護師らが集まり、
  人だかりができている。
  外壁には「金を返せ!」などの
  悪質な落書きがされている。
草ケ部雄大「なっ・・・! これは!」
看護師A「これって・・・借金の取り立てだよね?」
看護師B「患者さんの誰か? それとも──」
草ケ部雄大「と、とにかく、患者さんが心配するから 早く消してもらったほうがいい」
草ケ部雄大(なぜだ・・・! あれからまだ 一週間しか経ってないのに・・・!)

〇広い屋上
  加賀見が休んでいる。
  そこに怖い顔の草ケ部がやってくる。
草ケ部雄大「おいっ! どうなってる!? あの落書きは──」
加賀見勝「あー、朝から大きな声出さないでくだ さいよ。こっちは夜勤明けなんですから」
草ケ部雄大「あれは俺に向けたものだろう?」
加賀見勝「ああ、看護師たちが噂してたやつですか。 多分そうでしょうね」
草ケ部雄大「なんであんなことを──」
加賀見勝「当然ですよ。銀行やそこらの 消費者金融じゃないんですから」
加賀見勝「あんなカジノを仕切ってる連中ですよ。 やつらはさっさと回収に来ます」
草ケ部雄大「くそ・・・なんでこんなことに」
加賀見勝「先生・・・ やっぱりこないだの話はどうですか?」
加賀見勝「先生が受けないなら、 別の方に話が行っちゃいますよ?」
草ケ部雄大「闇手術なんてできるか。 俺の経歴に傷が付いたらどうする?」
加賀見勝「またまた。日頃からそこそこ あくどいことやってるじゃないですか」
草ケ部雄大(この野郎・・・言いたい放題言いやがって)
加賀見勝「明日の夜まで待ちます。 いい返答お待ちしていますよ」
加賀見勝「患者さんも大物ですから、 漏れるようなことはないと思いますよ」
  立ち去って行く加賀見。
草ケ部雄大(金だ。金をなんとかしないと・・・!)

〇おしゃれなリビングダイニング
  真美の勉強を教えている草ケ部。
草ケ部真美「パパと勉強するの楽しい!」
草ケ部雄大「入学式までにしっかり勉強しておいて、 ライバルに差を付けるんだぞ」
草ケ部雄大(チッ・・・こんなことしている場合じゃ ないのに。早く金をなんとかしないと)
  ピンポーン
草ケ部雄大「ママが買い物から帰ってきたのかもな。 ちょっと待ってろ」

〇シックな玄関
  ガチャ
  草ケ部がドアを開けると、
  サングラスの男が立っている。
草ケ部雄大「なんだ、お前!?」
サングラスの男「カジノの使いの者って言ったら、 すぐにお分かりでしょうか?」
草ケ部雄大「! 一体何の用だ──」
サングラスの男「確認ですよ。 あなたに返済意思があるかどうか」
サングラスの男「いざとなったら担保にできるものが あるのかどうか」
草ケ部雄大「病院の落書きもお前たちだろ?」
サングラスの男「落書き? さあ、なんのことやら」
  男は値踏みするように、
  家の中をじっくりと見回す。
草ケ部雄大「か、帰ってくれ。金は必ず用意する。 だが今は無理だ。娘だって奥に──」
草ケ部真美「あれ? ママじゃないの? おじさん誰?」
草ケ部雄大「ま、真美!」
サングラスの男「ほぅ・・・かわいいお嬢ちゃんですね」
草ケ部雄大「真美! 奥に行ってなさい・・・!」
サングラスの男「お嬢ちゃん、ごめんね。 おじさんパパと大事な話してたんだ」
草ケ部真美「大事な・・・」
サングラスの男「そう、大事な話だよ」
草ケ部雄大「・・・・・・」

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