【The Last Life】―共に行こう、この広い世界へと―

少年G

第一章「追放」(脚本)

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〇豪華な部屋
ヴィスタリオ・ラーティファイ「突然で悪いが、今日をもってお前は俺達のチームから出ていってもらうぞ!」
  突然過ぎる追放宣言。部屋の中に怒声が響いた事により、場の空気が異常な程までに冷たくなっていた。
レイエス・クロムウェル「な!?急にどうした?ヴィスタリオ? 何か僕、悪い事でもしたか?」
  突然の追放宣言。レイエスは思わず疑問と驚きの表情を浮かべてしまい、口がポカンと空いてしまう。
  レイエスは何か彼に悪い事をしてしまったのではないかと思い、咄嗟に悪い事をしてしまったのかと聞いた。
ヴィスタリオ・ラーティファイ「理由が分からないのか!!」
  しかしレイエスの発言に対して返ってきた言葉はこれだった。
  チームから出ていかなければならない理由?
  ―何だそれは?
レイエス・クロムウェル(僕は・・・・・・何か悪い事をしてしまったのか?)
  理由がレイエスにはさっぱり分からなかった。
  何故ならレイエスはヴィスタリオ達に悪い事をした覚えは一切なかったからだ。
  今まで普通に接していた。素っ気ない態度を取った訳でもない、皆を嫌悪していた訳でもない。
  何か悪事を働いた覚えもない。
レネ・ジェダイクルス「あ~ダメだよヴィスタリオ、コイツは馬鹿だからちゃんと言わないと分かんないのよ」
  ヴィスタリオの言葉に便乗する様にして、近くにいたレネも同じ様に二人の会話に割って入る。
レネ・ジェダイクルス「言わせてもらうけど・・・・・・アンタはね、アタシ達からしたら・・・ただのお荷物なのよ!!」
  レネの容赦の無さ過ぎる言葉の刃。レイエスの心に言葉の刃は突き刺さる。
  彼女にも何か悪い事をしてしまっていたのだろうか。
レイエス・クロムウェル「お荷物って・・・!そんな・・・」
ヴィスタリオ・ラーティファイ「味方のサポートがお前の仕事だろう?だがお前はその役目を一切果たしていない!」
  レイエスの役割は主に味方のサポートだ。戦闘に特化した力は保有していない為、味方の援護に徹するのが彼の仕事であった。
  しかし彼らは役目を果たせていないと言ったのだ。
レネ・ジェダイクルス「それにそのサポートもどれもこれも役に立たない様な魔法ばっかり! あんなサポート、やる気のないただの馬鹿がやる事よ!」
  レネの連続しての罵倒に近い言葉、レイエスは彼らが言う事を嘘だと思いたかった。
  しかし現実と言うのはむさ苦しい程に恐ろしい存在であり、嘘でも偽りでもない事が一瞬にして明らかとなった。
レネ・ジェダイクルス「アンタなんて消えてくれた方が余っ程マシ! こっちも我慢の限界なのよ、今すぐアタシらの前から消えて!」
ヴィスタリオ・ラーティファイ「すまないが俺も同意見だ。これ以上お前の遊びに付き合う余裕も無いんでな」
  二人の言葉が心に響く。反論の余地なし。
  ―そうか、僕は邪魔者だったのか・・・
  レイエスは今それを悟ってしまったのだ。
レイエス・クロムウェル「わ、分かったよ・・・・・・消えればいいんでしょ・・・」
  自分は一生懸命やっていた。出来る事をして仲間のサポートをしていたつもりだった。
  それなのに・・・。
  現実とは残酷な事だと理解出来た。自分が頑張っていたとしても、周りはそれは平気で見下してくる。
  レイエスは憂鬱な気分になり、思わず足が震えた。
  それと同時にこの場に、この部屋にいる理由も消え去った。
キリエ「ごめん・・・・・・レイエス・・・」
  チームの部屋から去りゆくレイエスの背中を、キリエはただ見送る事しか出来なかった。
  追いかける事は出来ずに。
レネ・ジェダイクルス「キリエ!あんな奴もう気にする必要ないからね?」
ヴィスタリオ・ラーティファイ「これからは三人で頑張ろう、先行きはきっと明るいぞ?」
  レイエスが消えたと同時に、二人の表情は先程と一転して明るいモノへと変わっていた。
  キリエの晴れない表情とは違っていた。
キリエ(大丈夫だから・・・待っててね)
  彼女の涙が、水の雫が零れる様にして彼女の目元から一粒零れた。

〇中世の街並み
  こうしてレイエスは行き場を失う事となった。
  心に開いた傷は非常に大きく、簡単に治る様な大きさではなかった。
  レイエスの表情は憂鬱で薄暗く、希望が芽生えない様な程に淀んだ表情を浮かべてしまっていた。
レイエス・クロムウェル「はぁ~これからどうしよう・・・」
  追放を余儀なくされたレイエスは宛もなく街をふらつきながら歩き回っていた。
  別に何処かに行く予定は一切ない。
  憂鬱気で、生きる意味すら失いかけながら街をふらつくレイエスとは異なり、街の活気は180度真逆であった。
商人「今日は良い物が入ったよぉ! じゃんじゃん買ってってね!」
武器屋「良い武器仕入れてあるよぉ!」
レイエス・クロムウェル「僕とは大違いだな・・・」
  街の大きい活気にレイエスは戸惑いを見せる。今の自分は強く打ちひしがれてる。
  前向きで明るく、とはならなかった。
  とぼとぼと街を歩くレイエス。心の毒が癒される事はなく、一歩一歩歩く度に辛い感覚に陥っていく。
レイエス・クロムウェル「宿でも探しに・・・・・・・・・って金もそんなに無い・・・か」
レイエス・クロムウェル(取り敢えず、手頃なクエストでもやって金稼ぐか・・・)

〇西洋風の受付
レイエス・クロムウェル「こんにちは、アイリスさん・・・」
アイリス「あ、レイエスさん。こんにちは! 今日はどうされましたか?」
  日銭を稼ぐ為にも、レイエスは憂鬱気な足を動かして、街に建てられたギルドへと向かった。
  そして目の前に立つ茶髪の女性の名前は「アイリス」
  このギルドの受付嬢であり、レイエスとも顔馴染みになっている女性だ。
  過去の時からレイエスは冒険者としての活動は行っていた身である為、顔は必然的に何度も合わせている。
レイエス・クロムウェル「まぁ、いつも通りクエストでも受けに来ただけだよ。 何か簡単なクエストありませんか?」
アイリス「簡単なクエストですね・・・・・・・・・今の所は一件手頃な依頼が来てますが、確認しますか?」
レイエス・クロムウェル「えぇ、お願いします」
  そしてレイエスはアイリスから掲示されたクエストの内容に目を通した。
アイリス「薬草の採集ですね。レイエスさんなら、楽に出来ると思いますよ?」
  内容が掲示された紙には採集する薬草の絵とその詳細な数やその薬草がある場所や報酬額等が詳しく記載されていた。
レイエス・クロムウェル(これなら今日の宿代は確保出来そうだな・・・)
レイエス・クロムウェル「依頼、受けさせてもらいますね」
  何も問題は存在しないだろうとレイエスは感じた。
  迷いを生む事もなく、レイエスは素直に依頼を受ける事にした。
アイリス「はい!気を付けて下さいね!」
レイエス・クロムウェル「はい、承知してます」
  そしてレイエスは西の方に広がる森地帯である「ガイラバルの森」へと向かう事にした。

〇森の中
  「ガイラバルの森」街から西の方向に暫く歩けば着く距離にある森。
  薬草や多くの生物が生息しており、森が深く続いている。
  行った事は何度かあるが、人を襲う魔物も生息していると情報が入っている為油断は出来ない。
レイエス・クロムウェル「さて、何処にあるかな?」
  早速森に辿り着いたレイエスは、依頼通りに薬草を探し始めた。
  日が落ちるまでまだ時間はありそうであった。
  その為、レイエスは自分のスピードで採集を行う事にした。
  それに数もそんなに多くない為、大丈夫だろうと心には余裕があった。
レイエス・クロムウェル「あ、あった!」
  順調に依頼書に書かれた薬草を集めていくレイエス。
  気が付いた頃には既に規定数分の薬草が手元に集まっていた。
レイエス・クロムウェル「これで、今日の宿代はキープ出来るな」
  そして、レイエスは依頼書通りに規定数以上の薬草を採集する事が出来た。
  後は採集した薬草をギルドに届ければ依頼完了だ。
レイエス・クロムウェル「よし、戻るか・・・・・・」
  帰り際、ガイラバルの森を抜ける途中の事であった。
レイエス・クロムウェル「痛ぇ!」
  突然、右足の脛に耐え難い痛みが走った。

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コメント

  • いろんな説明がテープで流れてくるのが親切設計ですね。このロボットみたいな存在が、仲間から追放されたレイエスの相棒にこれからなっていくのかな?いずれキリエもその仲間に加わるのかな?などなど、今後の展開が楽しみです。

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